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彼の特殊な精霊事情  作者: 神楽久遠
出会いから始まる物語
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1話 始まり

どうも初めましてです。『神楽久遠』という、読み専だったモノです。


掃除してたら、学生時代に書いた黒歴史が出てきて、あまりの稚拙な台本(小説と呼びたくない)が出てきて、ちょっと今書いたらどんなのが書けるんだろう? と書き始めたのがこの作品です。

過去にノートに書きなぐっていた設定のいくつかをVRものに変更して書き出してます。


不束者ですがよろしくお願いします。


注意:なにか間違いや誤字脱字があればご指摘くださると幸いです。

仕事と遅筆の為、ストックがなくなれば週に2~4回を予定しています。


5/13 加筆しました。

「……ようやく終わったぁ」


 ボクこと、御陵みささぎ理玖りくは、長く息を吐き出しながら椅子にへたり込んだ。手には、たった今担任から配られた卒業証書。

 これで中学を卒業し、来月には高校生……とは言っても、それについては感慨深いものは何もない。なんせエスカレーター式のこの学校、どうせクラスメイトのほとんどがまた一緒になるのだから。

 

 そう、そんなことよりも……


「この春休み突入当日に、AS(アス)第三陣とかタイミングバッチリだよな。帰ったらすぐインするんだろ?」


 声をかけてきたのは、高辻たかつじいつき。幼馴染である。

 家が隣同士、小さい頃から今は亡き祖父の道場に入り浸っ……ゲフンゲフン……共に育ってきた親友。

 小さい頃は道場で、今もそれなりに筋トレ等してるらしいから、彼は結構引き締まった体格をしてる。俗にいう細マッチョ。そして無駄に背も高くイケメンである。


 140cm(サバ込)しかないボクにも少し分けてほしい。切実に。


 ……途中から背が全く伸びなくなったんだよね。

 ボクは別件で定期的に病院に通っているんだけど、その際、担当の看護師や医師達に身長を伸ばす方法を色々いたりしている。

 だけど何故か効果があったためしがない。ボクの母親も低いから、遺伝なのかなぁ?

 今ではすっかり諦めモードです。

 

 あともう一人幼馴染として、彼の双子の妹である結衣ゆいがいるんだけど、彼女は教室が別の為ここにはいない。

 樹と結衣は双子なのに、全く似ていないんだよね。性格も含めて。


 一言でいうなら。

 樹がどっしりした頼れるイケメン大型犬としたら、結衣は『かまってかまって』と尻尾を振ってくる可愛い小型犬かな?

 あ……例えがちょっとひどいかも知れない。




 彼、樹が今口に出したゲーム、AS(アス)とは?


 通称AS(アス)(Oは語呂が悪いのかついてない)、正式名:Along with the Spirits Online……精霊との共演とも題されたこのゲームは、精神メンタルフルダイブシステムを実現し、多人数参加型オンラインゲームとしてもう一つの仮想現実へ、いや異世界に旅立ったかのような世界観を実現している。


 うたい文句は『自分のなりたかった自分に、別世界で生まれ変われる』。


 冗談みたいな話だけど、自分がなりたい、自分がしてみたいといった願望がキャラメイキングの選択肢に反映され、自分のしたいようにその世界で生きることが出来るという。


 二週間のβテストを経て、去年の十二月二十八日の年の瀬に発売されたこのゲームは、日本限定にもかかわらず、初回ロット五万本をあっという間に完売。翌月中旬にも第二陣として二万本が発売されたが、それも数時間を待たずして完売するといった盛況具合。

 

 精霊と呼ばれるモノ達が存在する、自然豊かな世界で冒険するといった、ありきたりな世界観とストーリーではあるものの、当時発売前のβテスター曰く、作りこみとやりごたえが半端なかったとの事。


 キャッチフレーズに完全な五感の再現をうたい、その名に恥じず、渓流の音色と体感、食事における味覚と嗅覚、戦闘における臨場感、さらにNPC(ゲーム内住民)に至っては、まるで中に人がいるかのような応答だったという。


 普段あまりゲームをしない──樹や結衣に付き合って彼らの家でしていたくらい──だけど、彼ら双子が熱心に誘ってくるし、二人のゲーム内のやりたい事とか聞いていたら、ボクもそのテンションに引きずられるかのようにプレイしたくなっていた。


 そして今日から始まる第三陣に、ボク達はようやく初ログインすることとなる。


 ──ボク達が第三陣になったのには訳がある。

 購入競争に負けたのではない、単に年齢制限に引っかかって買えなかったのだ。


 あまりにリアリティを追求しすぎたためか、R15──つまり、十四歳以下は購入不可だったのである。

 しかも従来のハードではプレイ不可の為、特別な専用ハードが必要。新規購入時に個人登録まで行わなければならない上、また未成年は親の同意書まで必要、という念の入りよう。

 この時ばかりは、二月生まれな自分の誕生日を恨んだものだ。


 ちなみに樹達は九月生まれだが、ボクに遠慮したのか、いまだ未プレイである。


「だって結衣と二人でやってもつまんねぇしな……一緒にやろうぜ」


 というのが、当時の彼の言。

 無駄に発言も爽やかで男前であるが……そういうのをみんながいる前で大声で言わないで欲しかった。

 クラスメイト中がどよめいた上、女子達が掛け算とか始めるし。

 イケメンとショタのカップリング最高とか……。

 まあ、昔から事あるごとに言われ続けたネタだから、多少耐性はついているとはいえ、あまり聞きたい言葉じゃないし。


 こういう時の樹の考えなしの発言はいつものこと。

 もう少し周りの影響を考えて欲しいとは思うんだけど、どうもわざとやってるきらいがある。

 普段は察しのいいハイスペック親友なのに。


 こっそりとため息を漏らすのであった。


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