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第11話

 わたしは朝から素材を集めたり棚を片付けたり、技術魔力を生成したりしていた。


 他の魔法使いたちは販売もあってもう少し動いてるけどね。


 今のわたしにはこれが精一杯。


 みんなの邪魔にならないようにひっそりと仕事をする毎日。


「佐藤さん、今ちょっといい?」


 田中さんに手招きされてわたしは一旦手を止めた。


「素材の管理してみる?」

「管理ですか?」

「そう。素材の片付けはもちろんのこと、発注とかだね。」

「別にいいですけど、わたしが担当して大丈夫ですか?」

「最初は誰かについて見てもらうから大丈夫。佐藤さんに担当してもらいたいのはここ。」


 指さされた棚は爬虫類の素材を管理している棚だった。


 丸呑みイグアナのしっぽや斑イモリの目玉とかだね。


「ここを今担当しているのが中村さんだから中村さんにいろいろ教えてもらいな。じゃあバトンタッチするから。」


 田中さんが中村さんを呼ぶと、中村さんは妙にニコニコしながらこちらへ来た。


 なぜだろう―。


 この人の笑顔を見たらすごく寒気がした。


「では、この棚について教えるわね。この棚は爬虫類の素材を集めたコーナーよ?」


 うん、知ってる。


 だって、いつもあなたの代わりに素材を直してるから。


「販売や疑似魔力生成にここも使われる事があるのは知ってるでしょ?」


 うん、知ってる。


 だって、いつもあなたの代わりに疑似魔力生成や販売を行ってるから。


「素材を使われると補充をしなければなりません。ということで、早速発注をしましょう。」


 中村さんが取り出したのはエピンに備え付けられているタブレットだった。


「これに何を何個発注するか入力するの。」


 タブレットにはいくつかの選択肢、例えば丸呑みイグアナのしっぽや斑イモリの目玉などがある。


 それを選択した後に次は個数を発注したい個数を入力する。


 これで完了。


 後は次の日の朝にお目当ての素材が届くのを待つのみというわけだ。


「というわけで、早速やってみて。」


 そういうと、中村さんはタブレットを手渡してきた。


 いや、押しつけてきたという表現が正しいかな?


 実はここ最近の中村さんのわたしへの対応を振り返ると、だんだん中村さんに対していいイメージが持てなくなってしまって―。


 とにかく、そのせいで中村さんのひとつひとつの言動や行動がたまに尺に触る時があるんだよね―。


 だから、今もタブレットを渡されたというより押しつけられたとどうしても感じてしまう。


 このような偏見は非常によろしくないことぐらい十分に分かっている。


「発注は必ずその日のうちにするのよ?忘れたら周りの人に迷惑をかけるんだからね?」

「はい。わかりました。」


 言っている事はまともなんだけど、やっぱりどうしても尺に触る。


 ☆


 その日からわたしは発注をし始めた、のだけど―。


「佐藤さん。丸呑みイグアナの心臓を5つ頼んでおいて。」

「はい。」

「それと、斑点ヤモリのしっぽは10個。」

「はい。」


 中村さんに指示されるがままに発注をする日々だった。


 これはわたしが棚を持つ意味があったかな?


 現時点で中村さんの召し使いな気分でしかないわたしであった。

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