回復!回復!回復~!
ちょこちょこ「黒猫ウィズ」やってます。
(ФωФ)ニャ~!
「地下の……て事は、ギルドの訓練場に怪我人が居るんですね?」
土下座する竜人を立たせながら聞いた。
「助けてくれるのか!?」
「私の出来る範囲で、ですよ?多分、大丈夫だけど……。話すのは後で、怪我人を治すのが先だわ。」
「ありがたい!こっちだ!」
竜人は言いながら、私のお腹を腕に引っ掻けるようにして持ち上げた。
「は?」
私は竜人の腕に、お腹でぶら下がってる感じで運ばれて行く。
……鉄棒やってるみたいに
「ちょっ!歩けますから!下ろして~!」
「おら!!道開けろ!双黒の天使様のお通りだああ!」
「止めてぇ!その呼び名で呼ばないでぇ!!」
冒険者や職員が開けた道を、小走りで竜人が通って行く。
この抱え方で階段下りるの怖いんですけど!
後ろ向きなんですけど!
私の叫びそっちのけで、竜人はカウンターを飛び越え 一気に階段を駆け下りた。
「ひっ!いやああああああああ!?」
ギルド内に私の悲鳴が響き渡った。
駆け下りたと言うより、飛び下りたに近い。
「マスター!何やってるんですか!」
若い男性の声が聞こえた。
ヘロヘロな私からは見えない。
「教会の奴等は駄目だったが、丁度、双黒の天使様が居てくれたぞ!治してくれるってよ!!」
私は竜人の腕をヨロヨロと叩いた。
「下ろして……下さい~。」
腹部への圧迫感が半端ない。
気持ち悪…………壁に手を付いて立った。
「もっと優しくお連れして下さいよ!人族の女性ですよ?竜人と同じ扱いしないで下さい!!」
「お、おう、悪い。」
「……大丈夫か、チナツ?」
いつの間にかヴァンが側に来ていた。
「大丈夫よ……怪我人、は?」
若い男性がやってくる。
……鱗や尻尾は見えないけど、目が竜人と同じだ。
「ほんっとに馬鹿なマスターで申し訳ありません!怪我人はこの部屋の中です。宜しくお願いします。」
男性は深々と頭を下げた。
私は男性の横を通り、部屋の中に入った。
部屋の中には、10人ちょい位の人が寝かされ治療されていた。
半数の人が火傷の様だ。
残りが裂傷……中には片腕や片足が無い人もいた。
包帯でぐるぐる巻きにされているが、血溜まりが出来ているので止血出来ていない様だ。
此のままでは出血多量で死んでしまう。
私は部屋の中央に立ち、両手を握り締め祈る様に呟いた。
「エリアヒール!」
私を中心にして、魔力の光が波紋の様に広がっていく。
光が消えてから、1番近くに寝かされた人の包帯を解くと出血が止まっている事を確認した。
「取り敢えず止血しました。欠損している方は包帯を解いてそちらに寝かせて下さい。其れ以外の方はあちらにお願いします。」
さっきの若い男性にお願いした。
1番話しが早そうだったからね。
「分かりました。聞いての通りだ!動ける奴でかかれ!」
ギルドの職員と心配して来ていた冒険者が動く。
「欠損した部位は持ち帰ってますか?」
「……彼の足は有りますが…………って!付けられるんですか!?」
其れを聞いた側に居た女性が悲鳴の様に叫んだ。
「そんな!分かってたら無理をしてでも持ち帰ったのに!!」
「……あの、無くても大丈夫ですよ?有った方が楽と言うか、ね、泣かないで下さい。頑張りますから、」
「うう~、お願いします!彼を助けて下さい!」
「はい。」
女性の涙を拭ってから、微笑んで見せた。
少しでも安心してくれたら良い。
先に裂傷と火傷で苦しむ人達の元へ行き、同じように祈る。
「エリアハイヒール!!」
さっきよりも1段強い光の渦が広がり、患部に吸い込まれていく。
「……い、痛くない!」
「すげぇ!もう、動ける!」
回復したのを確認してから、1番酷い人達の方へ向かう。
「誰か彼の足を押さえてて貰えますか?」
「其れなら私が、」
やはりと言うか、竜の目をした男性が進み出て足を固定した。
「魔力は大丈夫か?心配なら俺の魔力を分ける事も可能だが?」
ヴァンが隣に立ち聞いてきた。
「まだ、大丈夫よ。ただ……。」
私はヴァンにだけ聞こえる様に言った。
「再生ってやった事ないから…出来るとは思うんだけど、治した後で倒れるかも?」
「…………分かった。後の事は気にするな。」
ヴァンは私の前髪を掻き上げる様に撫でると、後ろへ下がった。
私は深く息を吐き出し、心を落ち着かせる。
目を閉じ、自分の魔力に集中する。
服装が巫女装束に変わったのを感じた。
両膝を付き、握り締めた両手に額を付ける。
髪や袖が魔力に煽られはためく。
濃い魔力が失われた彼等の部位を形作っていくと、五体満足な身体で魔物と戦う姿が、脳裏に浮かぶ。
「彼等に多大なる神の恩恵を賜らん。「エクストラヒール」」
静かに呪文を唱えた。
魔力の高まりと共に、すんなりと口から出た言葉だった。
うっすらと目を開ける。
魔力で出来た光の柱が、キラキラと横たわる彼等に降り注いでいた。
今までの魔法と同じ様に吸い込まれて消えていく。
「「「…………」」」
静まり返った部屋の中で、右腕を失っていた男性が頭に手を当て起き上がった。
「…………あれ、俺、生きてる?」
泣いていた女性が抱きついた。
「ジル!ジル!ジル!良かった!良かったよ~!」
「ああ、ノリス無事だったんだな。良かっ……え、腕がある!?」
他の2人も目を覚ますと、無くなった筈の手足がある事に驚き 駆け付けた仲間と喜び合った。
私はゆっくりと立ち上がると、ヴァンの方を振り返った。
ヴァンが近付いてくる。
「ちゃんと治せたみたい。」
「ああ、その様だな。良くやった。」
フフッと微笑むと巫女装束が消え、全身を脱力感が襲う。
「……やっぱりね~。」
魔力枯渇だ。
何度目~?
フラフラと揺れる私をヴァンが抱き抱えた。
……お姫様抱っこ。
抵抗する気力も無い。
其のまま私は意識を失った。
お腹が温かくて目を覚ました。
視線をやると、ティオと猫バルトが丸くなって眠っていた。
少し重い……。
「起きたか?」
直ぐ横から声がした。
ベッドの横に置かれた椅子にヴァンが足を組んで座っている。
「……此処は?」
「ギルドマスターの仮眠室だ。気分はどうだ?」
「ん……問題無さそう。」
私はゆっくりと身体を起こした。
ティオと猫バルトが気付く。
「ご主人~」
「主!」
「ティオとバルトはどうして此処に?」
「私と主は契約で繋がっておりますヨ!主の不調は分かりますですヨ!ニャ~!」
「そっか、それで来てくれたのね。有り難う!」
両手で2匹の頭を撫で撫でする。
柔らかくて、温かくて、可愛くて癒される!!
「体調が良いなら朝食は食べれそうか?持ってくるぞ?」
「……朝食?ああ、もう朝なのね。ヴァン達は食べたの?」
「いや、まだだが……」
コンコン、とドアがノックされる。
「……入るぞ~。」
声と同時にドアが開けられ、昨日の竜人と竜の目をした男性が料理の乗ったお盆を持って入ってきた。
「ああ、起きられましたか。良かった。朝食をお持ちしましたので、皆で頂きましょう?」
「悪いな、食べながら話をしようと思ってな?俺達の分も持ってきた。」
テーブルの上に次々に料理が並べられていく。
取り皿やスープを見ると、5人分。
ティオは要らないし、バルトの分?ヴァンが教えたのだろうか?
「……俺じゃなく、自分で言ってたぞ。「猫まんまはゴメンです。人と同じ食事を所望する」とな?」
あはは、バルトらしい?
「夕飯結局食べてないし、私が倒れた後の事とか聞きたいしね、食べようか?」
言いながらベッドから降りると、ティオを抱っこした。
バルトも人型に戻り、全員でテーブルに付いた。




