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小動物の相棒と歩む、土魔術師の冒険譚  作者: 風間 義介
4章、遺跡探求は帝国からの試練?
54/64

12、

 カインとシェスカの因縁について知ることができたハヤトとアミアだが、ひとまず、現在以上に険悪な状態になることはないことを悟った。

 要はシェスカが生真面目すぎるためにカインの不真面目さが気に入らないというだけであり、彼女の器の小ささが二人の間に不和を生み出すことになったらしい。

 だが、それもまた彼女の色であることはわかっているハヤトとアミアは、自分たちがある程度許容することで、いつも通り、仲裁役に徹することに決め。


「さてと、それじゃそろそろ出発しようか」

「そうね」

「だな。下手すると、ほかの連中が来ちまいそうだし」


 昔話を終わりにして、先へ進むことにした。

 手早く食器類を片付け、魔物を避けるために作り上げた岩壁を解除して、ハヤトたちは再び遺跡の奥へと進み始める。

 相も変わらぬ石造りの壁と床。代わり映えのしない罠に、スケルトン。

 さすがにそろそろ変化が起きてくれてもいいようなものだが、その兆候すら見られない。

 遺跡ならば期待させてほしい発掘品や、まだ手を付けられていない宝物の類があってもおかしくないのだが、その気配がまったく見られないことに、さすがにハヤトたちはおかしいと感じ始めていた。


「なぁ、さすがにおかしいと思うんだが、どう思うよ?」

「宝物がないってことについてならわかるけど、ここまで用途がわからない遺跡も初めてだな」

「普通、神殿とか要塞とか、用途がはっきりわかるものだと思うんだけど……」


 カインの疑問に言葉を返しながら、アミアは周囲を見渡す。

 アミアがいうように、遺跡というものは過去に建造された建物や事件、事故などの痕跡のことである。後者はともかく、前者については人間などの知性ある生物が何かしらの目的をもって作られたものだ。

 そのため、用途や目的に合わせた構造や装飾がなされているものであるのだが、いま自分たちが歩いている遺跡はその目的も用途もまったくわからない。

 しいて言うならば、要塞のような印象を受けるのだが、だとしてもなぜ城の地下に存在しているのか。

 学術的な調査は専門家の仕事ではあるのだが、それらの疑問に気づいてしまい、居心地の悪さを感じているようだ。

 その居心地の悪さは、シェスカにも伝播したらしく。


「たしかに、装飾の一つもないなんて、ちょっとおかしい気がするわね……」


 こんなことに口を出すようなことはしない性格をしているシェスカも、今まで通ってきた通路についての疑問を口にしていた。


「けど、さすがに知識のないわたしたちがあれこれ議論しても仕方がないことではないかしら?」

「まぁ、それはそうだ」

「……自分で振っておいて、随分あっさりしてるな。おい」


 だが、気にしていても仕方がないという事実の方が、シェスカの中では大きいらしい。

 その一言で、カインもあっさりと引き下がったのだが、ハヤトはまだ引っ掛かりを覚えているらしく、カインのその態度に苦笑を浮かべていた。

 一方、アミアもハヤトと同じく、まだ引っ掛かるところがあったようだが。


「まぁ、けど確かに僕らが考えても仕方ないことだよね……」


 考えても答えが出ない事柄に時間を割くつもりがないらしく、アミアも引き下がることにしたらしい。

 だが、単純に思考を放棄したというわけではなく。


「それに、ここからさらに奥へ進めば何かわかるかもしれないし、今は進むことを考えようよ」


 いつまでもこの場にとどまって、ああでもないこうでもない、と議論を続けることは、確かに非効率的だ。

 ならば、奥の方へ進んでいった方が新しい情報を得ることができるかもしれない、ということなのだろう。

 その考えにハヤトも同意し。


「そうだな。さっさと外の空気を吸いたいし、それに……」


 いい加減、閉塞的な空間に飽き飽きしてきたところだ。

 おまけに地下である関係上、空気の澱みもひどく、息苦しさを感じてきている。

 その息苦しさを解消するために持ってきていた風属性の巻物も、心もとなくなってきているところだ。

 何より。


「薬や食材も心もとなくなってきてるし」


 本来ならもう少し薬や食材、巻物の類を準備してから突入するつもりだったのだが、その準備時間は非常に短いものであった。

 そのため、持ち出せた荷物はあまり余裕がなく、あまり消耗することができない状況にある。

 できる限り早く、ここから引き揚げなければ、自分たちの身が危なくなってしまう。

 色々と気になるところは残ったままであるが、安全を確保するためにも、この場に留まることは得策ではない。


「そういうこと。さっさと先に行こうぜ」


 カインが一言そう告げると、通路の奥へと一足先に進んでいく。

 その後ろを追いかける形で、ハヤトとシェスカも進む。

 まったく変化しない、装飾のない石壁と床で構築された通路をしばらく行くと、今までとは趣が異なる大部屋に到着した。


「お? なんかここ、今までと違くないか?」

「そうだね……少し、周りを調べてみようよ」


 アミアの提案に、一向は部屋の探索を行うことにしたが、最初にカインが周囲に罠がないかどうかだけ、簡単な探索を開始した。

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