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【完結】冤罪で高校を退学させられた俺、大富豪の美少女令嬢に拾われ溺愛生活が幕を開ける。  作者: 抑止旗ベル
第二部「私たちは世界を革命するしかないでしょう」

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そして学校へ・・・。 その③


「…………」


 パチン、パチン、パチンと、部屋の中にはボタンが外れる音だけが響く。


 おぉ、我ながらそこそこ順調じゃないか……ってあれ?


 なんかやたら外しやすいと思ったら……これ、ボタンの付き方が俺の服と逆だ。


 それに違和感を覚えた俺に気付いたのか、匂宮は俺を見下ろしながら言う。


「男物と違って、女物のブラウスは左前なの。だから右利きだと少し外しづらいのよね」

「これ、なんでこんなややこしい作りになってるんだ?」

「昔はボタンの付いた洋服を着れるのは上流階級の人間だけで、そういう家柄の女性は使用人に着替えを任せるから、外側から外しやすいように左前だったの。ま、その名残ね」

「へぇ、そうなんだ」


 なら、今の俺たちの行動は案外理にかなっているんだなぁ、なんて思っていると。


 パチン。 


 最後のボタンが外れたことにより、匂宮のブラウスがはらりとはだけた。


 必然的に、その洗練された無駄のない胸が、オシャレなデザインのブラジャーごとあらわになる。


「……っ!」

「それでね、昔の貴族っていうのは服を――」

「いや、服の歴史はもういい……」


 もうどうでもいいです。そんなこと。


 強すぎる刺激から逃れるべく、俺は立ち上がってブラウスの袖を握り、匂宮の腕から引き抜く準備をする。


「脱がせる前に聞いとくけど、上は何着る?」

「? いえ、ブラウスが済んだら、最後はホックを――」

「なぁ、上は何着る?」

「……ほんの冗談じゃない。乗ってくれてもいいでしょ?」


 匂宮は不服そうに黒のニットを投げ渡してきた。


 拗ねていらっしゃる。


 しかしこちらも必死なのだ。許してほしい。


 俺は慎重に匂宮からブラウスを脱がせ、できるだけ匂宮の身体を直視しないようにしながらニットを着せる。


 これがまたボタン付きの服だったら死んでたかもな。


「はい、ちょっとバンザイして」

「ん」


 言われるがまま素直に両手を上げた匂宮へニットを被せ、そのままスポッと引き下げる。


 まず頭を通して次に右腕。最後に左腕。


 仕上げに軽く引っ張って全体のバランスを整えて完了。カワイイ。


 才能あるよ俺。


 どこで活かせるポテンシャルなのかはちょっと分かんないけど。


 ともあれ。


「終わった……」

「ありがとう又野くん、おつかれさま」

「いや、別にいいけどさ……いつもは麻里さんに手伝ってもらってるの? 学校に行った日って」

「いいえ。たとえどれだけ疲れていようと、服くらい自分で着替えられるわ。普通に」

「それ、さっきの言い分と矛盾してますけど……」

「そうだったかしら? もう忘れちゃった」

「……匂宮ってさ、膝枕はあんなに恥ずかしがってたのに、こういうのは平気なの?」

「全然平気じゃないわよ。又野くんは気を遣って私の肌に触れていないから分からないでしょうけど、今も身体が凄く熱いわ」

「え……じゃあなんでこんなことを?」

「だって……」


 と。


 そこで匂宮は、気恥ずかしそうに目を逸らした。


 今まで感情を読み取られないように抑えていた限界が来たのか、顔を少しだけ赤く染め。


 消え入りそうな声で、ボソッと。


「だって……私だけ恥ずかしいのはズルいから」


 だから、道連れ。


 そう言った。







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『お前のように怠け者で醜い女は必要ない』と婚約破棄されたので、これからは辺境の王子様をお支えすることにいたします。
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