171話 悔恨と改悛(3)
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
2022/9/17 結構加筆。
「──実はボクが生まれた地球の家はね。それなりに権威がある家系なんだ。こちらでいう『スティルオム氏族』みたいな家系だね」
日本とか財閥とか言っても分からないだろうから、そこら辺はぼかして分かりやすい表現に変える。
「権威……? 領主様とか?
……っ!? まさかお姉様は王族の方!?」
「あはは……うん、そうだね。そうともいう。自覚は全くないんだけど。
あ、王族と言っても、どちらかというと『裏』の、だけどね」
国の代表たる総理大臣が表の王族と称するならば、ボクの『御陵』は裏の王族ともいえる。
「裏……ですか?」
首を傾げるフェーヤ。
あー流石にピンと来ないか。
「裏といった意味はね。ボクの家名である『御陵』は、一般人にはただの金持ちの地主だとしか思われていない一般人扱いだからなんだけど。
実は国の中枢にも口出し出来るし、言うことの聞かない権力者の首をすげ替え、さてはその国の軍隊を自由に動かすことすら出来るだけの力を持っている。もちろん独自の武力も持ってるよ。やろうとは思わないけど、一つの国くらい滅ぼせるだけの戦力をね」
フェーヤにも理解出来るように、また長くならないように端折りながら説明していく。
その説明でようやく解ったのだろう。
その顔が驚きに染まる。
「──でね。こちらと似ているところがまだあって。
ボクの家に仕える十二の家系があってね。それぞれが普通の人には無い特殊な力を持っているんだ」
「十二……かつてスティルオム氏族に仕えたエルフの氏族数と同じ?」
「そうだね。奇妙な一致だと思ってるよ」
指摘に笑う。
確かにそっくりだよね。
ここまで似通っていたら、流石に偶然と思えない。むしろ必然といえた。
精霊島に行った時に見た御陵の家紋とそっくりなエレメンティアの紋章。
同じ十二という家名。
十中八九、こちらの世界と同じ人物、いや神様が関わっている。
恐らくエターニアやディスティア様が『父』と呼ぶ創造神の仕業だろう。
精霊や魔法や異能の認知度、また人類以外の種族の多様性に差があれど、地球とエストラルドは似通っているし、地球とエストラルドを行き来出来るように繋げた事からも、間違いなく地球でも神として存在していそうだ。
「ボクのいる世界『地球』は平和な時を過ごしているけど、過去には大きな戦とかあってね。その力で裏から戦いを操ったり、敵対国を滅ぼしかけたりしたんだ。
そんな十二家を統括する立場にボクの母がいる。そして近い将来、次期宗主であるボクが継ぐ事になる」
「ほぇー。やっぱりお姉様は凄いのですね」
「……それだけ? その、怖くないの?」
ボクの台詞に素直に感心した様子しか見せないフェーヤに、つい思わず聞き返してしまう。
「何がです?」
「いや、その……。
何の力も持たない世間一般人の中にボク達のような異質な力を持った者が紛れていて、そして陰から世の中を操っていると言われたら。そんな集団がいたら怖かったりしない?」
「あー、そういう意味でしたか」
ボクの恐々とした説明に、ようやくフェーヤの顔に理解の色が浮かぶ。
「お姉様を見てて怖いなんて思いませんよ。それに権力者を操ると言っても、無辜の良民を護る為、そしてその暮らしを支える為にしておられる事でしょう? むしろお姉様は誇りに思うべきです。
確かに【死方屍維】みたいな暴力的反社会集団だったら怖いですが」
「あのねぇ、あんな奴らと一緒にしないで欲しいかな」
お姉様達は違いますよね? と言外に込めて笑うフェーヤに、ボクは何とか苦笑を返す。
「それが私に隠していた事ですか?」
「いや、本題はこれからだよ」
気持ちを落ち着かせようと、大きく息を吐く。
ボクが幼馴染達にひた隠しにしていた部分。
それは『御陵家としてのお役目』や『特殊な力』ではない。
精霊王女エフェメラとの邂逅で使えるようになった力――精霊化。
それが異能として地球でも使えるようになったのは予想外だったけど、そういった摩訶不思議な力は幼馴染達もいずれ手にする。
弥生さんや留美さんの異能を例にとれば、あの三人も恐らくエストラルドでも十分使える力が目覚める筈であり、もしかしたら今使えている力がそのまま『異能』として目覚める可能性もある。
いやむしろボクと同じように、こちらと同じ力が目覚める可能性が高かった。二つの世界に跨いでいても彼ら自身は何ら変わることなく、その者の魂が持つ『本質』や『根源』の力は同じなのだから。
だから。
ひた隠しにしていた事の本質、それは……。
「――結論から言うとね。ボクは長生き出来ない」
「っ!?」
驚きのあまり絶句したフェーヤに対し、ボクは着ていた着ぐるみパジャマの前のジッパーを下げてはだける。更にブラのフロントホックを外して肌を露出させると、心臓付近にある星紋に魔力を込めて活性化させる。
「そ、それは……?」
ボクの左胸で仄かに輝き始める紋章を見て、フェーヤはボクへと問いかける。
「この紋章はね。星紋又は星痣といって、ボクやボクを信じてついて来てくれる仲間達に奴らと戦える力を与える、とても大切な役割を持っている紋章なんだ」
精霊島で見たあの紋章――少女像の背中にあった紋章とそっくりな己の紋章を見せながら、ボクは答える。
「ただ、この紋章が発現すると時が止まったかのように殆ど成長しなくなり、また老いすら無くなるんだ」
母さんにアルバムを見せてもらった事がある。
アルバムの中の母さん、そして咲姫婆ちゃんは中学校を卒業する辺りから殆ど成長していない。それは二人が星紋を発現させた時期とリンクしていた。
咲姫婆ちゃんについてはよく知らないけど、母さんはそろそろ五十にも届こうかという年齢なのに、いまだ高校生と間違えてもおかしくない外見を保ったままだ。
「恐らく神敵と戦う為、仲間を限りなく強化し、そして自身は老いによる力の劣化を避けようとする効果があるんだと思う。
でもね……そんな力が何の代償もなく使えるはずがないよね?」
つい自虐的な笑みが零れた。
「この紋章を発現させた歴代の当主達はいずれも早世している。だからこの紋章はその強大な力の代償として……その人物の人生を、その命を喰らうとされているんだ」
「そ、そんな。お姉様の御命が……。そ、そうです。その力を使わないように出来ないのですか?」
「もう無理だよ。星紋が発現したその日から、時計の針は動き出す。もう止められない」
そして……遂に。
「この事実はボクの中で絶対に言ってはならない秘密としていたから……。
──だからこうしてこの秘密をボクの口から人に話したのも、フェーヤが初めてだよ」
そう、ボクの口から話した。
「えっ、私が……初めて?」
ボクの言葉を呆然と聞いていたフェーヤ。
その瞬間、ハッとしてボクが言わんとした意味を悟る。
「っ!? じゃあ、他の皆様にはっ!?」
「言ってない」
そう。
結衣や樹だけでなく、エフィやティアにも。
「何故です! そんなお姉様の命にも係わる大切な事を、何故言わ……!」
「怖かったからだよ」
フェーヤの言葉を遮り、淡々と想いを吐露する。
「大切な仲間に、大好きな恋人に……この事実を伝えるのが怖かった」
「それはそうですがっ! それじゃあ精霊様方やレントさん、ユイカさん達が可哀想です! だから早いことお姉様から言ってあげ……。
──えっ? 『怖かった』?」
「うん、バレた。母さんがボクを宗主と決めたことを宣言した時に皆にバラしちゃった」
これも天罰かなぁと力なく笑うボクに、口に手を当てて再び絶句するフェーヤ。
「だから逃げてきたんだよ。このエストラルドに。頭の中ぐちゃぐちゃになって、訳が分からなくなって。そして少しでも時間を稼ごうとして、ここに逃げ込んで。
もうさ、笑っちゃうよね。遅かれ早かれどのみち顔を合わすのに。こんなことしても意味がないのに。事実から逃げ続けることなんて出来やしないのに。
ボクってば、どこまでいっても弱くてね。すぐに逃げようとしちゃうんだもの」
ルアの頭を撫でながら、ぽつりぽつりと話していく。
「あの時、ティアも聞いててね。それ以降一度も口には出さなかったけど、きっとショックだったんだろうなぁ。当然精霊達にも……この子にも言っていないし……ほんとどうしようかな。話したら泣いちゃいそうだし……」
「……お姉様」
「他にもまだ隠し事があるんだよ。ボクって最低だよね。きっと幻滅しちゃうよね? こんなボクなんて、もうみんなに嫌われても仕方な……」
「それは違います!!」
いきなり大声を出したフェーヤに驚く。
フェーヤ自身も自分の声量にビックリしたのか口を押えつつ、思わず二人してルアの方を覗き込む。
むにゃむにゃ言いながら寝返りを打ったルアは、固まったボクの腰に手を回してぎゅっとしがみ付くと、再びすぅすぅと寝息を立て始める。
胸を撫で下ろしたフェーヤは再びボクに向き直ると、
「お姉様、それは違いますよ」
声を押さえて言い直す。
「最初に言いましたよね。お姉様が私に言えない秘密をたくさん持っておられる事くらい織り込み済みです。そして今回教えていただいた事以外にも、いっぱいいっぱいありそうです」
「……そうだね」
「フェーヤ個人の感想としては、ですね。それでもいいんです」
「え? どういうこと?」
清々しいほどにいい笑顔でキッパリと言い切るフェーヤが理解出来なくて、ボクは思わず聞き返した。
「黙っているのに? 内緒にしていたのに?」
「今回の事で言えば、もちろん最初はビックリしました。そんな命に関わる事になっているなんて、と思いました。
でもそれだけです。今まで言って貰えなかったとか内緒にされていたからといって、お姉様酷いとか責めるつもりは全くありませんし、むしろお姉様の悩みの相談相手として打ち明けてもらえて嬉しいです」
「……ごめん。フェーヤの言ってる意味が分からないよ」
「私は『知る』ことでその物事に対して責任が発生すると思っています。黙っていて『知らせない』という事は、その物事に対する責任を相手に押し付けない事でもあります。
つまり私に知らせない事で、この問題に私を巻き込まないようにしようと考えたお姉様の優しさがよく分かりました」
「ええっと? あれ?」
あれ? あれれ?
何でそういう話? なんか変じゃない?
「お姉様が私を大事にし、そして信用して下さっている事くらい、これだけ一緒にいれば分かります。つまり『教えてもらえない』ことは『信頼がない』ではなく、私の為に私を『巻き込まないように』と考えたお姉様のお優しい考え方が分かった、という事です」
「あの……良い方にとらえ過ぎじゃない?」
「むしろ悪い方向に考え過ぎるお姉様の思考の方が問題です」
ぴしゃりと断言するフェーヤ。
「お姉様のそれは、今までの言動から考えるに、相手を気遣った『優しい嘘』だとフェーヤは考えます。
悪意を伴った『人を傷付ける嘘』なんかじゃありません。幻滅などするわけがありません。だからお姉様を嫌いになる可能性なんて、これっぽっちもありません。むしろもっと大好きになりました。もちろんこれからもお姉様の為に、微力ながら出来る限りのお手伝いと応援をしたく思います」
「いや、その……好いてくれるのは嬉しいんだけど、やっぱり意味が分かんない」
隠し事をしている相手を大好きとか訳が分からないよ。
「……もしかしてお姉様。実はフェーヤの事、お嫌いなのですか?」
「嫌いだったらこんなに一緒にいないし、こんなに悩んでいないよ」
「ありがとうございます! 私もお姉様の事大好きですから」
不安そうな表情から一転、ホッとしたように笑みを浮かべ、そしてにじり寄ってくる。
「お姉様はレントさんやユイカさん達の事を大好きでしょう? 信頼されているのでしょう?」
「いや、まあ……うん」
ずずいとにじり寄ってくるフェーヤに気圧されて、少し仰け反りながら頷く。
樹の事は信頼しているし、結衣や美琴、そして弥生さんを大事にしていきたいと思ってる。
「今回の旅立ちについて、フェーヤもいっぱい悩みました。悩んだからこそ、大好きなアルメリア大叔母様やセイお姉様にいっぱい相談しました」
「……うん。そうだったね」
「だからお姉様もちゃんと相談して、そして話し合うべきです。私が初めての相談相手となれて、とても嬉しいんです。お姉様の役に立てるのですから」
「……そっか。フェーヤありがとう」
「はい」
そして、えいっとばかりにボクに抱き着いてきた。
「怖いと思うなら……そうですね。怖くなくなるまで抱き締めて欲しいと甘えればいいんです。こんなふうに、です」
ルアに影響が出ないように気を使いながらも、フェーヤは猫が甘えるようにすりすりと頬ずりしてくる。
「大切な人を置いて先に死ぬ、又は逆に生き残るというのは辛く悲しい事です。残された者はきっと寂しい思いをします。だからこそ共に生きた証を作るんです。だからお姉様もレントさんに甘えて、そして子供を強請ったらいいんです」
「うっ。そ、そんな恥ずかしいこと出来るわけな……って、ちょっとっ!? 何でレントがそこに出てくるわけ!?」
「あれ? 違うのですか?」
ボクの顔を見上げながら、ちょっぴりニヤニヤとした笑顔を見せるフェーヤ。
その『理解してますよ?』みたいな笑顔は止めて。
それ完全に間違っているから。
「それともお姉様って、男の人よりも女の子の方が好きな同性愛者なのですか?」
「いやいやいやいや!? どうして同性愛者って!?」
「えへへ。いいんですよ、誤魔化さなくて。神殿にもそういう女性何人もいましたから」
また『そっち方面も理解してますよ~』みたいな目を向けられ、思わず冷や汗と共に目を逸らす。
「ボクはそんなんじゃないって」
「ホントですかぁ? フェーヤを襲ってみたいとか思いません? それでも魅力無いです?」
そんなボクを面白がってか、更に身体を密着させてくる。
「あのねえ……。
フェーヤは十分可愛いし、とても頑張り屋さんだし、真っ直ぐ前を見る強い娘だよ」
「えへへ。ありがとうございます」
ルアを起こさないように気遣いをしつつ、ルアの反対側に完全に密着し、すりすりと頬擦りを再開する。
「以前は全く理解出来なかったのですが、最近こうしてお姉様にくっついていると、父や母の、両親から受けていた愛情に包まれているようで凄く落ち着くんです。
だから……彼女達の気持ちが何となく分かりかけてきたような気がします」
「あのね、フェーヤ。それ両親相手に言ってるなら良いことだけど、ボクが対象では絶対に分かっちゃ駄目な奴だからね」
「お姉様の意地悪。なら、フェーヤももっと意地悪します」
うぅ。完全にフェーヤに弄られてるし。
もしかしてボクを励まそうと、あえてやってるのかな、この子。
けれどボクにとって違う意味で嫌な話の流れになりそうになった為、自分のことから話を逸らそうとしてフェーヤに話を振ることにした。
「そ、そうだ。そういうフェーヤはどうなのよ。ボクのことなんかよりも、アーサーさんと進展は何もないの?」
「私ですか? んーと、あの戦いの後ですが、アーサー様の元へ同じように甘えに行きましたよ」
よくぞ訊いてくれましたと言わんばかりに、うすい胸を張るフェーヤ。
「でもでも! せっかく勇気を出して行ったのに『辛い戦いの中、よく頑張ったね』と頭を撫でてくれただけでした。どう考えても対応が家族以上恋人未満です。どこまでいっても『妹』みたいな扱いしかしてくれなくて、ちょっぴり……いや、かなり不満です」
「や、やっぱり押し掛けてたんだ」
フェーヤって、無駄に行動力あるからなぁ。
思い立ったら、即、行動! みたいな。
「私のこと気にかけて下さるのはとても嬉しいんですが、アーサー様の未来の妻となる身としては、今の『妹』扱いは不満です。どうしたらお姉様とレントさんみたいな関係になれますかね?」
げっ!? またブーメランのようにこっちに戻って来た!
そうだった。フェーヤは行動力があるだけでなく、思い込んだら一途に信じるタイプだった。
もう完全に誤解しちゃってるよ、この子。
「さ、さあ? どうしたら良いんだろうね」
必死に目を逸らす。
「本当はお姉様と一緒にアーサー様の妻になりたかったですが、流石にお姉様とレントさんの仲を引き裂くわけにもいきませんし……」
「き、気にしないでいいよ。うん、ボク達の関係はね。ちょっと特殊だから」
は、早くそこから離れて欲しい。
「いえいえ、お姉様も他人事じゃないんですよ。私達森精種族だけに限らず、別種族との婚姻は寿命の差としての問題がありますから。だから寿命で悩むお姉様の気持ちも分かります。
うーん、ここはやはり御先祖様のように愛する子供を作って、いざという時に備えるべきでは? アーサー様がフェーヤがいけない場所へと旅立たれる前に、夜這いして既成事実作った方が良いんでしょうか?」
「よ、よばっ!? 既成事実!?」
「常に一緒に居られて、いつでも作れるお姉様が羨ましいです」
「な、なななな……にゃに言ってててぇ!?」
思わず想像してしまい、目がグルグルとしてくる。
「お姉様の初体験はどうでしたか? レントさんは優しくして下さいましたか? やっぱり最初は痛いモノなんですか?」
「ふあっ!? そ、そんなのないよっ! まだ、まだっ!!」
いきなり何言うのこの子!?
わたわたと真っ赤になりながら慌てて否定する。
うーっ。もうっ!
顔真っ赤になっちゃってるよ。
目の前で「うーん、あれ? そう言えば……」と、急に別のことを考え出したフェーヤから意識を逸らし、パタパタと顔を扇いでクールダウンしようとする。
この子の言動にすっかり毒気を抜かれてしまい、さっきまでくよくよ悩んでいた自分がだんだん馬鹿らしくなってきた。
やっぱり落ち込んでいるボクを何とか励まそうとして、わざとこんな話を?
いや、ないな。
こういうことにかなり天然でゴーイングマイウェイなフェーヤに限って、そんなことは出来ないはず……。
あるとしたら、さっきみたいに無邪気な言動でおっきな爆弾を落とすくらいで。
「──あっ、あのお姉様。先程気にしておられた寿命の事でどこか引っ掛かっていたんですが、ようやくその違和感に気付きまして……」
「うん? 違和感? なんの?」
「あの、お姉様は『御子』としての力だけでなく、エルフとしての最大の悲願である精霊へと自力で昇華変化出来ますよね?
それはつまり永遠の時を契約精霊と生きる古代種(エダ―)様としてだけでなく、完全に精霊種族としての仲間入りまでされておられる証でもあるのですが、そんな力をお持ちのお姉様が、私達と同じ『寿命』という『概念』にまだ引っ張られているのですか?」
「……えっ?」
「むしろ自身の想い人に自身の司る『祝福』を与えていくお立場かと思うのですが、ソコのところどうなんでしょう?」
「うぇええっ!?」
やっぱり大きな爆弾を落としてくれましたよ、この子。