金です!
自分で自分の首を絞めてしまった気がする。
ダンジョン攻略が終わったら、暫くまったりするつもりだったのに……。
1週間位、家の食堂手伝おうとも思っていたのに……。
ヴァンが愉しそうに笑う。
「取り敢えず、此処にある飴は俺の部屋に転移させるとして、」
言いながら、指を鳴らす。
一瞬にしてリジェネキャンディが1つ残らず消えた。
「他国の王には、俺から伝えといてやる。貸し1つだ。チナツ。」
「…………むぅぅ!」
仕方無いのかな?
国王にアポ無しで特攻出来る程、心臓に毛は生えてない。
ヴァン以外だと、アルに頼む事になっちゃう。
ヴァンとアル……圧倒的にヴァンの方が話が早い。
この前の様に、魔法で鏡みたいなの出して話せば 1回で終わる。
…………貸し1つってのが、怖いんですけど~。
「……宜しくお願いします……。」
私はヴァンに頭を下げた。と言うか、其のままテーブルに突っ伏した。
しくしく、しくしくしくしく。
「……良かれと~思って~やったのに~」
ティオと猫バルトがテーブルに移動してきた。
「その内、頑張った分だけ良い事有りますヨ!主?……ニャ~」
「良い事してるのニャ~!」
ポンッと両肩に其々の肉球が乗る。
もっと癒しを~~~!
「ティオ~!」
私はティオに抱き付きモフモフ、モフモフ!
「うニャ~!」
「主?何故、私はモフらないのですヨ!!ニャ~!」
ティオをモフる私の頭を、猫バルトがポカポカと肉球で叩く。
うん、肉球気持ちいい!
ツェッツさんが思い出した様に聞いてきた。
「そう言や、あの騒ぎのせいで忘れてたが、何か用が有ってギルドに来たんだろ?この後、ダンジョンに戻るのか?」
…………忘れてた!
私はギルドカードと通知書をツェッツさんの前に差し出した。
「「魔の回廊」の攻略終わったので、サイン下さいな!」
「はっ?」
「えっ?」
ツェッツさんとリュスタさんが驚きの声を同時にあげた。
そりゃそうだ。所要時間3日だもの。
2人がヴァンを見る。
「……まぁ、迷わなかったからな。」
「迷ってない?どういう事ですか?申し訳ありませんが、ちょっと……信じられませんよ?」
でしょうね!
うんうん、と私は頷いた。
ヴァンが説明した。
一応、ギルドの代わりについた監視者だものね~。
裏ルート、魔物の種類と数、ボス、魔方陣が無い事等を告げた。
「上位悪魔にキマイラ、最後に地龍ですか?Sランクがソロで挑むのもきつく無いですか?」
「チナツの場合、悪魔と戦わずに主従契約を結んだからな……。其処の黒猫がそうだ。」
ヴァンが顎で猫バルトを指した。
猫バルトが人型に戻る。羽も本来の大きさにして……。
「クククッ、改めて悪魔伯爵のバルトですヨ。出会った瞬間から主一筋!って、睨まないで下さいヨ。魔王様は短気で仕様が無いですヨ。悪魔は魂に惹かれるのですヨ?主の魂は一級品なのですヨ!」
…………魂とか、初耳何だけど?
「何?死んだら魂取られるとかなの?聞いてないんだけど?」
「其れならちゃんと契約書に書かれますヨ。」
「あ~、無料奉仕だったね。今更だけど良かったの?」
「見事な魂に仕える!って事が、悪魔にとって1種のステータスなのですヨ!主の能力で悪魔のステータスも影響を受けますし、主程の魂には、そうそう出会えませんヨ?契約だけで幸せなのですヨ~!」
「…………其れも初耳。良いなら良いのよ。うん。」
隣でツェッツさんがうんうん唸っている。
「うっし!決めたぜ!」
そう言うと、通知書に何やら書き込み始めた。
「「魔の回廊」裏ルートの解明・攻略、Sランク相当の悪魔との契約、新回復アイテムの開発とギルドへの提供、重傷者の治癒等をギルド貢献とし、SSランク冒険者と認定する。」
と、書いて判をポンッと押した。
「え~~~!?何でSS何ですか!Sランクで良いですよ!取り消して下さい!!」
「え~~~!?何でSSにして怒られんの?喜ぶとこだろ!!飴玉の礼だぞ!」
何でってねぇ~。
思い出す依頼って、クロ子の散歩だよ?
「私、まともに依頼受けた事無いんですよ!」
私は立ち上がり力説した。
「人から貰った魔石でEランクになって、ギルドマスターと手合わせしたらBランクって言われて、昇格試験はAじゃなくSランクになってるし、攻略したら今度はSじゃなくてSSランク認定!?どうみても、おかしい!冒険者なのに冒険してない!普通じゃない!」
ヴァンが呆れた顔をして言った。
「召喚されてる時点で、普通じゃないだろ?」
ツェッツさんとリュスタさんも頷く。
「世界樹に選ばれる人を普通には扱えません。」
「あんな飴玉出せる奴が、普通な訳ないだろが?」
「普通の人では、私と契約なんて出来ないですヨ!」
「ご主人が普通じゃなくても、うちは気にしないニャ!」
え~~~、私って普通だよね?
みんなの言葉がグサグサ胸に刺さりましたよ!
私はストンッと椅子に座ると両膝を抱えた。
「じゃあ良いですSSで、ど~せ普通じゃないそうだから、普通じゃないランクの上がり方で丁度良いんですよ。てか、普通じゃないから普通じゃない上がり方になってるのか?普通じゃない上がり方をした私はやっぱり普通じゃない?」
自分で言ってて落ち込む。
ティオの肉球が私の額に当てられた。
「ご主人はご主人ニャ~?うちは、ご主人が大好きニャ!」
「私も、ティオ大好きよ。」
額と額を軽く当てて、微笑み合った。
猫になったバルトがティオの上に乗り、身を乗り出しながら慌てて言う。
「私だって、主大好きですヨ!ニャ~!」
私は2匹の頭をぐりぐりと撫でた。
「ありがとう!良い子、良い子。」
「……主~私には「大好き」は無いのですか~。悲しいですヨ~?ニャ~。」
「……ダイスキデスヨ~。」
そうだよね、普通とか普通じゃないとか悩んでも仕方無い。
私は私!
普通じゃなくても、大好きだと言ってくれるんだから良いのだ。
まぁ、良く考えなくても、ティオもバルトも普通じゃないよね?
ティオはリュックなのに、喋るし、猫になるし、バルトはドMだよね。
……ヴァンは魔王の時点でアウト!
ん、問題ない!
話を戻そう。
各国にリジェネキャンディを届ける。
どうするかな~?
私としては、1度家に帰りたいんだけど 配る順番とか気にするべきか?
う~ん……。
取り敢えず、ヴァンに任せよう!
各国の王様に連絡取ってから、色々考えよう。
私はリュスタさんから、更新されたギルドカードを受け取ってから、ヴァンの転移で魔王城に戻った。
SSランクのギルドカードは……きんきら金!
ゴールドカードでした。
因みに、Sがシルバー、SSSはブラックだそうな。




