161話 そして王都へ
お待たせしました。
ようやくファルナダルムの里編終了です。
「──セイお姉様」
「なぁに?」
馬車の屋根の縁に腰掛けたボクは、背後に遠さがっていくファルナダルムの里を眺めながら、今までのことを振り返り物思いに耽っていた。
そんなボクに御者台の横に設置してある梯子を登って顔を覗かせたフェーヤが呼び掛けてきたので、そちらの方へと振り向いて返事をする。
「……って!? あ、危ないですよ!」
「大丈夫だよ。ほら、風も気持ちいいし」
動く馬車の屋根の縁で支えもなく素足をプラプラさせているボクを見て、慌てた声を上げたフェーヤに問題ないと返事をする。
「きゃっ!?」
一瞬ひときわ強く吹いた悪戯な風に、散らばり靡く薄藤色の髪。
その突風にびっくりしたらしいフェーヤが、可愛い悲鳴を上げる。
ティアとの秘技〔雷精の侍獣巫女〕を使用したせいで、白に近い薄藤色に変化した髪を片手で整え直しながら、悪戯してきた精霊にメッ! と軽く叱ると、その場で「んーっ」と声を漏らしながら大きく伸びをする。
風の精霊はほんと悪戯好きな子が多いからなぁ。
彼女達の頭を張っているのが悪戯兎だから、これは仕方がない部分もあるのかね?
ボク達は今日の早朝ファルナダルムの里を発ち、王都プレスへ向けて移動中だ。
巨大な湖に架かる橋梁の上を進むリンは、常歩のままでのんびりとした足取りで歩いている。
その足取りは軽やかで、どこか嬉しそうだ。
今回ボクのレベルが急激にアップしたから、いつもお世話になっているご褒美も兼ねて進化の力を使って上げたからだ。
そうしたら一回り体格が大きくなり、角も立派になった。精霊化した時に失った空を駆ける能力も、限定的ではあるものの短時間なら復活したこともあって、かなりご機嫌な様子である。
当然ハクにも同じように進化の力を分けてあげている。
こちらも体格が大きくなり、風を纏う能力が生えた。まあ元が白虎であるハクだから、リンと同じく昔持っていたけど失った能力の一つかも知れない。
テンライは今回お預け。
意地悪とかじゃなく、短時間に進化を繰り返させるのはまずいんじゃないかと思ったからで、今の力がもう少し馴染んでから行おうと思う。
と、まあこんな感じで。
夏の強い日射しではあるものの、水場の近くで、かつ、風の精霊の力でそよ風を発生させていることもあって、なかなかに快適な空間に仕立て上げている。
もちろん転落の恐れなんて気にしていない。ボク自身もう普通に空飛べるし。
「ほら、フェーヤもこっちにおいで」
ボクの周囲に群がっている風と水の下級精霊達にスペースを空けてもらうようお願いした後、彼女に向かって手招きし、ボクが座っている場所──木枠で出来た低い荷物用手すりをポンポンと叩く。
このボクの馬車は大型の箱型タイプで、かつ特製の装飾馬車。
普通の馬車は限られた内部空間を広く使うため、天板上にも荷物が置けるように作ってあるんだけど、ボク達は虚空の穴に荷物を入れられるし、魔法で広げてある馬車の内部空間もかなり広いため、天板上に荷物を置くスペースを作る必要がそもそもない。
にも関わらず、このように見た目を少し犠牲にしてまで作ってあるのは、走行中戦闘が発生した際にこの上で遠距離攻撃が可能なようにしてあるためだった。
しかも防御面も充実している。
精霊石を利用したスイッチがあって、それを起動したら障壁が展開されて射手を守る機能まで付いている。
防御に特化しているこの馬車だけど、元はもっと攻撃寄りだった経緯がある。
屋根にも武器を付けようぜと悪乗りし出した源さん達生産組。屋根のパーツが変形してそこから魔力砲身が伸ばすことで砲撃が可能となる『魔導砲』という武装も付けようとしたそうだけど、それを聞いた時正気を疑った。
それ、本来軍艦に使われている武装だよね?
単なる陸上移動手段である馬車になんて余計なモノ付けようとするんだよ。
どんな敵想定してるのよ。
ほんと何考えてるんだろうか?
自衛手段が多い方がいい?
え? レントも同意してくれてる?
あの、これ……ボクとユイカが協力しても魔力充填から発射するまでに数分かかる兵器なんて、馬車なんかに必要ですか?
それならボクやユイカが個別に魔法使った方が早いじゃないですか。
他にも変形合体は男のロマンだとか、お前さんも分かるだろ? とか、源さんが言っていたけど知りません分かりません。
例えそうでも、馬車にロマンは必要ないです。
そう言って、なんとか説得してやめてもらったんだよね。
ということで、この防御機構は搭載を無理やり止めさせた魔導砲の対ショック防御結界の名残だったりする。
他にもボクの知らない機構が付いていそうでちょっと怖いなぁ。
レントを巻き込んで、隠れてこそこそしていたみたいだし。
そんなボクの呼び掛けに視線をさ迷わせたフェーヤ。
「は、走っているのですよ。そんな所まで……怖いです」
「大丈夫。支えてあげるから」
安全のためにと、彼女の身体に風の精霊を纏わりつかせる。
それに気付いたフェーヤは意を決した様子で、馬車の屋根へと登りきる。そしておっかなびっくりボクの隣へとやって来ると、そのままの勢いでボクの背へと抱きついてきた。
「フェーヤは怖がりだなぁ」
風の精霊の力で支えながら彼女の腰と膝の裏に手を回して持ち上げ、そっと隣に座らせる。
「お姉様が色々おかしいのです」
口を尖らせて反論しつつ、ボクの腰にしがみつくように甘えてくるフェーヤに微笑ましくなって、その頭をゆっくりと撫でる。
あの日以来ボクのことを『お姉様』と呼び、隙あらばこうして甘えてくる彼女に、何だか妹が出来たみたいな感覚になっている。
フェーヤとは同い年のはずなんだけどね。
「本当に残らないで良かったの?」
離れ行く里の方を見やりながら、もう一度意志確認を行う。
「はい。樹精の巫女である私にとっては、ルア様のお傍が本来の居場所ですから」
「もしかして、それ言い訳に使ってない?」
「……実は少し」
テヘッとはにかみながら答えるフェーヤに、ボクもつられて微笑む。
「私は里と王都の極一部しか知りません。今まではそれでも良かったのですが、やっぱりそれじゃ駄目だと思うんです。知らないこともたくさんあって……お姉様についていって色々学びたいです。もちろんアルメリア大叔母様と何度も話し合いをしましたし、同行の許可も勝ち取りました」
そう。
フェーヤは身の回りの世話をする侍女を一人だけ伴い、この馬車に乗り込んで来ていた。
フェーヤの後見人兼教育係だったアルメリアさんはその任を解かれ、そのままファルナダルムの里に残った。
解かれた理由は単純。
ネライダ神殿長とディクティル大神官、その他多くの貴族が罪を指摘されたせいで、対外的に顔の利く人物が彼女しかいないのが一つ目の理由。
そして二つ目の理由として、フェーヤが王宮への報告のお役目を命じられたからだった。
しかし大事な里の巫女であるフェーヤの身の安全は、しっかりと守らなければならない。
そこでフェーヤの旅の供の依頼がボク達のクラン【円卓の騎士】と【精霊の懐刀】双方に出されたというわけ。
里から自前の護衛を付けるよりも、同じタイミングで王都へと向かうボク達の旅に同行させた方が安全だと判断したようだ。
ただ、ボク達がどうしても避けられない特性として、地球への魂の帰還があった。
地球の六時間で、この世界の一日。
等倍じゃないから助かっているけど、それでも学校に行っている間はこちらに来れない。
今日まで春休みだったボク達でも、ずっとこちらにいられない。睡眠はこちらの世界で取るとしても、地球の体に食事は必要だし、戻ったら戻ったでトイレに急に行きたくなる。
だから多くて四日毎に三日分相当が限界。これでも相当多い。
もちろん学校が始まれば地球時間で約十二時間、こちらの世界だと二日もいなくなってしまう。
当然アーサーさん達のような大学生や社会人も多くいるし、昼夜逆転生活をしている人もいる。必ずしも同タイミングでこの世界からいなくなるわけではない。
だけどこの世界の人類であるフェーヤの護衛をするには、ボク達では人員確保が難しいのではないかと思った。
しかしこれはボクの守護者を自任するクラティスさんをはじめ、ティーネさん達上級精霊が協力してくれたことで可能となった。
今日で春休みも終わりだし、明日から学校が始まるから、今よりこの世界に来れる時間が減るけど、彼らならフェーヤの護衛として十分過ぎる。
移動についてもハクとリンがいるし、全く問題ない。勝手に馬車を牽いて進んでくれる。
まあ会える日が少なくなって寂しがられたけど、安心して任せられるからね。ほんと助かる。
フェーヤは頻りに恐縮していたけどね。今後もボクといるなら、こればかりは慣れてもらわなきゃならない。
まあ何だかんだといって、意外と適応力が高い子だから、すぐに慣れてくれるだろう。
それに無事着いた後も、王都にはパァム家所有の別宅があるし、王都での滞在中もフェーヤの護衛としてその別宅にいて欲しいとも言われたため、その提案はありがたかった。ボク達としても宿屋を探す手間が減るし。
当然みんなと相談した上で、アルメリアさんとフェーヤからのこの依頼を引き受けたのだ。
「だからお姉様。旅の間は巫女ではなく、ただのフェーヤです。雑用でも何でもしますので、よろしくお願いします」
「それはいいんだけど……。ボクとフェーヤは同い年なんだから、その『お姉様』呼びも何とかして欲しいけど?」
「嫌です。それだけは譲れません」
はぁ。これだもんなぁ。
王宮での用事が済んだ後、フェーヤの今後は王宮の話し合いの結果次第で変わるけど、アーサーさんへの恋心やボクへの懐き具合からしたら、ボク達の旅にどこまでも付いてきそうだね。
危険なことして欲しくないんだけどなぁ。
巫女をつれ回していいんだろうかと思うけど、そこはなるようにしかならないかな?
『──お兄様、時間は大丈夫ですか? 結構な時間になっていますよ。明日の為に戻らなくてはならないのでは?』
こっそりとため息をついていると、ボクと精霊化状態のティアが念話でそう伝えてくる。
開いたステータスメニューに表示させた地球時間は午前三時前。普段ならもう寝ている時間だ。
実際他のみんなはもう地球に帰還している。馬車の中に用意した自室のベッドで動かなくなっているはずだ。
このまま帰還したら睡眠不足になるし、こちらで少しだけ寝てから帰ろうっと。
「フェーヤ。そろそろ地球に帰るね」
「あ、はい。次はいつ頃来られそうですか?」
「んー……多分こっちで明後日の朝かな?」
明日は入学式だけだから、普通に何もなければ午前中に終わるだろう。
そこから急いで帰ってくれば、家の用事をこなして午後二時くらいにはこっちに来れるはずだ。
フェーヤにはボク達の秘密を、ある程度話せる範囲で話してある。
もちろん実際に男であることは絶対に話せないけど、それ以外の向こうの生活とかは話した。
フェーヤにとって地球の生活は想像出来ないくらい興味深いものらしく、感応石による映像とか見たがった。
ただ残念ながら、こちらの世界の道具である感応石は地球に持ち帰れない。
ただ今でも、地球で撮影した画像とかのデータは持ち込めるみたいだ。それで我慢してもらっている。
もちろんボクの男の姿が写っていないモノか、星の精霊の姿をしているモノに限るけどね。
そんなこんなで。
フェーヤはボクが別の世界の人間だと知っても大して驚かなかったところをみると、この世界の人々に地球人という存在がそれなりに広く認知されているようだ。
世界中に散らばる巫女へ託宣を行い、受け入れ体制を整えるように命令したとエターニアも言っていたしね。
この世界に来たらすぐに冒険者ギルドに登録して欲しいと言われたことからも、権力者にはそちらから情報が回っていそうだ。彼らからしてみれば、一般人の個人情報なんて調べたい放題見放題だろうし。
「で、今回もお身体はこちらに残されるのですか? 今度こそは……私がお身体を拭いたりといったお世話をしてみたいです」
「いやいや、何度も言うようで悪いんけど。確かに身体をここに残していくけど、世話はいらないって」
「えー」
不服そうにフェーヤ。
「この馬車の中であれば、精霊の力が身体を護ってくれるし、それに今はエターニアの力が体力の消耗を防いだりしてくれるから」
嫌な予感がしつつも、そう牽制する。
「でも、お身体が完全にこちらの世界に適合されたのですよね? その……下の世話とか?」
「ないない!」
恐る恐る訊いてきたフェーヤの言葉を強く否定する。
「時空間移動は神様とエターニアの力で行っているものだよ。消耗はするけどお腹が空くといった程度のモノで、フェーヤが考えているような事態にはならないの!」
あれだよ、あれ!
いくらなんでも、お漏らしとかないから!
この馬車にも街の広場に設置されているポータルのような機能、つまり地球への帰還機能が組み込まれている。
けど街にあるポータルとは違い、この馬車にはエターニアの力が強く込められた時空の精霊結晶が組み込まれてない。あるのはそれの下位互換である魔法式が刻まれたプレートだけ。
この魔法式のプレートだと、エターニアの力の出力が足りないために、身体をその場に置いて魂だけ帰還するしかない。
簡単に説明すると、時と空間を操るエターニアの力が電気、精霊結晶が大型バッテリーで、魔法式のプレートが乾電池だと考えると分かりやすいかな?
もちろん出力が低いために、帰還中の体力と空腹度の低下は激しいものとなる。
けど今のボクなら無色の精霊石にエターニアの力を込めることで、彼女の時空の属性を宿した精霊石を作ることが出来る。
とはいっても、ボクが作れるのはあくまでも精霊石どまり。それもエターニアに教えてもらいながら作業を行い、何とか良品質が作れたレベル。
さすが始祖精霊の力は格が違う。一筋縄ではいかない。
それでもあるのとないのとでは大違い。
その精霊石の力を利用した精霊結界を張り巡らせたこの馬車があれば、帰還中の身体へのダメージや新陳代謝をほぼ停止してくれたり、魂がない身体の時間経過による体力の消耗を緩やかにしてくれるような効果を発揮することが出来た。
まあそれはあくまでも普通の馬車よりもマシになった、という程度だ。地球で二日放置すれば、それなりにお腹も減ってくるし。
とはいえ、ボクの精霊石が組み込まれていない馬車だと、二日も放置すれば確実に〔飢餓〕で死に戻るので、一応は役に立っていると思う。
時空の精霊結晶が作れないのは、ボクがエターニアの力を使い慣れていないせいと、その契約が加護レベルなせいだ。
当然慣れてくれば、もっと高品質な物が作れるはずだし、今後は生命の精霊と契約してその精霊石も同時に組み込めば、完全生命維持機能も持たせられるはずだ。
まあそれを実現するには、複数の精霊結晶が互いに反発干渉しないように上手く融合しないといけない。
それに精霊石の力を道具に混ぜるのは、付与師の〔魔道具作成〕の領域。順当に腕を上げているマツリさんでも難易度が高すぎるそうだ。
もちろんこの機能を知ったマーリンさんから自分達にも是非にと拝まれたので、彼らが所有する馬車にも同じように処理し、この旅に使われている全ての馬車のアップグレードが終了したのがついこないだのこと。
だからフェーヤが言うような世話は必要ないん……。
「むぅ……。ユイカさんやティリルさんがいない今がチャンスですのに……」
「なにする気!?」
ほんとこの子は何考えてるのかな!?
なんか身の危険を感じるんだけど!?
あからさまにガッカリするフェーヤをみて、思わす額を押さえ嘆息する。
姉のように懐いてくれるのは嬉しいんだけどね。話せない秘密を抱えているボクとしては、正直心苦しい。
でもこうキツく言っておかないと、勝手に部屋に入って来そうだし。フェーヤはルアの力を宿している巫女だからか、ボクの部屋に出入り自由になっちゃってるからなぁ。
閉め出すにはルアごと不許可にしなければならず、それこそ不可能だ。ルアに泣かれるのヤだし。
まあフェーヤなら例え真実を知ったとしても、今度はお兄様と呼んで受け入れてくれそうだけど……。
──いや、ダメだな。
フェーヤに余計な気苦労かけるわけにはいかないし、黙っておいた方がやっぱり正解かな。
男の姿で帰還してしまうと、部屋に入られたらバレてしまうし言い訳が立たない。
今後フェーヤといる間は、精霊化をしたまま帰還することになりそうだった。
「今日はティア様と帰られるのですか?」
「そうなるかな。今日はティアの番だしね」
「いいなぁ。私もティア様やカグヤ様のように、お姉様の世界に行ってみたいです」
「それは……。何度も言うようだけど……」
「分かっています。中級以上の精霊で、しかもお姉様の魂と深く繋がっていないと不可能なんですよね」
「そうだね。今はティアとカグヤ、そしてハク達だけだよ」
恐らく星の精霊に目覚めたことと、エターニアの加護が影響しあった結果なんだろうな。
ボクの魂と一部重なり合う『深愛』の契約状態の上級精霊と、魂同士で主従契約として結ばれる雷獣だけが、地球とこの世界を隔てている次元の壁を突破出来るようだ。
そして、例え魂の力の一つである〔依り代〕の中にいても、『寵愛』止まりの精霊は地球に付いて来れなかった。
しかも帰ってきた時に話を聞けば、依り代の中から弾き出されたとのことだ。
となると……だ。
ボクの中で眠りについているエフィとユズハさんはどうなっているのか……。
依り代から追い出されている気配もないし、実際地球でも彼女達の精霊核の存在を感知出来るんだよね。
二柱と〔深愛〕契約を結んだ覚えもないし、実際にステータスメニューの称号表記にその記載もない。
自分の力ながら、本当に謎だらけだ。
それにティアとカグヤが地球に行けてしまったことで、新たな火種も発生した。
ティアやカグヤが嬉しそうに自慢しちゃったせいで寵愛止まりの精霊組が焦り出したらしく、一時期にボクの周りが酷いことになったんだよ。
つまり一言で言うと、自分も一緒に地球に行ってみたいと駄々をこねる一部の精霊が……シャナルさんとかルアとか……が、ボクから『深愛』を得ようと攻勢を強めたわけだ。
消極的ではあるものの行けるならとティーネさんやキリアも声を上げたし、口に出さないけど視線が強く行きたそうにしていてもろバレなシュリとか……。
あ、結局全員だな、これ。
それにエターニアやエアリアルからもねだられたけど、貴女達は無理でしょうが。今でも寵愛じゃないし、エターニアはそもそも精霊島を放置出来ないでしょ。
しかもそれを指摘したら、駄々こねた挙げ句拗ねちゃうし。
ホント頭痛い。
ボクの中にある精霊の女王様の凛としたイメージが崩れていくんですが……。
ま、結果から言うと、誰一柱『深愛』にクラスアップしなかったけどね。
小さい頃からの知り合いで、かつこんなに懐いているルアまでも無理だったし、どうも契約の昇格に特殊な条件が存在しているみたいだ。で、それがなにかは分からない。
どっちにしろエターニアの方から、アニマと会うまでは新規の寵愛契約を結ぶなと言われているので、出来なくて良かったかもしれない。
収拾がつかなくなってきたのを見て取ったディスティア様が間に入ってくれなかったら、まだゴタゴタしてたんじゃないかな。
こちらの世界の事情もあり、そこはきっちりと取り決めがなされた。
緊急時を除いて、同行する精霊は一柱だけにすること。
必ず分体をこの世界に残していくこと。
この二点だ。
さすがにこの世界から長期間上級精霊を連れ出すことに抵抗があったのだけど、分体をエストラルドに置いておけば全く問題がないそうだ。
精霊は分体との意識や記憶の共有が出来る上に、いざとなれば簡単に戻れるとのこと。
しかもディスティア様の見立てでは、ボクの魂がこの膨大な次元世界に存在する小さな地球とエストラルドを繋ぐ座標の役割をしているらしい。
ボクの星の精霊とエターニアの力が次元の壁に作られた通用口の役割までしているとかで、ボクと深愛契約していて一度地球に行ったことがある精霊限定ではあるものの、地球への召喚が可能とかきたもんだ。
あ、こら、そこ!
えっ、マジで? って顔しない!
貴女は時空と永遠を司る始祖精霊でしょうが。何で知らないんだよ、もう。
なんだかご都合展開のようにも思えてきたし、一介の一般高校生がそんな戦闘力持って良いの? とか思ったりしたけどね。
デイスティア様からは「こちらとしては護衛をつける事が出来て助かりましたわ」と言われちゃうし、ティアやカグヤは観光気分な感じで楽しそうにしてるしで、そういうものだと受け入れた方がいいかと思うようになった。
現実逃避をした、ともいう。
まあ地球で命懸けな戦闘が起こるはずもないしね。
それに地球のボクの身に起きた現象の対処でも手一杯なのに、これ以上考えたくなかったのが本音だ。
『じゃ、帰る準備しようか』
『はいっ』
ティアがボクの隣に自分の分体を生成したのを見て、依り代の中で寝ていたハクを起こすべく意識を内に向けたのだった。
───────────────────────
名前:セイ
種族:古代森精種 種族レベル:42
職業:御子 職業レベル:23
HP:840
MP:890
STR:22
VIT:42
AGI:40
INT:65
MND:71
DEX:22
※上記はスキル及び装備品を含まない基礎ステータス
BP:0
SP:135
○所持スキル
種族系
〔精霊眼:森羅万象〕〔浮遊(精霊化時)〕〔物質透過(精霊化時)〕〔透明化(精霊化時)〕new〔星の精霊変化〕new〔????〕new〔星???〕new〔??変?〕new〔?気??〕new〔?の??〕new〔????〕new〔??????〕new〔????〕new〔?????〕new
職業系
〔精霊魔法Lv118〕〔精霊召喚〕〔精霊顕現Lv88〕〔精霊化Lv69〕〔念話(対精霊)Lv76〕〔依り代Lv73〕〔精霊魔法師の心得〕new〔精霊との親和〕new〔精霊との邂逅〕new〔魔力操作Lv72〕new〔魔力干渉Lv62〕new
〔精霊言語Lv50〕new→〔古代精霊言語Lv15〕new
攻撃系
〔杖術Lv21〕〔体術Lv61〕〔魔法具操作Lv89〕〔舞闘術Lv3〕new
補佐系
〔メンタルアップLv56〕〔フィジカルアップLv4〕new〔HPアップLv15(再修得)〕〔MPアップLv50〕〔STRアップLv13(再修得)〕〔VITアップLv15(再修得)〕〔AGIアップLv9(再修得)〕〔INTアップLv50〕〔MNDアップLv50〕〔DEXアップLv8(再修得)〕〔気配察知Lv92〕〔夜目Lv89〕〔消費MP減少Lv100〕〔騎乗Lv79〕〔舞踊Lv103〕〔祈誓Lv63〕〔気品Lv68〕〔魅力Lv63〕
耐性系
〔毒耐性Lv62〕〔麻痺耐性Lv58〕〔暗闇耐性Lv36〕new〔沈黙耐性Lv43〕〔封印(魔法)耐性Lv33〕〔遅延ディレイLv16〕〔衰弱耐性Lv76〕〔気絶耐性Lv23〕
〔抵抗力強化Lv7〕new〔生命力強化Lv7〕new〔免疫力強化Lv2〕new
生産系
〔採取Lv49〕〔調合Lv20〕
〔料理Lv100〕→〔料理人Lv25〕new
◯クラスアップスキル及び初出新規スキル
〔舞闘術〕(上限Lvなし)
必要SP10(中級技能書対応)
特殊攻撃スキルの一つ。〔体術Lv50〕と〔舞踊Lv100〕が解放条件となる。舞踏の足運びを利用した身躱しや扇を持つ手振りでの受け流し等、攻撃よりも防御に重点を置いている。
舞踏スキル発動中もキャンセルする事なく同時発動させられる為、戦場で味方の鼓舞を行う踊り子は、自身の身を守る為の必須とも言えるスキルである。
なお、攻撃に重点をおいた〔剣舞術〕スキルもある。
〔フィジカルアップ〕(上限Lv100)
必要SP15(上級技能書対応)
統合スキルの一つ。限界値は高い。元となったスキルは消滅するが、再修得可能。
HPの値に補正。現在値にスキルレベル×3をプラス。
STRとVIT、AGI、DEXの値に補正。現在値にスキルレベル/2(端数切り上げ)をプラス。
〔料理人〕(上限Lv300)
二次スキル。必要SP5(中級技能書対応)
あらゆる場面にて、味や効果に少しだけ補正がかかるようになる。
〔古代精霊言語〕(上限Lv100)
必要SP10(中級技能書対応)
精霊魔法師固有スキル。古の時代の精霊文字が読めるようになる。
〔精霊魔法師の心得〕(Lv表記なし)
必要SP10(中級技能書対応)
精霊魔法師固有スキル。精霊魔法師系統の職業スキルの効果を底上げしてくれる。
〔精霊との親和〕(Lv表記なし)
必要SP5(初級技能書対応)
精霊魔法師固有スキル。僅かながら精霊の好感度を上げやすくする。
〔精霊との邂逅〕(Lv表記なし)
必要SP5(初級技能書対応)
精霊魔法師固有スキル。精霊と出会いやすくなる。
○同行精霊
精霊王女エフィ『エフェメラ』
マナ色:虹のような煌めきを持つ薄い極彩色
(精霊体提供者ユズハと共存)
月の精霊カグヤ『セレーネ』
マナ色:白銀色
雷鳴の精霊ティア『レクティア』
マナ色:輝くような明るいアメジスト色
ハク(元聖獣・白虎)進化×1
テンライ(鳥型中級精霊)進化×1
リン(元聖獣・麒麟亜種) 進化×1
樹木の精霊ルア『ルアル』
マナ色:透明感のある新緑色
光の精霊シャナル『ミクシャナ』
マナ色:淡い白金色
静寂の精霊ティーネ『レンティーア』
マナ色:輝く鈍色
闇の精霊キリア『キュリア』
マナ色:透明感のある綺麗な黒色
太陽の精霊シュリ『シュリナ』
マナ色:黄金色
○精霊化形態
〔元精の戦巫女〕〔現在使用不可〕
〔雷精の侍獣巫女〕〔覚醒〕
〔月精の寵授巫女〕〔覚醒〕
〔樹精の恵育巫女〕
〔光精の救聖巫女〕
〔寂精の隠形巫女〕
〔闇精の影転巫女〕
〔日精の断罪巫女〕
○称号
精霊王女の寵愛
精霊王女の御子
雷鳴の精霊の深愛
雷鳴の精霊の最愛のお兄様
月の精霊の深愛
忠犬(?)カグヤのご主人様
静寂の精霊の寵愛new
駄メイドのご主人様
精霊女王の加護
女王に見初められし者new
精霊ホイホイ
精霊女王の許状
三冠王
樹木の精霊の寵愛new
ルアルのお母様(?)new
光の精霊の寵愛new
光のお姉さんの過保護対象者new
闇の精霊の寵愛new
元メイドの御主人様new
太陽の精霊の寵愛new
初恋の君new
姉妹同時攻略者new
到達者new
風の精霊の祝福new
悪戯兎の想い人new
○新追加装備
女性服及び着ぐるみ更に追加(マツリ作)
雷精の加護衣・改
月精の加護衣・改
星姫の加護衣・改
樹精の加護衣・改
光精の加護衣・改
寂精の加護衣・改
闇精の加護衣・改
日精の加護衣・改
○手持ちアイテム等
液体用小樽(在庫補充済)
食材多数
依頼した精霊薬各種
上級技能書×0
〔フィジカルアップ〕に使用
(上級技能書はSP15まで対応)
中級技術書×0
〔精霊魔法師の心得〕〔古代精霊言語〕〔舞闘術〕に使用
(中級技術書はSP10まで対応)
精霊石(大)1個
精霊石(中)3個
時空石(中)1個
精霊石(小)5個
時空石(小)3個
○新規試練クエストクリア
『王女の目覚め~陽光の章~』
『今そこにある危機~ファルナダルム~』
『精霊島へと至る道』
各SP+10
ちょっとしたオマケを挟んで、次章に入ります。
現状手空き時間がなかなか作れず、更新が遅れ気味で不定期となっていますが、何とか更新していきたいと思います。
家に帰らず七泊八日(仕事)とか出来れば勘弁して欲しいですが、人がいないんだよなぁ……orz