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第43話

 新人ウィザードくんを迎えるまで後1週間―。


 わたしは高橋さんと2人で休憩室で話し合いをしていた。


「教育係ですか?」

「そう、教育係。」


 エピンの退職に関する話し合いだと思ってたでしょ?


 残念でした。


 一応、あれからずっと辞めたいとは高橋さんに言ってるんだけど、ここ最近は何かとスルーされるんだよね―。


 その証拠に今も新しいお仕事を頼まれているところである。


 この人、ちゃんと人の話聞いてるのかな?


「田中さんがいろいろ教えてくれてただろ?今度は佐藤さんが池田くんにいろいろと教えてあげる番だ。」


 池田くんというのは新人ウィザードくんのお名前だよ。


 名前だけ聞くとおとなしそうな感じがするウィザードだね。


「でも、わたしなんかに務まりますか?」

「他人に教えることによって自分も成長するって言うだろ?これは佐藤さんのためにもなると俺は思ってるで。」

「でも―。」

「中村さんのことは気にするな。自分の成長のためと思って引き受けてくれないか?」


 気にするなと言われてもなぁ―。


 絶対にあいつ、邪魔してくるじゃん?


 だって、新人がウィザードって聞いただけであのテンションだよ?


 ―そうか。


 あのときも2人きりだったから誰も高飛車のテンションの高さを知らないんだな―。


「分かりました。やってみます。」

「本当か!ありがとう!どんなことを教育してほしいかの資料は用意しとくわ!池田くんの先輩ウィッチとして頑張ってな!」


 高橋さんはわたしの肩をポンと叩いた。


 先輩ウィッチ―。


 後少しでわたしも先輩になるんだ―。


 今思えばひどく辛い1年だったなぁ―。


 周りの魔法使いについていけず邪魔者扱いされたり、高飛車に理不尽にもいじめられたり、それも平気で見て見ぬふりされたり―。


 辛い思いをした1年はすごく長かった。


 しかし、振り返るととても短い1年に思えてしまう。


 4月からも辛い1年になるだろうか?


 それとも環境が変わって笑いの絶えない1年になるだろうか?


「すごく楽しみやな!」


 高橋さんはそう呟くと休憩室を出ていった。


 ―わたしの顔に楽しみって書いてあったかな?


 わたしも顔を叩いて表情を整えた後に休憩室を出ていった。


 きっと楽しい1年になると信じて―。


 ☆


 このとき、すでに高橋さんの身体に異変は生じていたのであった。


 しかし、そんなことを2年目ウィッチになろうかというわたしが気付くはずもなかった―。

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