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刻旅行 ~世界を越えて家族探し 戦ったり、恋したり、露出に目覚めてみたり?~  作者: ともはっと
三章:変わる世界

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03-01 ナオ――

3章の始まりです。

3章からやっと色んな話が動き出します。


 お兄たんは、何度もナオの頭を撫でてくれて、そして、また寝ちゃった。


「はれっ?」と言って布団に落ちていったけど、『はれっ』ってなんだろ。

 ……今度聞いてみよ。


 何日寝たらお兄たんはいつもと変わらずに過ごせるのか心配。


 お兄たんにナオの――碧お姉たんの記憶を見せてから、もう……一週間は寝続けてるから。

 少し前に起きて話できたのが奇跡。

 やっと起きて、戻ってきてくれたって、ほっとした。


 流石にやりすぎたと思った。

 ナオの『力』は、人に使っちゃだめなんだってわかった。

 でも、今回はどうしてもお兄たんに伝えたかったの。

 だから伝えた。

 ……お兄たんの話だと、お兄たんの力で更にすごいことになったみたいだけど。


 でも、そのおかげでお兄たんは碧お姉たんに会うことができた。

 ナオにも教えてくれた。

 碧お姉たんともまた会えるって言ってくれた。

 その時は、ちゃんとありがとう言わないと。


「碧お姉たん」


 寝ているお兄たんの頭を撫でながら、お兄たんの心の中にずっと居続ける碧お姉たんに声をかける。


 碧お姉たんが何度も触れていたはずの、お兄たんの頭を撫でるのはとても気持ちよくて心がほかほかする。

 こうやって撫でたり撫でたりしてもらえるのも、碧お姉たんのおかげ。

 ずっと撫でてても飽きないの。


 碧お姉たんのおかげでナオはおっきくなって、碧お姉たんの記憶でここまで色々できるようになった。

 すぐにお兄たんとも喋れるようになったのも、全部碧お姉たんのおかげ。

 まだ分からない言葉はあるけれど、いつかはちゃんと分かるようになると思う。


「碧お姉たんが言う通り。お兄たんは、かっこいい」


 いつも「にぎゃあ」されるけど、でもかっこいい。いつもナオを守ってくれる。


 そんなお兄たんと、これから一緒に、碧お姉たんを迎えにいく。

 まだどうしたら体を失った碧お姉たんを救えばいいのか分からないけど。

 絶対、碧お姉たんと一緒に遊ぶ。


 それがナオの目標。


 碧お姉たん。

 お兄たんとは仲良くする。一緒に碧お姉たんも探す。

 きっと見つける。

 ううん。違う。





 《《すぐに見つけることができる》》って分かってるの。

 だって、ナオは、『力』で知りたい未来を少しだけ見ることができるから。


 碧お姉たんを助けられる。また会うことができることが分かった。それが分かったのは嬉しい。だからさっきお兄たんに伝えたことはすべて本当。








 でもね。







 《《奪っちゃダメ》》ってのは聞けないの。



 お兄たんの頭を撫でていると、お兄たんが「ううん」と寝返りを打った。

 少しだけむにゃっと、何か言ったような顔をするお兄たんが可愛い。


 碧お姉たんの体をもらったの。

 心はお兄たんの妹だけど。体は碧お姉たんの体だから、他人みたいなものだよ?


 碧お姉たんがそうだったから。ナオだってお兄たんと仲良くなってもいいはず。


 碧お姉たんみたいに、ナオもお兄たんが好き。

 だから、碧お姉たんとお兄たんがまた今度会う前に。

 お兄たんはナオのこと、妹としてしか見てくれないから。


 『きせいじじつ』を作ればナオの勝ち。


 それに、《《アレより》》先に、お兄たんを手に入れないと。

 だから碧お姉たん。アレより先だったらナオのほうがいいよね?



 さてさて。

 ちょうどお兄たんが寝ているから、とっとと済ませないと。


 お兄たんがちょうどこちらに顔を向けている今がチャンス。


 ナオはお兄たんのことが大好きです。


 そう思いながら、お兄たんの唇目がけて顔を近づける。


「――ですか――今日は――」

「待って――まだ寝て――」


 声が聞こえる。

 うるさいけど、あの声は弥生お兄ちゃんと巫女お姉ちゃんだ。

 何かを止めるような声が聞こえて、かつかつと階段を複数人が登ってくる音が聞こえた。


「んぁあ? なんだ? 騒がしい……」


 騒がしさにお兄たんが起きた。

 眠そうに眼を擦りながら、上半身を起こして大きな欠伸と背伸びをする。


 ああ、もう起きちゃった。


 ポケットに手を突っ込みため息をつく。

 これからきせいじじつを作る予定が全部ダメになった。

 でも、まずは第一歩。

 目的は少しだけ達成したから満足なの。


 ちょっと顔が赤いからパーカーを深く被って隠す。


 一番会いたくないアレが近づいてくる。

 ナオにも分からない、何者か分からないアレ。

 なぜか先が見えないアレ。


「今日がその日、なの」


 予定をダメにした元凶が、こんこんっと扉をノックする。


「失礼します……」


 扉が開いて現れたのはお兄たんと同じ年頃の女の子。




 『力』で見る世界で、常にお兄たんの傍にいるアレ。


 ナオと碧お姉たんから、お兄たんを奪う、《《天敵》》がそこにいた。



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