そして学校へ・・・。 その①
「こちら、又野さんの制服です。一度着てみて、サイズが合わないようでしたら言ってくださいね」
「ありがとうございます。わざわざすみません」
「いえいえ。それでは私は仕事に戻りますので、お夕飯の時間までどうぞゆっくり」
そう言って、麻里さんは軽く会釈をして俺の部屋を後にする。
帰宅中に匂宮が言っていた俺の制服がちょうど届いたらしく、ご丁寧に部屋まで持ってきてくれた。
ありがたい限りだ。
部屋着に着替える前に試着しておこう。
サイズを計った覚えも申告した記憶もないから、合ってないかもしれないしね。
「良い学校の制服ってやっぱ高いんだろうな。絶対に汚さないようにしないと……ん?」
制服の入ったダンボールを開封しようとした俺は、その上になにか別の荷物が乗っていることに気付いた。
……小包? こっちはなにが入ってるんだろう?
俺はその小包を手に取り、品物名の記載された箇所を見てみる。
品名『雑貨』、お届け先『匂宮来夢』。
「あぁ……匂宮のやつか。一緒に来てたから麻里さんが間違って俺に渡しちゃったんだ」
俺は小包を携えて自室を出、匂宮の部屋へ向かう。
麻里さんの手を煩わせるわけにもいかないし、直接届けに行くとしよう。
屋敷自体は迷子になってしまいそうなくらい広いが、俺と匂宮の部屋は割と近しい場所に位置している。
なので俺はなんの問題もなく彼女の部屋に辿り着き、扉を開ける。
というか開けてしまった。
「匂宮ちょっといい? これさ、匂宮宛の荷物が俺のところに来てて――」
「あ…………」
何気なく部屋に入ると、そこには。
スカートを下ろした状態で固まっている匂宮の姿があった。
どうやら(ていうかどう見ても)スカートを脱いでいる最中だったようで、彼女の白い脚が太ももから足先まで惜しげもなく晒されている。
「…………」
人の部屋に入るときは――ノックをしなきゃダメなんだよね。
言い訳をするわけじゃないが、女の子と一緒に暮らすっていうこと自体が初めての経験だから……うん。
「ごめん。マジでごめん。なんでもするから許して」
「いえ、鍵を掛けていなかった私も悪いし、又野くんなら見られても別にいいのだけど……それより」
と、匂宮はあろうことかスカートを床に脱ぎ捨てたままの状態で俺の方に歩み寄ってくる。
そして俺の持っていた小包をシュバっとかすめ取り、恐る恐る尋ねてきた。
「中、見た?」
「……? いや、見てないけど……」
「そう。ならいいの」
俺の答えを聞いて、なにやらもの凄く安堵した様子を見せる匂宮。
え、スカートを履きなおすことよりも優先されるほどの物なんですか、それ……。
聞くのが怖い。




