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刻旅行 ~世界を越えて家族探し 戦ったり、恋したり、露出に目覚めてみたり?~  作者: ともはっと
ナギと凪

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04-05 出発前の四日間

 皆と話をしてから早四日が経った。


 初日は、ナオのお友達である眼鏡ちゃんを朝から盛大に祝う。

 朝早く起きてありとあらゆる甘味を出したら皆からブーイングの嵐が起きた。


「朝から甘すぎよ。太らせる気?」


 そんな貴美子おばさんの呆れた言葉とは正反対に、


「クレープだよっ! お兄ちゃんの作った奇跡の食べ物、クレープだよぅ!」


 とまあ、感極まった碧がもぐもぐとリスのように頬張らせて食べる様が印象的だった。

 横で同じようにナオがもぐもぐしている。


 うむ。俺の妹達は可愛い。


 眼鏡ちゃんも美味しそうに食べてくれていたのは嬉しかったが、


「お店もてますね。水原様、あちらの三原商店を改築してお店出しませんか? 費用面はこちら持ちでいかがでしょうか」


 と、強くも弱くもない交渉をしばらく続けられて断ることには苦労した。


「いや、知り合いに食べてもらう程度だから」

「夏美さん。売り出す気ならとっくに華名家で試みてるわよ」

「そう、ですよね……惜しいですね」


 そう思ってくれるのは素直に嬉しいのだが、これ以上俺の仕事を増やさないでくれると助かる。


 そんな危うく、人具販売店から喫茶店に早変わりしそうになった三原商店は、次の日には在庫がかつかつで、巫女から悲鳴が上がっていた。


「凪君……出来たら早めに補充してほしい……」


 ぐでっと机に突っ伏して疲れを表現するたゆんが、三原商店から俺の家に避難してきた。


 どうやら、先日の新人類の襲撃に危機感を持った守護者候補生や近隣住民がこぞって購入しに来ているらしい。

 ストックしていた人具が繁盛しすぎてなくなったそうだ。


 そんな簡単には壊れないはずの人具がなぜこんなにも売れてしまうのかは謎だが、今の俺ならいくらでも作ることができる。


「今すぐ物干し竿持ってこいっ!」


 そんな号令に、皆が物干し竿を集めだす。物干し竿を集める様ってシュールだなと思う。


 ナギにも力を借りて、不可逆流動ドライブして、ずらっと並べられた神鉱入りの物干し竿に触れていくだけの簡単なお仕事だ。


「何で俺もやらなきゃダメなんだよ!」


 白萩と達也に物干し竿に入れる神鉱を砕く地道な作業をやらせてみたら、すぐに音をあげる。その様を笑いながら、一気に作っていく。


「腕が痛くてあがらないです」

「そのまま一生あがらなければいいの」

「じゃあ、ナオちゃんが面倒見てくれる?」

「むっ。断るの。ナオはお兄たんに面倒見てもらうの」


 達也があの日から妙に強気なアタックをナオにかけるようになった。


「私も御主人様に面倒見てもらいます」


 そこに乗っかってくる姫にナオと碧が猛反撃するまでがワンセット。

 ナオに至っては達也から逃げるために常に俺に抱きつくようになって困る。


 なんだろう。達也が可哀想になってきた。


「ちゃぱつー」


 と、碧が不可逆流動ドライブして茶髪になった俺の頭を執拗に撫でてくるが、やはりこいつは茶髪フェチなんだろうとも思う。


 三日目は学園に行き、壊れた拡神柱の修復を行った。

 思いの外破損が激しい学園を見て、あの時どれだけの新人類がいたのかは分からないが、数人でこの破壊を行ったのであればかなり手強い相手だと、新人類の脅威を知った。


 砂名程であれば、さほど強くないようにも思えるが、守護の光を纏っているからであり、あれが何十と襲って来たら学園生だと太刀打ち出来ないと思えた。


 とはいえ、学園棟はほとんど壊れておらず。

 壊れているのは修練場だ。

 本当にコロッセオのような破損具合で、これを人がやったのかと驚いた。


「あなたも一部壊してるわよ」


 ……はい。ごもっともです。


「急務ではあるわよね。夏美さんの言う通り、拡神柱を作って稼働させないと負けるわね」

「はい。ただ、それほど量産は出来ていませんので、まだ時間はかかります」


 眼鏡ちゃんが申し訳なさそうに項垂れる。

 眼鏡ちゃんこと亞名財閥は、幅広く事業展開する華名財閥と違い、生産特化のグループらしい。

 父さんがいなくなって人具が枯渇した時に辛うじて防衛できていたのは、亞名財閥の力によるものが高く、人具開発等にも着手している。

 とは言うものの、出来上がり品は人具の量産の量産品だ。

 実のところ、俺は喉から手が出るほど欲しい人材だそうだ。


「水原様が奈名家を再興されるのであれば、是非亞名家も取り込んでください。で、その人具を作る技術を是非に」


 なんて言われても。

 俺以外作れる人いるんかな……?


「華名家も凪くんの物になるし、砂名家は取り潰し決定。残るは太名家があるけど、一度全財閥を奈名家の名の元に一つにするほうがいいかもしれないわね」


 えー……?

 俺が奈名家を再興する話でどんどん進んでないかい?


「そんな数年後より、今ね。拡神柱がまだ出来てないから、今はどうやって新人類から身を護るか、ね」


 学園の壊れた拡神柱の修理が終わり、後は俺が力を流すだけだけとなったのでピアスを弾いて拡神柱に力を流し込む。


 まだ肝心の拡神柱の数は足りない。

 神鉱を混ぜ合わせるのだが、そもそも神鉱が足りていないのだ。


「神鉱は貴重な資源ですから……集まらないのが難点です。水原基大様がいた頃はまだかなりの数が出回っていたそうですが、行方不明になってからは激減しています」

「そうなのよね……凪くんがぽんぽん人具作るときに使うから気にならなくなったけど、あれ、本当に貴重なものなのよ?」


 ん? あれ。まさか……。

 眼鏡ちゃんの憂いの混じった言葉に、なぜ神鉱が足りないのか分かった気がする。


「俺の家の、使えば?」

「え?」

「ああ、眼鏡ちゃん、俺の家の二階見てないか」

「凪くん。あなたが困らない? 人具作れなくなるわよ?」


 ああ。そうか。皆知らないんだよな。

 神鉱が枯渇している理由も理解できてきた。


「ああ、神鉱。俺の家の二階が産出地だよ」

「「……は?」」


 減らないんだ。

 以前貴美子おばさんには伝えた気もするが、いくら使おうが、二階の神鉱は減らない。

 気づけば補充されているのだ。


 恐らくは出回らなかった理由もここだ。

 父さんが二階で溢れだす神鉱を世に排出していたが、行方を眩ましたから出回らなくなったのだろう。


「……てなわけで、いくらでも持っていくといい」

「あなた……世界を、救う気!?」


 いや、そんな壮大なこと言われても知らんよ。


 とはいっても、俺の家は本当に不思議だ。

 家主が許可しないと見ることさえできない完璧なセキュリティに、二階から溢れる貴重な鉱石。


 一度調べる必要はあるが、後回しだな。


「すぐ生産に取りかかっても、まだ時間はかかるわね」

「最低でも一週間は欲しいです」

「その間に攻めてこられると危険だけど、先にナギの森林公園の用事を済ませたほうがいいのかもしれないわね」


 どれだけの戦力が向こうに整っているのかは分からないが、そうなると、守護の光を発動できる人数がこちら側に多い方がいい。

 最も経験のある火之村さんにも、防備に残ってもらうことになった。


 これで、森林公園に行くのは俺と白萩のみになる。


 正直に言うと、森林公園に行くのは俺一人でも十分ではある。最悪、ナギに体を明け渡して暴れてもらえば何とかなるからだ。


「流星さんは、その……」

「? そういや、白萩って、眼鏡ちゃんの護衛なんだっけ?」


 いつの間にか、亞名家当主の護衛という、とんでも出世をした白萩も、眼鏡ちゃんを警護するため居残りに。


「ナギ、俺達だけで行くか……」

「そうだね。考えてみたら、今すぐ行きたいのに、色々な問題が重なりすぎてるね」


 結局、俺だけが森林公園に行くことになった。

 誘ったけど誰も来なくなった。

 信頼や信望がなくて皆に断られた訳じゃないことは理解しておきたいし、拗ねてるわけじゃない。


 そんな会話をしている間にも、無事学園の拡神柱は修復終了し、学園全体に拡膜を張らした。

 これでこの学園も少しは安全になっただろう。


 解放? そんなことは勿論しなかったさ。

 解放じゃない。

 俺にとっては、切り離す(パージ)だ。


「「きゃあぁぁぁっ!」」


 眼鏡ちゃんと巫女の素晴らしい悲鳴(ご褒美)が辺りに響く。

 巫女に至ってはにやりとしながらだったので慣れたもんだ。ある意味楽しんでいるのだろう。

 ほら、二度あることは三度あるって言うだろう?


「御主人様。御立派です」

「お兄ちゃんダメっ!」


 だそうだ。


 何があったかはお察しだ。



 そして、森林公園への出発の日。


「さ。行こうか」


 俺の肩に乗るナギが、器用に俺の肩の上でくるくる回る。


「ボク頑張るよっ!」

「御主人様、ナオ様と碧様の護衛はお任せください」

「ナオはお兄たんに一生守ってもらいたいの」

「「それ(です)」」


 俺の隣で張り切る碧と最初から歩く気のないナオが『今日は御主人様とデート』エプロンを装着した姫に抱っこされながら後に続く。


 ……何で、このメンバーになった……?



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