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【完結】冤罪で高校を退学させられた俺、大富豪の美少女令嬢に拾われ溺愛生活が幕を開ける。  作者: 抑止旗ベル
第二部「私たちは世界を革命するしかないでしょう」

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令嬢とデート その④


「人気のあるお店なのね」


 辺りをきょろきょろと見渡しながら、匂宮が言った。


 今日の匂宮は春らしい暖色系の、チェック柄のワンピースを着ていた。


 鮮やかな金髪はポニーテールにしていて、唇には薄いピンクのリップを塗っている。


 その美少女ぶりは言うまでもないだろう。さっきから周囲の客が匂宮を盗み見しているくらいだ。


「注文はどうする? 一応コーヒーのサービス券はあるけど……っていうか、匂宮ってコーヒー飲めるのか? ココアとかに変えられないのかな、これ」

「もう。子ども扱いしないで欲しいわね。コーヒーくらい飲めるわよ。今朝も一緒に飲んできたじゃない」


 匂宮はくすくすと笑いながら言った。


 その表情があまりにも可愛らしすぎて、俺はメニューに片手を伸ばしたまま一瞬固まってしまった。


 我に返って、慌ててメニューを開く。


「じゃ、じゃあ、食べ物は? 昼飯まだだし、何か頼むだろ?」

「サンドイッチのセットをいただこうかしら。又野くんは?」

「そうだな……あ、サンドイッチのセットって2種類あるみたいだけど、どっちにする?」

「AセットとBセットがあるのね。……Aセットにはハムチーズのサンドがあるけれど、Bセットは代わりに卵サンドが……どうしよう、迷うわ」


 真剣な顔でメニューをみつめる匂宮。


「だったら、俺がAセットを頼むから匂宮はBセットを頼めよ。半分ずつ食べれば両方食べれるだろ」


 俺が言うと、匂宮は顔を輝かせた。


「天才だわ、又野くん。そうしましょう」


 頷いて、俺は店員さんを呼んで注文を伝える。


 メニューを元の位置に戻していると、不意に匂宮が口を開いた。


「又野くんのお母様ってどんな人だったの?」

「え……俺の母親?」


 唐突な質問に、俺は思わず訊き返していた。


「そう。亡くなっている……のよね?」

「ああ、俺が中学に入学してすぐだったな」


 ソファで倒れていた様子を今でも鮮明に覚えている。


 震える手で救急車を呼んだ時にはもう、遅かった。


「優しい人だったんでしょう?」


 いくつもパートを掛け持ちして、夜寝る間もないくらい忙しかったはずだけれど、家にいる時はいつも笑顔で疲れた様子なんて少しも見せなかった。


「いや……優しいというよりも、強い人だったんだと思う。とにかく良い母親だったよ。俺が――もう少し早く、無理してることに気づいてやれてればよかったのかな」

「亡くなられたのは残念なことだけれど、その強さや優しさは又野くんに受け継がれていると思うわ」

「……それなら良いんだが。っていうか、なんで急にこんな話を?」

「いえ、ちょっと気になっただけよ。又野くん、お父様には全然似ていないもの。お母様の方に似ているのかなって」

「ほとんど会ったことのない父親だったからな。今は何してるんだろうな」

「行方不明だそうよ」

「え」


 予想外の言葉だった。


 驚いている俺を他所に、匂宮は話を続ける。


「つい先日、そんな話を聞いたわ。消息もつかめないんですって」



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↓↓↓ちなみに新連載です↓↓↓

『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
― 新着の感想 ―
[一言] これはクズ親が復讐しにやってくるフラグかな?
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