魔物ではないからね
サブタイトル「王様集合」にて、ヴァンがマルジェシタ王国と獣人の国ウォル・ド・ネシタを、隣り合っている。と言った箇所を削除しました。
隣じゃ無いです。
すいません。
ゲルティ隊長の遊びに、ルークさんが参戦を希望してきた。
ちょっとびっくり。
「俺もたまには、おもいっきり身体動かしたいからねぇ。チナツちゃん、SSランクになったんでしょ?なら、全力出せるかなって」
「マジか、嬢ちゃん。あ~、少し前にセルヴィスとノストの2人がかりで、へばってたっけ。楽しめそうだな。」
……ルークさんが爽やかに、ゲルティ隊長は面白そうに笑って言った。
いやいや、笑えませんよ。
其れに、あの時の戦いってあんまり覚えてないし…。
「俺と、其処の小僧とセルヴィスとノスト。で、嬢ちゃんの5人か、何なら他の隊長達にも声掛けてみっか!部下相手にストレス貯めてる奴等ばっかだからな!」
……増やさないでぇ!
ピクピクと頬がひきつるのが分かる。
「このおっさんと主が戦うのですか?強いのは認めますが、主があまり気乗りしてない様子。代わりに私がやるですヨ?ニャ~。」
「バルトがやるなら、うちもやるニャ~!」
猫2匹が参戦を主張し始めた。
「嬢ちゃんの猫、増えてんじゃねぇか。」
……気付くの遅いですよ。
「チナツと契約した上位悪魔ですよ。」
アルが簡単に紹介した。
ゲルティ隊長の瞳がキラリと光る。
「ほほ~。」
「ずっと、ダンジョンに居たのでもう少し暴れたいですヨ。主、ニャ~!」
「大歓迎だぜ!なら、此れで最低7人だな!」
……私が入ったまま何ですけどね!
何を言っても、断れないんだろうなぁ。
「……総あたり戦では、身体が持たないと思うんですけど~。」
気になる事を言ってみる。
全員と戦うのは勘弁してほしい。……切実に!
「暴れたいだけだからな~。俺は、総あたりで構わねぇんだが?」
ゲルティ隊長だけですよ。
「体力や魔力が持たないです。其れに、時間もそんなに掛けられないんじゃ無いですか?皆さん、仕事も有りますし……。」
何とか総あたり戦を回避すべく、必死に言い募った。
「んなもん補佐に任せりゃ良いんだよ。」
いやいや、補佐はあくまでも補佐するのが仕事ですよ~!?
この分だと、普段から補佐に仕事丸投げしてるね!
どうやってゲルティ隊長を止めようか困っていたら、アルが提案してきた。
「暴れたいだけなら魔物相手にすれば良い。此れから、どんどん強くなっていくと言う事だからな。下の者達だけでは対処出来なくなっていくだろう。そうなれば、隊長達にも出てもらわないと困る。」
「いや、殿下よ。俺は嬢ちゃんと全力でやりたい訳で……。」
アルはゲルティ隊長の顔を見た後、ルークさんの顔も見た。
ルークさんは、ポリポリと頬を掻いて顔を反らした。
軽く息を吐く。
「戦闘バカが……、ウィルネストと言ったか?そいつと戦った訓練所で食後にでもやれば良い。チナツとルーク、ゲルティと猫2匹、だ。其れでも満足出来んのなら、2か月後の騎士の入団試験の前座かトリの好きな方で戦う場を設けてやろう。」
「…………食後で良いです。」
「…………猫で我慢するわ。」
おおぅ!
ゲルティ隊長が引いた!
まぁ、見世物になりたい訳じゃないからねぇ。
後、他の隊長達には言わない様にとアルが釘を刺す。
分かった。分かった。と、軽く手をヒラヒラ振ってゲルティ隊長が立ち上がった。
「じゃあな、訓練所で待ってるぜ!にゃんこ共!」
言いながら、2匹の頭をワシャワシャと乱暴に掻き撫でた。
「ニャ~!うちの強さでボッコボコニャ!!」
「悪魔の前に膝間付くがいいですヨ!ニャ~!!」
猫の姿で、悪魔ッポイ事言われてもねぇ。
もう一度ワシャワシャしてからゲルティ隊長は、執務室から出て行った。
完全にドアが閉まってから、溜め息を1つ。
…………良かった。
戦わなくて良いなら、其れに越した事は無い。
戦闘狂ではないからね!
「ヒール」で回復出来るとしても、痛いのは嫌だ!
チラリと隣のルークさんを見る。
満面の笑みを向けられた。
はは、戦闘狂め!!
その後、セトお祖父様が隣の部屋に用意してくれた食事を済ませ、私は渋々 訓練所へと向かった。
忘れてしまうけど、お兄ちゃんもずっと側に居ます。
まあ、アルの護衛だから、基本私語厳禁?なのかな……。
後、猫2匹は超ご機嫌で尻尾をブンブン振りまくってた。
……私の腕の中と頭の上でね!当たってるってば!!
は~い。訓練所でっす。
来たくなかった!
ルークさんとゲルティ隊長と、どっちと戦いたいか……ゲルティ隊長です。
正直、ルークさんは読めないと言うか……何て言えば良いんだろう?底が見えない?
確か火の魔法を使ってるのは見た事あるけど、其れだけでは無さそうだし、剣筋とかちゃんと見えるのかな?
……不安だ。思いっきり不安で怖い!
隊長達よりめっちゃ速そう!
「おぅ!やっと来たか。待ちくたびれたぞ~。」
ゲルティ隊長が大剣にもたれ掛かる様に立っていて、私達に向かってブンブンと腕を振っていた。
その後ろにセルヴィス叔父様とノスト隊長が居た。
「……他の隊長達には言わない様に言った筈だが?」
「悪い。バレた……俺から喋った訳じゃ無いからな!」
ノスト隊長が前に進み出て、アルに対して軽く礼をして言った。
「すいませんね、殿下。この男が余りにもご機嫌で気味が悪かった物で、問い詰めて吐かせました。戦わせろとは言いませんので、見学ですよ。只の見学。」
「そうですよ。チナツの実力は知っていますからね~。私は叔父として、チナツの応援に来たんですよ。」
にっこり笑って、セルヴィス叔父様が私を抱き締めた。
「此処に来たって事は、お仕事が終わったと言う事ですね、セルヴィス叔父様。」
「あ、あ~うん、そうだね。終わったかな?多分、終わってる。あはは、はは……。」
……終わって無さそう?
タイアスさん、ブチギレしてなきゃ良いけど……。
怒られるのは叔父様1人でお願いします。
「ほらほら、さっさと始めようぜ~。俺の相手は嬢ちゃんの猫2匹だろ?どう戦ってくれんのか楽しみ何だが?要は、対人戦で無く対魔戦てこったろ?良い訓練になりそうだ。」
ニヤリと猫2匹を見て言った。
「魔物じゃないニャ!!」
「そうです。魔物と同じに見られるのは我慢ならないですヨ!ニャ~!」
ティオが私の腕から飛び降りると、直ぐ様 黒豹の様な黒猫に姿を変えた。
猫バルトも私の頭から飛び立つと、悪魔の姿に代わりティオの横に浮かぶ。
1匹と1人の姿に私以外が息を呑む。
最初に息を吹き返したのはセルヴィス叔父様。
「ぐはっ!?予想以上のイケメン!こんなのが24時間365日、チナツにくっついてるとか我慢ならん!チナツ~、契約解除しなさい!ペッしなさい!ソンナモノ!」
「酷い言われようですヨ。イケメンは認めますが、主と別れるなど死んでも御免ですヨ!」
……其れだと、バルトが死んだら 私取り憑かれるのか?
嫌だなぁ。
「2対1はやっぱアレだよな?ノスト、セルヴィス?どっちか入らねぇか?」
ゲルティ隊長が頬を引き攣らせながら、2人に笑いかける。
「見学ですから。」
「応援だからね。」
膠も無い。
後は、ティオの姿に打ち拉がれるお兄ちゃんが居た。
「猫以下……やっぱり、俺は、猫……以下……。」




