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新入生 その④

「ほら、紅茶が入ったよ」


 牛山がティーカップを片手に戻って来る。


「ありがとうございます、牛山先輩」

 ティーカップを受け取った牛山さんは紅茶を一口飲むと、美味しいです、と呟いた。


「カップは僕が預かっておくよ。君の腕前、見せてもらおうじゃないか」

「あんまり見られると緊張します」


 相変わらず表情を変えないまま、炭原さんは言った。


 マップのロードが終わり、炭原さんが選択したキャラが何も装備していない状態で戦場に放り出される。


 味方二人が武器を探すため、炭原さんから離れていく。


 直後、小さく銃声が聞こえた。同時に、味方がやられたという表示が画面に映る。


 同時に、画面の向こうから近づいてくる相手チームの姿が見えた。


 相手は3人。こっちは一人。いくら最近ハマっているからってこの不利は覆らないだろう。


「残念だったな、炭原さん。もう一回やり直すか?」

「いえ、このまま続行です」

「え?」


 炭原さんの指が素早く動く。


 一人称視点の画面が激しく上下し、炭原さんが操作するキャラが銃弾の雨を掻い潜っていく。


 そして倒れた味方の銃を拾い、一番端に位置取りしていた敵を正確な射撃でダウンさせた。


 動揺したのか、残った敵二人の射撃の精度が落ちた。


 攻撃が逸れ始めたその一瞬の隙を突き、炭原さんは敵を更にもう一人ダウンさせる。


 残った一人は体勢を立て直そうと背を向け逃走する。炭原さんは冷静にその背中を狙撃し、ついに一人で敵チームを壊滅させてしまった。


「……えーと、牛山。このゲームってこんな風に無双できるものだったっけ?」

「いや、このゲームは優れたバランスを売りにしているからね。一方的に蹂躙するようなプレイは基本的にできないはずだよ」

「あの……私のゲームの実力はこんな感じです。入部、させてもらえますか?」


 炭原さんが牛山を見上げる。


 牛山は間髪入れず答えた。


「歓迎するよ、炭原冬優さん。Welcome to underground」



※※※




「ただいまー」

「おかえりなさい、又野くん♡」


 帰ってくるなり。


 ガシッ、と。


 俺は匂宮(スウェット姿)に抱き着かれた。


 だが、彼女のサラサラの金髪からシャンプーのいい匂いがするとか、胸が思いっきり当たっているとか、そういったことに対してもはや感慨はない。


 なにせ毎日のことだ。


「会いたかったわ、もう一生会えないかと思ってたの」

「大袈裟だって」


 俺は何事もなかったかのように靴を脱いで、抱き着いている匂宮を引きずりながら何事もなかったかのようにリビングへ向かう。 


 オシャレなデザインの家具で彩られたリビングには、もう一人の同居人の姿がなかった。


「麻里さんは?」

「夜ごはんのお買い物に」

「ああ、なるほど」


読んでいただきありがとうございます!


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『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
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