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平和な世界に勇者召喚  作者: 和威
85/107

目立ちたくない!

遅くなり申した!

スンマセンm(。≧Д≦。)m

目立ちたくないので、魔王城の中庭に転移した。

初日に泊まったけど、夕方だったから城の中って殆んど見ていない。

勿論、この中庭も初めて見る。

キョロキョロと辺りを見渡していると、ヴァンが話し掛けてきた。

「興味が有るなら少し散策でもするか?ギルドなら、1日中開いてるから何時でも大丈夫だしな。」

「ん~、いいよ。早く用事は済ませときたいからギルドに行こう。」

出口は何処かな、とキョロキョロするとキースメリアさんが提案を口にした。

「バルト殿は外が久し振りなのでしょう?少し自由行動にしたらいかがですか。」

「は?あ、あああ、そうですね!ちょっと自由に空でも飛び回りたいですヨ!たぶん、いや、絶対!先輩も一緒に空の散歩に行きましょうですヨ!ニャ!」

バルト猫がキースメリアさんから、視線を反らしながらティオに言った。

「ニャ~?うちは飛べニャいニャ?」

「私がもう少し大きくなりますから!背に乗って下さいヨ!ニャ!」

「ニャ~?分かったニャ~。」

宣言通り、倍の大きさになったバルト猫の上にティオが乗る。

「では、行ってきますですヨ。主……ニャ~。」

「……うん、気を付けて行ってらっしゃい。」

「……主も……いえ何でもないですヨ。ではではニャ!」

そう言うと、ティオを乗せて駆け出した。

まるで空中に階段でも在るかの様に空へ昇っていった。

ミシェルが私に近付こうとして、キースメリアさんに抱き止められた。

「ミシェルは私とお留守番です。」

「何故ですの!私にはお嬢様の護衛が!」

反論するミシェルに悲しそうな顔でキースメリアさんが答える。

「ミシェルも明日帰るのでしょう?巫女様と共に……。」

「……それは……。」

ミシェルが項垂れる。

「…………仕方無いね、まぁ、ギルドに顔を出すだけだし……ヴァンは仕事?」

ヴァンが口を開くより先にキースメリアさんが言った。

「仕事は明日からで問題ありません。なのでヴァン様は巫女様の護衛をお願いします!ついでに、夕食も外で済ませて来て下さい。」

「「…………。」」

あからさまだよね!

はぁ~、と溜め息をついてヴァンが手を差し出してきた。

「……行くか。」

「分かったよ。じゃあキースメリアさん、ミシェルを宜しく。」

「はい。巫女様もヴァン様を宜しくお願いします。」

ジト目でキースメリアさんを見てから、ヴァンの手を取った。





「出店通り」をヴァンと手を繋いで歩く。

ヴァンは堂々と歩いているけれど、すれ違う女性が振り返ったり、立ち止まったり……。

耳付きマントを深く被ってみるけど、視線が刺さる~。

ヴァンは見られる事に慣れてそうだけどね、私は慣れてない。

結局、目立ってるんじゃないの?

ギルドの前に転移した方がマシだったかも……。

「……悪かったな、」

急にヴァンが謝ってきた。

「何が?」

「キースの強引さ?あからさま過ぎたからな。少なくとも、ティオは一緒が良かったんじゃないのか?」

「……言われてみれば、ティオとこんなに離れるの初めてかも……バルトが付いてるから心配はしてないけどね。」

「俺と2人になるのは嫌じゃないのかって事だ。」

「……嫌そうに見えてる?」

「マントを深く被って、俯いてれば、な。距離も取りたそうに見える。」

…………。

「ヴァンが嫌なんじゃなくて、目立つのが嫌なの。ヴァンは……女性の目を惹き付けるから、さっきから視線が痛いよ。」

辺りを見渡しながら言う。

数人の女性がこそこそと囁き合ってたり、中には睨んでる人もいた。

もしかして、ヴァンが魔王だとバレてるんじゃないの?

「俺にはチナツの方がこそこそし過ぎだと思うがな?逆に、堂々としていた方がそう言うものだと納得するぞ。」

言うや、空いている手でマントのフードが払われてしまう。

其のまま、軽く握った拳でおでこをコツンとやられた。

「った!」

「もっと堂々としてろ。ーー勇者様。」

「うう~、ヴァンに言われると変な感じ!」

「ははっ!魔王と勇者の組み合わせなんだ。目立たない方が無理だ。開き直った方が楽だぞ。」

私はヴァンを恨みがましく見詰めた。

「ちょっと違う格好をしてれば、魔王とは気付かれ難いって言って無かったっけ?」

「其処まで気付いてる奴はいないと思うが……。勇者で巫女なのは変えようの無い事実だって事だ。」

「そうだけど~。」

「……抱えて走っても良いんだぞ?ギルドまで」

「堂々と行きましょう!歩いて行きましょう!ちゃっちゃと行きましょう!!」

お~。と空いてる腕を空へ伸ばして言った。





ギルドへ到着!

長いようで短い距離でした!

ぶっちゃけ5分位……。

ギルド内に入ると、中は冒険者でごった返していた。

騒がしい、と言うより慌ただしい?

ギルド職員がカウンターの向こう側で、忙しく動き回っていた。

「ギルドマスター」「被害者」「オークキング」「回復」「神官」等の単語が聞き取れた。

オークキングにやられた人がいて、回復が必要と言うところかな?

「……なんか、手続きどころじゃ無さそうだね。」

「ああ、ギルドマスターも不在の様だし帰るか?」

「教会のクソッタレがあああ!」

いきなり、後ろのドアが乱暴に開かれた。

声の大きさに、肩が跳ねた。

入って来たのは竜人と呼ばれる種族で、獣人よりもステータスが高く寿命も長めなので、見た目20歳位でも実年齢は分からない。爬虫類独特の瞳と肌の所々に鱗があり、竜の様な太くて鱗に覆われた尻尾が特徴的だった。

竜人がヴァンに気付いた。

「……な、何で陛下が此処にいいい!?」

叫ぶ竜人の額にヴァンがチョップをかます。

「声がでかい!」

もう、手後れですけどね。

ギルド内の視線が全部、ヴァンと私に向けられてしまった。

「陛下?って……魔王様?」

「やだ、本物?凄い格好良いよ~!」

「え、全然魔王っぽく無くない?お忍びって奴?」

ん、完全にバ~レ~て~る~。

他人の振りしたい。他人だけど!

ヴァンが頭をガシガシと掻いた後、竜人の胸ぐらを掴み引き寄せた。

「俺達の用件は後で良い。何があった?教会と揉めたのか?」

「……俺達?」

竜人がヴァンの手を解きながら、ヴァンの後ろにいた私に気付いた。

じ~~~~~~~。

「そ、」

「そ?」

「双黒の天使キタアアアアアアアア!!」

大音量で竜人が叫んだ。

余りの大きさに目と耳を塞ぐ。

再び、ヴァンのチョップが竜人の額を直撃した。

「だから、叫ぶ癖を治せ!」

「陛下は直ぐに手を出す癖を治して下さい!すっげぇ痛いんですからね!」

仲が良さそうですね。

ヴァンと竜人が話している間、ギルド内をぐるっと見回してみた。

「……ねぇヴァン?天使なんて何処にも居ないけど……?」

「「…………。」」

ヴァンが視線を反らしながら言った。

「「双黒の天使を見守る会」、此れがチナツのファンクラブの名前だ。」

竜人が腕を組み、うんうんと頷く。

「つまりは、お嬢ちゃんが双黒の天使。」

「…………はあぁぁぁぁぁぁぁ!?私の何処が!双黒しか合ってないじゃない!」

「まぁまぁ、落ち着いて」

「落ち着けるかああああ!」

「いや、ほんとに落ち着いて。確認したい事が有るんだよ。」

フ~~~!!と竜人を睨む。

竜人は私の両肩に手を置くと、真面目な顔で聞いてきた。

「お嬢ちゃんが双黒の天使なら、回復魔法が使えると思うんだけど どれくらい使える?」

「…………死ぬ寸前の人を助けた事は有りますよ?」

両肩に置かれた手に力が入る。

「お願いだ。地下の奴等を助けてくれ!!」

言うなり、竜人は私の両肩から手を離し土下座した。









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