第14話
6月に入った。
季節は夏になるのかな?
だいぶ暑くなってきたよね―。
ただ、雨が本当に嫌だ―。
箒が濡れて重くなるから飛びづらいんだわ―。
余計な魔力も使われるし―。
ということで今日は家でおとなしくしよう、と言うわけにはいかない土曜日。
お仕事はお休みなのだが、1年目の魔法使いたちが集まる総会に参加しなければならない。
ただ単に、わたしたち1年目として頑張りましょうねと結束を固めるだけだと思うから行きたくはないのだけど―。
でも、行かなかったら行かなかったでいずれ鈴木さんにバレるからそれも怖い。
こっちには高橋さんという5(ファイブ)もいるし。
だけど、人見知りには荷が重いよ―。
友達100人出来るかな?
☆
会場に着くと、たくさんの魔法使いたちがすでに集まっていた。
最初は人見知りが発動して右往左往していたが、美味しいごちそうとお酒のおかげですぐに気の合う仲間を作ることが出来た。
ちなみに、魔界ではウィッチまたはウィザードと認められたらお酒をのむことが出来る。
何歳ですかって?
レディに年齢を聞くのは失礼な行為だぞ?
話を元に戻して、吉田さん、山田さん、佐々木くんの3人と仲良くなった。
「皆、仕事は楽しい?」
「いや、普通にしんどい。」
「叶うのならば今の店舗から逃げ出したい。」
「激しく同意。」
仲良くなれた理由が少しだけ分かるよね?
しんどいのはわたしだけじゃないんだ。
ちょっと安心した。
「後、労働時間ヤバくない?平気で毎日10時間ぐらい働かされてるんだけど?」
「休みの日も平気で店に来るように言われるよね。」
「どこの店舗もそうなのかな?」
「いや、ちゃんとお休みもらえる店舗はあるみたい。わたしたちがハズレの店舗を引いただけ。」
吉田さんはカクテルのおかわりをウェイトレス求めた。
「こっちは労働時間の上に人間関係がヤバい。1人だけわたしに対してめっちゃあたりのキツいウィッチがいるんだ。」
「へぇ?言い方の問題とかではなくて?」
わたしは首を横にふる。
「暇呼ばわりして素材の片付けを強要されたり、疑似魔力を作らせておきながら自分で作り直して手柄を横取りしたり―。」
「それ、ただのパシりじゃん。」
吉田さんはカクテルのおかわりをウェイトレス求めた。
いや、のむスピード早いな。
「心が潰れる前に早く逃げなよ?」
「うん、ありがとう。でも、こっちには5(ファイブ)の1人がいるから大丈夫。助けはすぐに求められるよ。」
わたしも残っているカクテルをのみ干し、ウェイトレスにカクテルのおかわりを求めた。
なんか心強い仲間に気持ちを打ち明けたらこの先もうまくやっていけそうな気がする。
もちろん根拠など何もない。
しかし、この考えが浅はかなものであると気付くのはもう少し後のことである。




