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【完結】冤罪で高校を退学させられた俺、大富豪の美少女令嬢に拾われ溺愛生活が幕を開ける。  作者: 抑止旗ベル
第一部「痴漢冤罪で借金まみれの俺がお嬢様にゲッチュされた件」
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俺と令嬢はひかれあう その③



「絶対うそよ」

「うそじゃない」


 薄暗い六畳一間(1K・トイレ風呂付)――つまり、俺の部屋。


 俺と匂宮はちゃぶ台を挟んで向かい合っていた。


 ちゃぶ台の上にはカップラーメンが二つ。


「あの固形の物体が3分待つだけで食べられるようになるなんてありえないわ」

「俺の主食にケチをつける気か?」

「私が空腹なのを良いことに、変なものを食べさせようという算段なのかしら。親切なひとだと思ったけれど見損なったわ」

「どうかな? 逆に見直すことになるかもしれないぜ」

「ふん。そんなことは3分待ってみれば分かることだわ。あなたと私どちらが正しいのか、はっきりさせましょう」

「良いだろう。約束の3分まであと5、4,3,2,1……ゼロだ」


 俺と匂宮は同時にカップラーメンの蓋を開けた。


 匂宮が息を呑む音が聞こえた。


「―――確かに見た目は麺料理ね。そこは認めるわ。でも味はどうかしら」

「試してみろよ」


 俺は匂宮に箸を差し出す。


「たったの3分で美味なものが出来るなんて、そんなのはもう魔法よ」


 匂宮は箸を取ると、挑戦的な目つきで俺を見つめたまま麺を啜る。


 その瞬間、表情が変わった。


「―――魔法だわ!」

「フッ、どうやら俺の勝ちみたいだな」

「く――悔しい! でも箸が進んじゃう!」


 ずるずるとカップ麺を啜る匂宮。


 俺もそれに続こうと箸を取る。


 が、ふた口も食べると自分の置かれた状況のヤバさに気付き始めた。


 ……痴漢冤罪で退学ってどういうことだよ!


 俺の人生めちゃくちゃだよ!


 挙句の果てに1000万円の借金。


 詰んだ……。


 こうなったら、樹海でキャンプでもしながら暮らすとするか……。


「又野くん、どうしたの? さっきから全然食べていないようだけれど」

「ああ……ちょっと思い出したくないこと思い出しちゃってな」

「何? 学校に忘れ物でもしたのかしら?」

「学校はもう行かなくていいんだ。退学になったから」

「退学? そんなに悪いことをしたの? 人は見かけによらないって本当だったのね。で、何をしたの?」

「ち……痴漢」


 すっ、と匂宮が一歩下がった。


「まあ―――気の迷いというのは誰にもあるわよね。私、気にしないわ」

「その割にちょっとずつ俺から離れていってますよね? 身体は正直だなあ?」

「又野くん、本当に痴漢したの?」

「……冤罪なんだよ。別に俺は何もしてないんだけど、勝手にそういうことにされちゃったっていうか」

「あ、そう。そんなことだろうと思ったわ。ひどい話もあるものね」


 言いながら、匂宮は元の位置に戻って来た。


 本当に正直な奴だ。



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『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
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