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小動物の相棒と歩む、土魔術師の冒険譚  作者: 風間 義介
3章、シェスカとカイン
30/64

5、

 シェスカの実力の一端を目の当たりにしたハヤトとアミアは、カインが一体何をしたのか気になりながらも問いかけることなく、目的地へと足を進め、その道中にある関所にたどり着く。

 だが、ハヤトとアミアは検問を前に首をかしげていた。


「アミア、こんなとこに関所ってあったっけ?」

「なかった、と思うけど……最近になって建造したのかな?」


 ハヤトとアミアも、一応はグランバレア周囲の地理を頭に入れている。

 当然、関所などの所在地も覚えているのだが、記憶が正しければ、現在いる場所に関所はなかったはずだ。

 二人そろって記憶違いということもないだろうが、と首をかしげていると。


「ここ、例の盗賊団対策のために作られた場所なのよ」


 と、シェスカが教えてくれた。

 その説明にハヤトとアミアは、この関所が最近になって勢力を伸ばしている盗賊団を取り締まるため、警ら隊の出張支部として建設されたものであることを理解する。

 だが、いくら犯罪者を取り締まるためとしても、関所の建設に使用される資金は決して安いものではない。

 だというのに、いまだに成果をあげることができないというのは、警ら隊の練度が低いのか。それとも盗賊団の実力が高いのか。

 そのあたりの疑問が沸き上がってくる。

 それに気づいたのか。


「警ら隊の人たちは頑張ってくれているのよ? けれど、カンダラはなぜか勘が鋭いみたいで、彼らの警備網の穴を突いてくるの」


 と、警ら隊の人間に気を使ってか、ハヤトとアミアに耳打ちしながらシェスカが説明してくる。


「警備網の穴を突くって……そもそも穴を見つけること自体がかなり難しいことなんじゃ?」

「えぇ、かなり難しいわよ?」

「なのに的確に穴を見つけるって……もしかして内通者がいるんじゃ?」


 盗賊団をはじめとする犯罪組織を相手にする際、警ら隊が最も警戒することは情報が漏洩することだ。

 特に警備に関する情報は、襲撃のタイミングや逃走ルートの確保などを考えるうえで、犯罪組織が欲しがるもので、その情報を得るために様々な手段を用いてくる。

 その手段の中には、警ら隊の中に自分たちの手の者を紛れ込ませることや警ら隊の人間を買収するなどの方法も含まれるため、もしもアミアのいうように、に内通者がいるのならば。警ら隊はあぶり出しにも力を注がなければならない。


「えぇ。けれど、だからってカンダラたちを放っておくわけにはいかないの。とはいえ、下っ端だけでも討伐しようとしたけれど、どうにも人手が足りないから、こうしてギルドに実力を認められた冒険者に直接依頼を出した。これが、わたしが依頼を受けた経緯なのよ」

「内通者のあぶり出しと盗賊の討伐を同時進行するための苦肉の策ってことか……」

「でも、それにしてもシェスカさん一人だけっていうのはおかしくない? こういうのは人海戦術が物を言うでしょ?」

「そうなのだけれど……」


 依頼を受けることになった経緯を説明してくれたシェスカだったが、シェスカのみが指名された理由をどう説明したものか考えあぐねている様子だった。

 すると、いつまでも立ち話をしているハヤトたちを怪しんだのか、関所の門前に立っていた見張りの一人が近づき、声をかけてくる。


「失礼、冒険者の方々ですか?」

「あ、はい」

「どのようなご用件で?」

「あ、えぇと……」


 ハヤトは警備兵の問いかけにどう説明しようか考えていると。


「ギルドからの依頼で来ました。彼はその同行者です」


 シェスカが警備兵の問いかけに答え、一枚の封筒を差し出す。

 封筒を受け取った警備兵はその中身を確認し。


「失礼しました! ご協力、ありがとうございます!!」

「いえ。皆さんもお疲れ様です」

「ところで、パーティはお二人だけなのでしょうか?」

「えぇまぁ、いまのところは」


 ハヤトの返答にいつもならば怒りながら名乗り出るアミアだが、シェスカから内通者がいる可能性を聞いていたため、警戒心が出ているのか、名乗り出てこない。

 そのため、警備兵はアミアの存在に気づくことはなく、落胆した顔を浮かべる。


「そうですか……」

「あの、もしかして人数が少ないということにショックを受けています?」

「正直申し上げて、その通りです」


 申し訳ない、警備兵は謝罪し、自分たちの現状を説明してくれた。

 おおむね、シェスカが先ほど説明してくれた通りなのだが。


「カンダラ配下の人数が多いということもそうなのですが、カンダラ本人も含め、構成員の多くがかなりの手練れでして」

「それなりに人数をそろえないと全滅もありえる、と?」

「えぇ。それに、連中は森の魔物を一部手なずけているようでして勢力がかなり大きいんです。掃討作戦を行うにしても、地の利は連中にありますし、かといって森を焼き払うこともできません」

「せめて数だけでも優勢に立ちたいから、冒険者もそれなりの人数を期待していたと」

「はい。あなた方の実力を疑っているわけではないのですが、やはり物量の多い少ないは戦況を左右する大きな要因となりますから」


 本来ならば警備兵をもう少し多く派遣してもらいたいところなのだが、ここは国境に面しているわけでもなければ、魔物の大移動などの警戒が必要な場所というわけでもない。

 まして騎士団や帝国軍に出張ってもらうこともできず、こうして冒険者に依頼を出しているのだが、応じてくれたのはたったの二人。

 それではため息もつきたくなるというものだ。

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