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小動物の相棒と歩む、土魔術師の冒険譚  作者: 風間 義介
3章、シェスカとカイン
33/64

8、

 遅れて合流してきたカインに連れられ、ハヤトとシェスカは森を抜け、崖を下り始めた。

 崖の下には馬車が二台、並んで通れるほどの幅の道があり、そこをしばらくいくと、明らかに自然にできたものではない、洞窟の入口がある。


「てなわけで、今回のツアーは洞窟探検ツアーとなっておりまぁす」

「はぁ……調べものがあるからって遅刻して、何を考えてるわけ?」


 お茶らけたカインの態度に、シェスカはため息をつく。

 真面目に仕事をしようとしているシェスカからすれば、カインの態度は何も考えずただふざけているとしか見えないようだ。

 だが、本人はいたって真面目のようで。


「おいおい、別に俺は遊んでたわけじゃないぜ?」

「ま、まぁ、シェスカさん。ひとまず、カインの話を聞きましょう?」

「そ、そうですよ。カインは態度があれでも仕事に対しては真面目に取り組む人間ですから」

「というか、カイン。お前、わかってて煽ろうとするのはやめろ」


 今にも殴りかかりそうになっているシェスカをなだめ、あえて煽ろうとしているカインを諌めるように、ハヤトとアミアは口を開く。

 ハヤトに諌められたカインは、謝罪する様子もなく、自分が何を意図してこの場所にハヤトたちを連れてきたのか、その理由を説明し始めた。


「この岩山は昔、帝都の建材に使用する石材を採掘していたんだよ。だが、ここ数年でほかの領地からもっと質のいい石材が運ばれるようになってから、使われなくなったんだよ」

「使用されなくなった廃坑をカンダラたちが拠点として利用しているってわけか」

「そういうわけ」

「で、なんでわざわざこの場所から入るの? 正面からでも変わりないんじゃない?」


 カンダラたちがこの岩山に潜んでいるということはわかっている。

 だが、この岩山でどうやって生活しているのか、どのような居住スペースを確保しているのか。

 それはわかっていない。

 突入したとしてもカンダラたちを探す必要があるため、正面から入ろうが裏口から入ろうが、そこで時間を取られることは変わりないたえ、シェスカは正面から入ろうとしていたのだ。

 だが、カインはシェスカの言葉に右手の人差し指を立て、左右に揺らす。


「チッチッチ、甘いぜシェスカ。あいつらの居住スペースについても、大体の予想はついてる」

「え?!」

「さっきも話した通り、この岩山は昔、建材に使用する石材の採掘を目的にしていた。地盤もかなり頑丈だったから、労働者が寝泊まりする場所や切り出した石材を保管する場所、食材や資材、道具の保管庫なんかもこの岩山の中に作られたんだと」

「てことは、カンダラたちはその施設のどこかに?」

「それもだいたい予想がついてる」


 複数の施設があるのならば、カンダラたちがどこにいるのかはわからない。

 だが、カインはその場所も目星をつけていた。


「現場監督と帝国貴族が石材採掘の計画を話し合うために使われた場所がある。ある程度の広さもあるみたいだから、そこを使ってるんじゃないか」


 どうやら、石材採掘の計画を話し合う目的で作られた場所があるらしい。

 会議を行うだけであるため、さほど広さは必要ないように思われるが、その部屋は帝国貴族と現場監督だけでなく、地質学者や現場で働く鉱員たちに配給する食事や道具などを取り扱う商人もその場に居合わせていたため、それなりの広さを必要としたという。

 頭目のカンダラと構成員のまとめ役たちが話し合いを行うには、うってつけの場所ということだ。

 そこまでの情報をカインが話してくれると。


「すっごい……遅刻した分はきっちり取り返したわけだね」

「まぁな。大変だったぜ? マスターから岩山についての情報だけじゃなくて、当時働いていた鉱員のことも聞いたんだからよ」

「……」

「だってのに、お前ら、待ってねぇで先に行っちまうんだもんなぁ……」


 これ見よがしにカインは置いてけぼりを食らったことについて文句を言い出す。

 ここまでの情報を集めるために、それなりの時間は必要だったはずだ。

 集合場所に遅れてしまったことも、致し方ないことだろう。

 もっとも。


「ま、大方、シェスカが俺のこと置いて行って問題ないって思ったんだろ。ハヤトが途中の関所の警備兵に俺のこと伝えといてくれたから、チャラってことにしといてやるよ」

「……ごめんなさい」


 置いていったことに関しては、シェスカも申し訳ないと思うようになったようだ。

 しおらしい態度で謝罪すると、カインはため息をつく。


「別にもういいって。それよか、早いとこ出発した方がいいだろ?」

「え、えぇ」

「一応、覚えてる範囲で地図も書いてもらったから、これ見ながら進もうぜ」

「え、えぇ……ハヤトくんとアミアさんもそれでいいかしら?」

「あぁ」

「僕も異論ないよ」


 シェスカの問いかけにハヤトとアミアが返す。

 すると、シェスカが先に洞窟に入ろうとするが、それをカインが止める。


「おいおい。いくら地図があるからって、いきなり入ろうとする奴があるか?」

「え?」

「昔は採石場だったかもしれねぇが、今は盗賊のねぐらだぞ? 罠がいくつも仕掛けられてるってことくらい考えろよ」


 いくら険悪な仲だからといって、目の前で罠にかかって怪我をしたり、最悪の場合、命を落としたりされることは、さすがに目覚めが悪いらしい。

 無防備な状態で洞窟に入っていこうとするシェスカをカインが止める。

 その後、罠が仕掛けられている可能性を考慮し、斥候であるカインを先頭にして洞窟の中を進んでいくことで話がまとまり、改めて、ハヤトたちは洞窟の中へと入っていった。

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