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第39話

 1月―。


 やっぱり外はまだ寒いね。


 読者の皆さんは年末年始何してた?


 わたしは運良く年末年始に6連休をもらえたので魔法学校時代の友達に会ったり、ゴロゴロしたり、家族で初詣に行ったりしたよ。


 しかし、6日もエピンに行かなくなると本当に足取りが重くなるよね―。


 休み明けて数日間は本当に鬱だったよ―。


 でもね、今日もお仕事だけどすごいウキウキしてるんだ!


 実は年末当たりにこのようなお話があったんだ。


 ☆


「秘書ですか?」

「そう。林さんが募集してるんだって。」


 客足も収まってきた夕方にわたしと鈴木さんは2人で話し合っていた。


 なぜだか分からないけれど、このときの鈴木さんはすごく落ち着いていた。


「佐藤さんは興味ないかなと思って―。」

「めっちゃ興味あります!」

「あら、本当?なら、林さんに連絡しておくわ。応募が多いと抽選になるから必ず出来るってわけではないからそこは悪しからずね。」

「はい!」


 ☆


 そして、わたしは見事に林さんの秘書に選ばれました!


 パチパチパチ―。


 何で秘書をやりたかったかって?


 だって、秘書として活動してる間はエピンに行かなくてもいいじゃん?


 1分1秒でも高飛車に会わなくて済むとかなんて素晴らしいお仕事なんだろうと思うよ。


 さて、林さんとの待ち合わせはここら辺なんだけど―。


 っていうか、秘書って何するんだろう?


 林さんの言葉を一語一句メモしていくのかな?


 ―メモ帳持ってない気がする。


 それに、普段の林さんって何してるんだろう?


 高橋さんみたいにお店で働いてるのかな?


 だったら、秘書とかいる?


 その前に、この前高飛車によって刷り込まれたわたしの悪いところを覆すような素晴らしき行動をとらないと―。


 今思えば、わたしって林さんについて全然知らないんだなぁ―。


 いうて、高橋さんのことも深く理解してるわけではないけど―。


 あーだこーだいろいろ考えていると、


「佐藤ちゃん、お疲れ様!」


 振り返ると林さんとその隣に1人のウィッチがいた。


「お待たせ、佐藤ちゃん。今日一緒に秘書活動をしてもらう森さん。よろしくな。」

「よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願いします!」


 うわぁ―。


 わたし、すごい人見知りなんだけど大丈夫かなぁ―。


 と思ったのだが、林さんがお互いに話しやすい環境を作ってくれたのですぐに森さんと仲良くなれた。


 お互い「佐藤ちゃん」「森ちゃん」って呼べる仲になれたよ。


 そして、本命の秘書のお仕事はというと、魔法学校に赴いて演説することだった。


 林さんは5(ファイブ)について、わたしと森ちゃんはウィッチになってよかったことを学生に伝えた。


 まぁ今のところウィッチになってよかったことがないわたしは嘘八百を並べて適当なことを言ったけどね。


 そんな嘘を目を輝かせながら聞いてくれた学生たちよ、本当に申し訳ない―。


 ☆


 無事に演説を終えたわたしたちはカフェでお茶をしていた。


 林さんの奢りでね。


「2人とも今日はありがとう。すごく助かったよ!」

「いえ、こちらこそすごく楽しかったです。林さんはいつもこのような活動をしているのですか?」

「うん。俺は未来のウィザードまたはウィッチを担う子たちに希望を与えたくてね。店では働かずこのような活動をさせてもらってるよ。まぁ仕事に飽きたら店に寄ってかわいいウィッチちゃんを見にくんだ。よく高橋にはサボりだと怒られるけど。」

「では、あの時エピンに来られたのは―。」

「佐藤ちゃんに会いに来たんだ。」


 そんなときに限って高飛車と一緒で、しかもめっちゃ評価下げられることまで言われて―。


 マジで最悪じゃん―。


 あっそうだ!


 わたしは鞄の中をごそごそとあさってある手紙を出した。


「林さん。この手紙に目を通してほしいんです。」


 わたしが林さんに出したのはあの置き手紙だよ。


“佐藤さんへ

資材の管理はしっかりと行っているのでしょうか?

資材が届くのは発注してから2日後というのはちゃんと理解しているのかしら?

木曜日に発注しても土日には届かず月曜日に届くのよ?

意味が分からなければ中村まで”


 証拠さえあれば助けを求めやすい。


 わざわざ置き手紙という証拠を残してくれた高飛車には感謝だね。


 林さんは表情も変えずに読み進めているが、横からそれを覗いていた森ちゃんの表情は明らかにひきつっている。


「佐藤ちゃんの店にはこんなウィッチがいるの?」


 わたしはコクりと頷いた。


 それを見た森ちゃんの表情がみるみる青ざめていくのが分かる。


 やっぱりこの置き手紙の内容は結構エグいんだな―。


「林さん。わたしはいつも中村さんからこのようにいじめられているんです。この前もわたしは何も出来ないみたいなことを言われましたけど、あれは中村さんのデマであり―。」

「佐藤ちゃん。俺は5(ファイブ)の1人だよ?みなまで言わなくても分かる。今日の佐藤ちゃんの働きぶりを見せてもらったけど、佐藤ちゃんは決して出来ない子ではない。エピンでも高橋のためにさぞかし頑張ってくれてるんだろうね。ありがとう、高橋を助けてくれて―。」


 ヤバい―。


 涙が出てきそう―。


 林さんってなんて素敵な方なんだろう―。


「中村は昔からクズなんよなぁ。魔力量としては5(ファイブ)に招き入れたいぐらいなんだけど、クズなんよなぁ。佐藤ちゃんもあのクズと一緒におるのは辛いだろうけど、高橋のためにも頑張ってな。」


 林さん、何回クズって言うんですか?


 でも、またわたしへの理解者が増えた。


 それはとても嬉しいことだ。


 これから先も頑張れそうだな―。

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