イメチェン
甘いものといえば、最近だと板チョコかじってます。
朝、起きた時 直ぐに此処が何処か分からず、ボーとしてしまった。
あ、そうか、異世界、きた、んだっけ……。
「お早う御座います。チナツさん。…何処か具合でも……?」
「ふへっ……?」
ボーとしたまま、声の方へ顔を向けるとセトさんが立っていた。
「あ、セトさん。お早う御座います。…ちょっと、寝惚けちゃってるだけです。大丈夫です。」
「左様ですか?今朝は良く御眠りでしたね。そろそろ、お昼になりますよ。」
「…………へ!?」
慌てて、ベッドから起きて窓を見た。
カーテンは掛かっておらず、窓から射し込む光は眩しかった。
昼近くまで寝てた事に驚いていると、
「よろしければ此方にお着替え下さい。昨夜の内に妻に借りてきて頂いたものです。チナツさんの準備が整いましたら、あちらのドアをノックしてください。御昼食に致しましょう。」
セトさんは、持っていた綺麗に畳まれた洋服をテーブルの上に置いた。
「あの、ありがとうございます。着替え とても嬉しいです。」
セトさんは、優しく微笑むと一礼して部屋から出ていった。
テーブルの上に置かれた洋服を見る。
全部で3着会った。
どれもシンプルな膝下丈のワンピースだった。
その中から、空色に大きめの白いリボンがついている物を選んだ。
早速、昨日から着っぱなしだった制服を脱ぎ着替えを済ませる。セトさんが用意してくれたのだろう昨日は無かった大きめの鏡をテーブルの上に持って行き、椅子に座る。
ティオもテーブルの上に上がり何をするのかと、見上げてきた。私は、ティオの頭をひと撫ですると 眼鏡を外した。
つい、癖で起きた時に着けてしまったけど、
「もう、つける意味無いよね。ティオ この眼鏡、仕舞っててくれる?」
「使わニャいのニャ?」
「うん。必要無い。もう、異世界に来たんだもの。私は私らしく好きに生きるわ。」
「解ったニャ」
ティオが眼鏡に触れると、一瞬で消えてしまった。
「ありがと。後は、髪型だけどどうしようかな?いつも、同じ髪型だったもんなぁ〜。ん〜ポニーでいっか。」
長かった前髪を少し残し、他は全て後ろの高い位置で括る。
ユラユラと左右に揺らすと、ティオの顔も左右に動いた。
「こんなもんかな?さ、お昼食べに行くよ。」
髪の揺れを凝視するティオを抱き上げて、私は隣の部屋に続くドアを叩いた。
ノックをすると、直ぐにセトさんがドアを開けてくれた。
私は小さく失礼します。と言って一礼して入った。
顔を上げると、驚いた顔のセトさんと殿下が居た。
「ああ、その色になされたのですね。良くお似合いですよ。」
「ありがとうございます。服の替えは無かったので、本当に助かりました。」
「昨日、掛けていた眼鏡は掛けずとも大丈夫なのか?」
殿下が近づきながら、声をかけてきた。
「はい。元々、視力は悪くないんですよ。親命令と言うかなんと言うか、まぁ好きで掛けていた理由ではないので」
「…………」
ジッと、殿下に顔を見つめられる。
私は恥ずかしくなって、手で頬を覆う。
顔を見られるのに慣れてないのだ。
しかも、殿下程の美形に凝視されるとか、何の罰ゲーム?
「お、おかしいでしょうか?やっぱり眼鏡掛けた方が……」
「あ、いや違う。余りにもチナツが可愛かったので、見惚れていただけだ。不躾に過ぎたな。悪かった。その服も良く似合っている。」
そう言って、私の頭をポンと軽く撫でて微笑んだ。
私は、頬が熱くなるのを自覚する。
可愛いとか言われ慣れてないので、サラッと言わないで欲しい。殿下の方が見惚れられる立場でしょうに!
「ホッホッ、何やら年寄りは不要な空気ですな。退室してましょうか?」
心無し、セトさんがにやけながら言う。
「な、いぃ居てください!」
「馬鹿な事を言うな。ほら、チナツもお腹が空いているだろう?昼食にしよう。」
馬鹿な事言ったのは殿下ですからね‼