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彼の特殊な精霊事情  作者: 神楽久遠
出会いから始まる物語
8/190

8話 初戦闘開始(拍子抜け)

(。´∀`)ノ 本日2回目です。18時にも3回目を予定しています。


改稿/修正箇所

3/31 薬草の鑑定結果を4項目に変更。TIPSに状態(品質)項目追加。

4/6  並以下→並未満に修正と補足。

5/25 加筆しました。

 お互いの職業や役割事を話しているうちに、外に繋がる東門までやってきた。こちらに意識を向けてくる門番達に軽く会釈ををしながら通過する。

 兄さんの話では、この道の先に現在の最前線である『王都プレス』があるらしい。

 緩やかに蛇行しながら伸びている街道から外れ、緑生い茂る草原に踏み出し、辺りを警戒しながら進む。


 町の中でもそうだったけど、まるで本物と変わらない草原だなぁ。草木の騒めきや、踏みしめた時に香る緑の独特な匂いまでも感じられる。


 歩いていたら、採取のスキルを持ってるからか、なんとなくそこに何かがあるような不思議な感覚が返ってくる。

 その感覚に従って視線をそちらに向けると、精霊眼が反応したのか視界にひも付き半透明なプレートが出現し、素材名が浮き上がってきた。



名称:薬草 

状態:良

種別:素材

効果:HPを回復させるポーションの材料



「この辺りには薬草があるし、ちょっと集めるよ」


 みんなに声をかけて、摘み取り始める。



名称:薬草 

状態:並

種別:素材

効果:HPを回復させるポーションの材料



 あれ?

 品質が下がった?


「採取のレベルが低かったりやり方がまずいと、品質が下がるんだよ。

 状態指定がないクエストでも、並未満……『粗悪』や『不良』になるとカウントしてくれないから、きちんとした採取方法を理解するのがまず大事だ。

 高価な素材を採取するときほど、スキルをきっちり育てた上で専用の知識がないとゴミになるぞ」


 兄さんからいくつかの注意点を教えてもらいながら、手当たり次第に周りの草木を鑑定していき、雑草以外の素材をインベントリーに放り込んでいく。

 必要数の薬草は程なくして集まった。後は自分で調合する分を集めていく。


 と、気配察知スキルの効果なのだろうか、何かの接近に気付いた。


「……兄さん」


「ああ。多分敵だな」


 ガサガサという草木を掻き分ける音が近づいてくる。

 やがて草葉の影から飛び出してきたのは、3匹の兎だった。


 ただの兎ではない。頭に角が生えている。見てみると、『角兎』と出る。

 ……そのまんまだ。



名 称:角兎(獣)

状 態:正常

スキル:突進 蹴撃

弱 点:特に火に弱い 



「クエスト指定の角兎だな。最弱の野獣だ」


「俺がいく」


「あっ、あたしもあたしも」


 精霊眼の効果なのだろう。

 認識した途端、赤いプレートが出現しひも付けされる。


 角兎に向けていた、調べようとする思考をめると、表示されていたプレートが引っ込む。


 鑑定系スキルでアイコンが出現した場合、赤プレートは敵性存在だそうだ。

 ちなみに薄い青色のプレートはプレイヤー(賞罰なし)で、薄緑は中立住民及び家畜等である。


 視界の中の邪魔にならない場所に、自分のHPとMPのゲージが浮かぶ。

 緑のゲージがHP。青がMPのようで、現在数値が表示されている。同時に目の前の兎の頭上にも同じようなゲージが小さく浮かぶ。



 あの兎はレントが相手にするようだ。

 素早く一角兎へと接近し、右手の剣を一閃させる。1撃で首を刎ねる。胴体が地面に転がり、バシャっと虹色の血飛沫のようなエフェクトを残す。

 もう一匹がその合間を縫って、レントへ目掛けてその角を向けて突進してくる。

 が、難なくその攻撃をかわし、再び首に一撃。


 うーん、わかってたけど相当弱い。



「魔法行くよっ」


 ユイカが宣言して右手を翳すと、その手に小型の魔法陣が展開する。


「うりゃ、『ファイア』っ!」


 バスケットボールくらいの大きさの火の玉が右手から吐き出され、最後の角兎に直撃。

 そのまま炎上し、呆気なく戦闘は終了した。


 しばらく残っていたが、戦闘が終わるとやがてほどけるように眩い光の粒になって兎達が消えた。

 コードを外さなかったら、こんな感じなんだね。 



 虹色だったとはいえ、血飛沫とかの表現が妙にリアルだった。

 むしろ虹色なせいで、目がちかちかして逆に気持ち悪い。


 メニューにあるコード管理画面を開いたら、『体液表現変換設定』の項目に『リアル』『光換装』『無』の3つがあったので、迷わずリアル基準に切り替える。

 こうした設定は自分だけが適用されるから、他の人に迷惑かけることなく気軽に変更できるのがいいよね。


 他のコードも見ていく。

 ──『戦闘時/自己ステータス描写』『敵性ユニット表現描写』『体調変化管理』……。

 うわぁ、なにこれ。細かくいっぱいあるな。


 出来るだけゲームじみた設定を解除していき、現在許されているギリギリの設定で現実リアルと同基準になるようにいじっていく。

 ゲーム感覚で好き放題するより、別の世界に来た感覚でその土地の人と触れ合いたいと思ったから。


 『痛覚設定』に関しては、かなり迷ったけど最初の下限である『80%カット』で様子を見る。

 どっちにしろ段階的にブロックが掛かるようになっていて、80%でまず1回目、次に50%カットで2回目のブロックがかかる。

 80%以下にするためには、『種族レベル』と『80%カットでの必要戦闘回数』そして『被ダメ回数』をクリアする必要がある為、今はこれ以上は下げられないみたいだ。



「……あれ?

 ボクにも毛皮と肉が手に入ったっぽい」


 倒したのはレントだが、一緒にパーティーを組んでるからボクの方にもドロップしたみたいだ。結果表示リザルト画面がポップアップし、素材を得たことを示してきた。

 けどボクは攻撃に参加していない為か、獲得経験値は0のまま。


 兄さんが説明することによると、経験値は戦闘時の貢献度によって割合で入るようだ。つまり戦闘で貢献した人ほど大量に貰える。

 それに貢献度の高いプレイヤーは、レア素材がドロップしやすくなるらしい。

 今後の為にも覚えておいた方が良い情報だね。


「焦げた毛皮に生焼けの肉?

 あたしのリザルトに変なのが混ざってるよ?」


 ──なにそれ?

 よく見てなかったボクは、インベントリーを開いて確認すると、確かにそのような名前の素材が。

 しかも最低品質……。


「討伐時の状況によって素材品質が変わるのは、採取と同じだ。弱点を狙って過剰攻撃で素早く倒すか、素材優先で狩るかは選択しないといけない。

 現実でもそうだろう?」


「あー確かに。現実リアル志向しこう乙」


「……ねぇ?

 これあたしの火魔法んでない?」


「獣相手にはたいていそうだな。他にも『穴だらけの毛皮』とかもある」


「うわぁ、最低だよ。魔法スキル取り直しだぁ」


「動く樹木──トレントの場合だと、通常ならその元になった樹木の木材が手に入るが、火魔法で倒したら木炭に変化する、といった具合に、必要な素材を得るために狙う場合もあるから一概に言えないがな。

 あと邪霊のようにドロップ素材自体がない敵もいるし、火魔法の出番はしっかりあるからな?」


 一長一短だなぁ。




───────────────────────




ASアスの知識の何故?なに?TIPS》


●素材

・採取系素材

 対応するスキルやきちんとした手順で採取しないと品質が落ちる為、事前に調べる必要がある。

 ただ、専用の書物を所持していれば、採取時にポップアップするように設定ができる。

 素材の特性や採取方法は、街のギルドや本屋、図書館でそれらの情報は公表され、未知の新素材が発見される度に流通量に応じて追加されていく。

 草木や果実用の〔採取〕や木材用の〔伐採〕等に細かく分かれている。生産特化職は、対応する素材の採取にも隠し補正がかかる。


・討伐素材

 戦闘終了後に得られる討伐素材も、戦闘時に行った行動によってその状態が左右される。

 つまり高品質の素材を得ようと思えば、その部位にダメージを入れないといった気配りが必要となる。

 特定の職業には、得られる素材の品質を割合で上げる職業スキルが存在するとの噂が?

 また品質固定のドロップ品もあるようだ。


 なお状態(品質)は、粗悪<不良<並<良<高<最高 の6段階。

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