17話 ギルドで待ち合わせです
/)`・ω・´)分けていた残り半分です。やっと缶詰終わりました……気を抜くと寝落ちしそうになりそうwかなり眠いですが、何とか頑張っ……Zzzz。
4/7 TIPSの紹介順序を入れ替えました。森精種編→有翼人種編。森精種編は18話に移行。
6/18 加筆修正しました。精霊王女のMP消費量をレベルx10を止めて、固定に変更しました。
「うめぇ!
エルフちゃんの飯、うめぇ!」
「あぁ、地獄に仏がいたわ」
「大袈裟な。それとエルフちゃんって言わないで下さいよ」
彼ら二人組はそれぞれ『源さん』『マツリ』と名乗った。ボクと同じ第三弾で初インした生産プレイヤーらしい。
源さんが三十代くらいのどっしりとした体格の赤銅色のぼさぼさ髪の『山精種』で、マツリさんが大学生ぐらいの女性で藤色髪をサイドアップにしている『有翼人種』。
確かに二人ともボクと同じ初期装備のままで、戦士タイプの源さんが皮鎧、魔法タイプのマツリさんがローブだった。
彼らはリアル夫婦だという。年の差夫婦だそうだ。
初インしてこの世界に感動し、その場の勢いとノリで用意もせず森に繰り出したものの、来た道がわからなくなって迷ってしまい、モンスターに襲われながらも、命からがら何とかここまでたどり着いたと説明した。
チュートリアルで貰った携帯食料は、食事のタイミングで襲われた為、全損したらしい。
しかも満腹度の存在を忘れていて、追加の食料を持ってなかった、との事だった。
オートマッピング機能がある事を伝えると、2人とも状況に慌ててしまい、つい失念してしまっていたとの返事。
慌てん坊というか、何て言うか。
特に追加の食料を持たないなんて、なんて無謀な。
「いやぁ……ついこの世界に感動しちまってなぁ。突撃しちまった。失敗失敗。
……今回の件、恩に着るぜ。オレ達に作れる物なら、勉強させてもらう」
「そういえば、何の生産職です?」
「オレが細工士で、コイツが付与を使う裁縫士だ」
二人は名前と職業だけの表示に変更された簡易ステータスプレートを見せ、ボクの方へとフレンドコードを転送してきた。
なんというタイミングなんだろう。
彼らと知り合えた幸運に感謝しながらも、承認してボクの方も送り返す。
「手始めに毛皮と材木手に入れようと思ってな。エルフの嬢ちゃん……っと、すまんすまん。名前は……『セイ』だったか?
いいのあったら、完成品との清算で買い取らせてくれ。流石に今は金がねぇ。それとオレ達に敬語は不要だぞ」
「いえ、年配の方と話す時の癖みたいなものですから。
……それとボクは嬢ちゃんじゃないですってば。ボクはおと……」
「そうかい?
ま、どっちでもいいけどよ」
男です、と言おうとしたタイミングで言葉を被せられ、またも説明が途中で止められてしまう。
「この人はそんな細かいこと気にしないから、ドンとぶつかって頂戴」
確かに細かいことは豪快に笑い飛ばしそうな人である。
てか、嬢ちゃんもやめて。
男なんですってば。
「……そうそう、セイちゃんとエフィちゃんはその服飾から見るに魔法士系よね?
コーディネート含めて、防具は御礼に何か作ってあげる」
「というかそっちの嬢ちゃんにコード送れないんだが、何でだ?」
「私はあなた方別世界の旅人と違うわ。セイとは一緒に旅する仲間で。
……そうね。これでも近接系よ」
「ほー。こりゃわからんもんだ」
「エフィ?」
ニコニコと笑ってるエフィを見て、人のフリをしているのは確信犯だと気付いた。
あーそうか。大っぴらにいう話でもないよね。
寧ろ「精霊です」って言って回ったら、もう一緒にのんびり過ごせそうにないし。
『最終的に話す、話さないはセイに任せるけど、この人は信用できるという人については、あらかじめ教えて欲しいな』
『わかったよ』
ついでに、念話の使い方はこれであってる?
って確認をとれば、OKの返事。
これでよし。
必要な時はいつでもエフィと内緒話が出来る。
「私はあなた達に何もしてないわ。そういった報酬は私はいらないからすべて彼に。
セイ。あなたがいただきなさい」
「分かったよ。エフィ」
「わーった。じゃ、そういう事で」
源さんとボクはがっちりと握手をして、お互いに了承した。
その後ビギンの街に戻ってから正式に素材の売買商談に入ることを取り決め、素材の提出もその時でいい、という事になった。
「ところですまねぇが、ビギンの街までの護衛を願いてぇんだがいいか?」
「どっちにしろ食事後に戻る予定でしたから、かまいませんよ。戦闘は任せてください」
「おっしゃ。マツリ帰るぞ」
「ええ」
「あ……この後ボクの親友と冒険者ギルドで待ち合わせをしているんで、一緒に来ますか?」
「構わねぇよ。オレ達もそこに用があるしな」
そうと決まれば、ここにいても仕方がない。
撤収かな。さぁ、帰ろう。
キャンプキットや料理キットを片付けた後、時折襲ってくる蜘蛛みたいな魔物(蜘蛛の糸やなぜか絹の糸がドロップした)を難なく蹴散らしながら、ボク達はビギンの街まで戻ってきていた。
兄さんに教えて貰った簡易ポータルを利用(源さんとマツリさんは知らなかったので説明する)して、東区にある冒険者ギルドへとさっさと移動する。
この東区の中央にデンと聳えている一番大きな建物。
それが冒険者ギルド。
一度に開始したプレイヤー達が同時に押しかけても収容できるようにする為か、周囲のどの施設よりもずば抜けて広かった。
この建物――冒険者ギルドは、一階が広く間取りがとってあり、かなりの人数の冒険者が思い思いの場所で過ごせるよう区画分けされており、わかりやすく案内板が出ているなど、工夫の色が見えた。
「でけぇな!
これがこの世界の冒険者ギルドかよ」
「迷子になりそうだわ」
「二人とも案内板がこちらありますよ。向かう先はっと……」
兄さんと合流した際に一度来ていたボクは、案内板とかある場所を教えて貰っていた。
同じように彼らに説明しながら、待ち合わせの場所へと向かう。
レントとユイカとの待ち合わせは確かC区画にある『憩いの兎』と呼ばれる軽喫茶。
こちらに十九時待ち合わせとなっていた。
現在時間は、十八時過ぎということでかなり早めだけど、あいつならすでに待っているだろう。
人を待たせるくらいなら自分が待つべし。
彼はそう言い放つタイプである。
そうそう、今はボクと彼ら夫婦の三人だけになっている。
エフィはこの街の自宅に戻った。という設定で、二人には説明している。
エフィの顕現化は、彼女が「ちょいと用事で家に帰るわ。今日は別行動を取るわね」という演技をして別れた後、そっと解除してある。
二人を騙すようで気分はよろしくないけど、まだ彼らの事をよく知らない。
エフィに関してだけは慎重にならざるを得ないので、今は彼らの人となりを見る為にも内緒にしなければならなかった。
彼らがいる以上、今はレントやユイカにも話せないのが確定しているしね。
この世界の精霊だと説明してもよかったんじゃないかな?
とボクは思っていたのだけど、エフィはそうは思わなかったようで。
しばらく隠れて様子を見ているわ。と言い残して、ボクが許可した顕現化解除を自力で行った。
ちなみにエフィの顕現に必要なMPは、最大MP値を二百減算固定。
かなり重たい。
どうやら彼女、上級精霊エレメンティアの顕現に必要なMPは、精霊王女の名前に恥じず、かなり高めに設定されてるぽかった。
もうちょっと軽くてもいいのに、と思わずにはいられない。
待ち合わせをしている『憩いの兎』に到着っと。
開けっ放しになっている両開きの観音扉を潜り抜け、いるであろうレントの姿を探す。
「……あなた」
「ん!?
……ああ、なるほどな」
何か夫婦は納得したような言葉を発したが、ボクはそれを尻目に、奥に座って軽食をつまんでいたレントとユイカの元へと歩いていく。
「あっ!
セイ君、お帰りなさーい」
こちらに気付いたユイカが手を振る。
相変わらず元気がいいなぁ。
「聞いたよ。セイ君ってば、もうクラスチェン……ジ?」
うん?
こちらに寄ってきながら喋っていたユイカが、途中で言葉を詰まらせていきなり押し黙った。
マツリさんの方を一瞬見るも、違うとばかりに軽く首を振り、そしていきなりボクの周囲をくるくると回りだした挙句に抱き着いてきたかと思うと、なんかスンスンッと……。
ってちょっと!
こんな人前でいきなり何を!?
「何かこの場にいないじょ……。
――じゃなくて、不思議な匂いがセイ君の周囲からするんだけど、何があったのかなぁ?」
「へっ? 匂い?」
耳元で『ちっ、流石獣人。敏感ね』っとエフィの舌打ち。
え?
何この状況?
源さんは後ろでゲラゲラ笑ってるし、レントがそっとため息をついているのを見えた。
「青春ねぇ♪」
にこやかに言うマツリさんの声が、なんだか遠く感じた。
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《ASの知識の何故?何?TIPS》
●有翼人種
普人種に翼の生えた種族と説明した方がはやいだろうか?
獣人種の有翼族とはまた違ったカテゴリーの種族である。
彼らの特性として、空を滑空できるという特色がある。
自前の翼の力だけでは宙に跳び立てないが、魔法の補助があれば可能である。
また、付与魔法を得意とし、手先が器用な点も挙げられる。
戦闘職では軽戦士や付与士、生産職なら魔道具作成に特性と隠し補正を持つ。
ただし、種族特性として重装備が不可能で、かつ、背中の翼が邪魔になるようなものは装備できない(リュック等)。
寝る時も仰向けは無理である。