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対面の時 その②

「……お戻りになるのでしたら私にも教えていてください、お父様、お母様」


 さきほどの動揺を無表情の下に隠しながら、匂宮が言う。

 

 匂宮の父親は申し訳なさそうに笑い、口を開いた。


「機嫌を損ねてしまったのならすまないね。サプライズのつもりだったんだけど」

「そんなサプライズ、必要ありません。言っていていただければ、お父様とお母様をお迎えする準備もできましたのに」

「そんな気を遣う必要はないだろう。親子じゃないか」

「それはそうですが……私にも匂宮家の代表としての立場がありますから」

「ああ、その代表の件だけど」今日の天気は晴れ、と告げるような軽い口ぶりのまま、匂宮の父親は言葉を続ける。「次の代表は僕が務めることになったよ。来夢、今までご苦労様」

「え……」


 俺は思わず声を漏らしていた。

 

 しかし、俺以外の三人はやはり表情を変えなかった。


 匂宮が代表を辞めると聞いたのはついさっきのこと。もう後任が決まっているなんて……。


「というわけで来夢、この屋敷を離れなさい。次の住居はもう用意してあるから。麻里、支度を」

「は――はい、ご主人様」


 麻里さんは返事をすると、台所に残っていた皿類を片付け始めた。


「ちょ、ちょっと待ってくださいよ。匂宮を追い出すってことですか?」


 俺が言うと、匂宮の父親は肩を竦めた。


「おっと、言い方が乱暴だったかな? 僕はただ来夢を安全な場所で休ませたいと思っただけさ」

「休ませる……?」

「ある程度の事情は聞いているよ。誘拐未遂にグループの不祥事。そのせいで来夢は大きなストレスを抱えてしまったそうじゃないか。だから一度、グループの経営からは離して休息を取らせる。こんな事態になってしまった責任を感じているんだよ、僕は」

「あ……」

 

 そっか。


 そういうことか。


 大人に対しての不信感が強くなりすぎてた。


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『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
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