ひ~
キースメリアさんは、成人して間もないみたいな事を言っていたけど、余裕で大人5人位は背中に乗れそうな大きさをしている。
地龍と言うだけあって、全体的にゴツゴツしている。
顔がトリケラトプスに近い。
頭に平たい角?角で良いのか分からないけど……がある奴だ。
恐竜と違うのは、全体に鱗がある所?……硬そうです。
尻尾が太くて長い。
その尻尾の先が棘付きの球体になっていて、極悪だよ。
「地龍だと、やっぱり防御と体力に定評有り?」
「ですね。龍種全体が高いですから其処まで気にしなくて良いですヨ。若いみたいですし。」
『1番若いのは其処の小娘だろうが!人族の分際で龍である我に挑むとは、愚かよ!』
地龍って短気?
火龍の方が攻撃的で短気なイメージだったのに……。
もうちょっと、こぅ、おっとりしてて良いのに。
「人族でも上位の者なら倒せるでしょ?まぁ、基本的に群れて戦うけど。あ、一応私、勇者です。宜しくお願いしま~す。」
「主~。やる気出して下さいヨ。軽いですヨ。従者の悪魔です。宜しくしなくて良いですヨ?」
「ニャ?ティオニャ~。おっきい魔石、欲しいニャ~!」
地龍が尻尾を床に叩き付けた。
足下に震動が伝わってきた。
床が陥没……してないね。
何、この床 頑丈過ぎるんじゃない?
床抜けても困るから助かるけど。
『我を、嘗めるなーーー!!』
地龍が吼えると同時にバルトが左に、私とティオが右に飛び退く。
私達が居た場所に大きな棘が床から突きだした。
地龍が私を見る。
私とティオが更に左右に飛び退く。
同じ棘が突きだしてくる。
私に向かって次々に……て、私狙いかい!!
棘は時間で消滅するみたいだ。
ピョンピョン跳ねながら、棘を交わしていく。
「ティオ、バルト、補助魔法いる~?」
「痛いのは嫌ですヨ?」
「ニャ~!」
「……バルトはMだと思ってたよ!ゴメン!」
「相手は選びますヨ!」
……Mは否定しないのね。
う~ん、攻撃力、防御力、スピード、魔法攻撃力、魔法防御力……面倒くさ!
「なんか、「いろいろステータスアップ!」」
2本のオレンジ色の光の輪が、2人と1匹の身体の周りをクルクル回る。
「……適当ですヨ!」
「後は~「リジェネ!」」
1本の青い光の輪が追加される。
「終わり~!ティオ、バルト、Go!!」
私の掛け声に、ティオは元気良く、バルトは溜め息で答える。
地龍の左からティオが体当たりを、右からバルトが拳をぶつけた。
「ぐるぉぉぉ!」
地龍が吼えるが、其れだけだった。
「ふん、硬いですヨ。」
「こっちが痛いニャ~!」
地龍が身体を振り回す。
バルトは地龍の尻尾を飛んで回避し、ティオは向かってくる地龍の頭を蹴って距離を取った。
空中にいるバルトに地龍の追撃が襲う。
尻尾を床に叩き付け、反動でバルトの方へ跳ね上げた。
バルトの張ったシールドと地龍の尻尾がぶつかり合う。
「……馬鹿力め!」
尻尾はシールドに弾かれ、シールドはパリンッと割れた。
尻尾の先の棘が撃ち出される。
其れをバルトは、伸ばした爪で弾き返していく。
ティオが尻尾に襲いかかった。
尻尾に乗り、爪を立て噛み付く。
「んニャ~!硬いニャ~!」
シャーーー!!
と鳴いて、猛然と爪を立て始めた。
キラキラと地龍の鱗が舞う。
…………猫の必殺技?爪研ぎが炸裂した!
鱗の剥げた部分にティオが牙を突き立てる。
「ぐるるぉぉ!」
流石に効いたのか、地龍がティオを振り落とそうと暴れまわる。
地龍の攻撃が止んだ隙に、バルトは尻尾の届かない場所まで飛んだ。
地龍の真上に陣取る。
「先輩、ちょっとだけ抑えといて下さいヨ?」
「分かったニャ~!」
ティオが尻尾を離し飛び退くと同時に、地龍の影が数本の手を型どって延び上がった。
「ぐるぁぁぁ!?」
影の手が地龍を包み込み、床に押さえ付けた。
頭上からバルトの声が響く。
「我は望む。眼前の敵の断末魔。血の飛沫。屠れ。屠れ。屠れ。然れば我が望み叶わん。屠れ。屠れ。屠れ。汝の鋭き牙を持って…………」
ん、なんか厨二病的な呪文を唱えている。
「屠れ」多いな。
バルトの下では、地龍が影から解放されようと滅茶苦茶に暴れている。
その震動が離れている私の所まで伝わってきた。
ティオが床に爪を立て、影が外れない様に耐えている。
が、バルトの呪文が完成する前にティオが力尽きそうだ。
しゃあない。
私も参加しよう。
(お前の試験だろう、と言う突っ込みは無しで!)
「ニャ~、も、無理ニャ~。」
ティオが元の大きさに戻り、影の手が消える。
「まだ、動いちゃ駄目だよ!「プレッシャー!」」
地龍に向けた手を一気に振り下ろす。
空気の圧力が地龍を押さえ付けた。
『ぐっ!があぁぁぁぁ!動、けんだとぉ!?』
地龍の重さと空気の圧力に、床がミシミシと音を立てる。
……やり過ぎ、てないよね?
「ティオ、戻っておいで。」
「ニャ~」
空中に小さい魔方陣が現れ、ティオが落ちてきた。
私の腕の中に納まるとゴロゴロと喉を鳴らす。
憂い奴、憂い奴。
ティオがあ~んして、空になった魔力球を出してきたので補給してあげる。
「姿現し喰い殺せ。魔喰牙獣!…………ボソッ(魔獣の名前)」
バルトの呪文が完成し発動する。
地龍の目の前に大きな扉が現れる。
ギギギィギィ~
不気味な音を立てながら、扉がゆっくりと開く。
地龍より少し小さい獣の前肢が扉から伸ばされ、地龍の身体を掴み引き摺り込んでいく。
『ぐっ!何だ此れは!?離せ!離さぬかーーー!!』
地龍が抵抗し、魔法を放ったり暴れたりしているが確実に扉の中へ引き込まれていく。
地龍の身体が全て入った瞬間、扉が勢い良く閉まった。
側に転移してきたヴァンが、私の両耳を塞ぐ。
うん、塞がれても聞こえる。
部屋中に地龍の断末魔と咀嚼音が響き渡る。
バルトが扉の前に着地する。
「はぁ~、喚ぶのはとても疲れますヨ。」
バタンッと扉が開き、地龍の魔石がポイ捨てされる。
流石、地龍。
魔石はちょっと小さいけど赤色をしている。
「ん、ご苦労さん。」
魔石を拾おうと前屈みになったバルトが魔獣の前肢に拘束された。
「へッ?えええええええ!?」
バルトを掴んだまま扉が無情にも閉まった。
「?……大丈夫なの?」
「大丈夫だろう?飼い主なら」
「ニャ~む~、ニャ~む~。ニャ~!」
扉からバルトの悲鳴が聞こえる。
「い~や~!噛むな!噛~む~な~!……へ、甘噛み?いやいやいやいや!刺さってるから!おもっきし腹に!刺さって……あれ、直ぐに治っ『ガブリッ』だ~~~~~!!あ、主~~!!」
ん、「リジェネ」掛かったままだ。
私は自分で自分の耳を塞ぐ事にした。
バルト 頑張!!
■扉の中
「凄い久し振りに喚んだとは言え、此れはあんまりですヨ!」
「がうぅ、がう!」
「は?名前はちゃんと呼べ?呼んでいたでしょう!」
「がああうぅぅ!がうがう!」
「え~~、小さい?もっと大きな声で呼べって?いや、でもですね、」
「ガブリッ!」
「!?痛い!痛い!ご免なさい!ちゃんと呼びますから、止めてひ~ちゃん!!」




