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小動物の相棒と歩む、土魔術師の冒険譚  作者: 風間 義介
4章、遺跡探求は帝国からの試練?
62/64

20、

 突然、陛下から呼び出されたハヤトたちは騎士の男に連れられ、城内へやってきた。

 これから皇帝との謁見ということになるため、正装をしなければならないところなのだが。


「急に呼び出したのはこちらだ。ドレスコードについては、陛下も気になさらないだろう」


 ということだったので、そのまま謁見の間へと通されたが、皇帝の方は準備があるらしく、しばらく待つよう、言いつけられた。

 王宮に招かれる、という経験がないハヤトとアミアは緊張で身が固くなってしまっている。

 一方、シェスカは慣れているのか、緊張感こそあるものの、ハヤトとアミアほど固くはなっておらず、むしろリラックスしているようにすら感じられた。

 そしてカインはというと。


「はぁ……さすがだなぁ、見てみろよあの装飾。ありゃかなりの腕の職人に作らせた感じだぜ? あれだけで俺たち依頼受けなくても三か月は生活できるぜ?」


 謁見の間を彩る装飾を物色し、どの装飾にどれだけの価値があるか、値踏みをしていた。

 その様子に、生真面目なシェスカが反応しないはずがなく。


「あなたね、こんなところまできてそういう態度はやめなさい……そんな態度だから、騎士団は無理って思われるのよ」

「仕方ねぇだろ? こっちはガキの頃から食うにも困ってた暮らししてたんだ。金目のものに目が行っちまうのはその時からの性分ってもんだよ」

「……だとしても、少しは落ち着きなさい? 陛下に失礼があったら、それこそ命がなくなるかもしれないのだし」

「うっ……それはやだな……」


 見習いの職人や商人といった身分の人間、あるいはカインのように貧困層に生まれた人間にとって、謁見の間に装飾されている品の数々は非常に魅力的に見えるだろう。

 だが、そこにばかり目移りして、皇帝の話をまったく聞いていないとなれば、最悪、不敬罪として処されてしまう可能性がある。

 国家に罰せられるということはさすがに避けたいのか、カインはシェスカの忠告を聞き、周囲を見回すことをやめた。

 すると。


「グランバレア帝国、第十代皇帝。カーランド・グランバレア陛下のおなり!!」


 グランバレア帝国の皇帝が謁見の間に到着したことを告げる、衛兵の声が響く。

 ハヤトたちはその声が聞こえてきた瞬間、片足でひざまずき、胸に手を当てて(こうべ)を垂れた。

 それまでハヤトの肩に乗っていたアミアも、床に降りて、同じようにひざまずき、首を下げている。

 数分もすることなく、皇帝が玉座に着いたのか。


「一同の者、(おもて)をあげよ」


 カーランド皇帝がそう命じると、ハヤトたちは一斉に顔をあげ、皇帝へ視線を向ける。

 意志の強さが現れている鋭い眼光に、長いあごひげと口ひげ。黒々とした髪と鋭い眼光が、即位し、長く平穏を保ってきた国家元首としての威厳と、衰えることのない覇気を感じさせた。

 そんな皇帝がハヤトたちを見た瞬間、眉をひそめ、問いかけてくる。


「はて? 名簿にはハヤト、アミア、カイン、シェスカの四名の名が書かれていたはずだが……」

「恐れながら陛下。アミアはここに」

「む?」


 アミアの姿が見えなかったことに疑問符を抱いていたようだが、皇帝の言葉にはアミアも無礼を承知で苦言を呈したくなったらしい。

 できる限り怒りを抑え、失礼のないように言葉を選びながら声をあげる。

 その言葉は皇帝にも届いたらしく、姿なき声に周囲を見回していた。

 なかなかその姿を認められない皇帝たちに、アミアは再び声をあげる。


「陛下! アミアはここに!! 冒険者ハヤトの脇におります!!」


 その声に、皇帝たちはハヤトの方へ視線を向けてくる。

 皇帝から見た左側に、小さなもふもふとした何かを見つけ。


「なんと……これは失礼した」

「いえいえ……僕の体が小さいことが原因なので」


 やや不貞腐れたような雰囲気でそう語るアミアに、ハヤトは苦笑を浮かべる。

 そんなやりとりが行われ、少し気まずい空気が流れたが、皇帝がその雰囲気を打ち払うように咳ばらいをし。


「さて、ここに来てもらった理由はすでに騎士から聞いているな?」

「はい。先日、騎士団からの依頼で潜入した遺跡に関することと伺っております」

「うむ。あの遺跡は建国以前から存在していると伝わっているもので、現在も騎士団の護衛任務の訓練もかねて考古学者に調査を依頼している」


 皇帝の話では、騎士団が訓練場として利用している遺跡は建国以前から存在していたらしく、この城を建築する際に発見されたもので、現在も調査が続いている。

 これまでの調査で発見されたどの遺跡よりも時代が古く、あるいは超古代文明の謎を解く手がかりになるのではないか、というのが現在、報告されている内容なのだという。

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