い~~~~や~~~~~!!
遅くなり申した!
遅くなり候!
遅くなっちまった悲しみに~
…………すいません。
ティオがやる気満々で階段を上って行く。
急いで私とバルトで追いかける。
「先~輩~!そんなに急がなくても良いですヨ~?」
「ニャ~!」
ティオがその場で止まって、私達を待つ。
再び尻尾で階段が削れていく。
しっぽこわい、しっぽこわい、しっぽこわい~!
攻撃力いくつですか!
私とバルトが追い付いた時、上からカサカサ!と言う音が聞こえた。
「ニャ!魔物が来たのニャ~!」
「うげっ!?やだ!キモい!」
「あ~、あれはスカル・スパイダーですヨ!背中に髑髏の様な模様と脚にも白い線が2本ずつ有るのですヨ。」
バルトの説明に追加するなら、髑髏と白線以外は真っ黒で、複数ある金の目が浮かび上がって見える。
其れが、20体近く。
…………マジでキモいです。
「援護射撃を希望します!近付きたくない!」
「ニャ~!戦うのニャ~!」
「私と先輩で突っ込みますヨ!主は天井の蜘蛛をお願いしますヨ!」
ティオが体勢を低くした瞬間、その場から消える。
最後尾にいた蜘蛛に襲い掛かる。
ティオの太く大きくなった前足で蜘蛛の頭が押し潰された。
多分、自分の影から蜘蛛の影に移動したのだろうと思う。
バルトが闇に特化していると言ってたからね。
ティオが後方から、バルトが前方から蜘蛛を屠っていく。
私も「ファイアアロー」を、蜘蛛の糸を避けながら放っていく。
次々に、燃えながら蜘蛛が落ち魔石に変わる。
そして、全ての蜘蛛が魔石に変わった。
途中で私は見てしまった。
ティオの尻尾が蜘蛛の頭を殴った瞬間、蜘蛛の頭が吹っ飛び空中で四散したのを…………!
……しっぽ怖過ぎるやろ!
その次に出てきたのが、スカル・マンティス。
「……骨もしくは骨の模様が入ってる奴には、もれなくスカル・~が名前に付くわけ?」
「え~、そうですね。だいたい付いてますヨ。あれは、白骨や死体の中に紛れて通りかかった獲物を襲いますですヨ。」
擬態って奴ですね。
……スカル・マンティスは、頭や足が白骨にしか見えない。胴体は白い。両手の鎌は文字通りの鎌になっていて、切れ味抜群って感じ。気を付けるのは、あの鎌だけだろう。鎌だけで、私の背丈位は有りそうだけどね。
そう言えば、蟷螂のオスって交尾でメスに食べられるって聞くけど、魔物にもオス、メスって有るのかな?
オスもメスに食べられない様に慎重に行くらしいけど……って、どうでも良いか?
蟷螂さんは、ティオの尻尾で骨の部分が木っ端微塵でした。
南~無~。
蟷螂を倒した所で、昼食タイム。
ティオは魔力球を出して、元の大きさに戻ってじゃれついている。
魔力が半分位減ってそうなので、後で追加しておこう。
「後、どれくらいだろうね?てっぺんまで」
直接、階段に座り込んで食べている為 ちゃぶ台は出していない。
出店で買っておいた串焼きのお肉を食べながら、バルトに聞いてみた。
「そうですね~。私が居た場所が中間地点ですから、残り4分の1って位ですヨ。」
「今日中にボス部屋の前まで行きたいね。で、1泊して挑む。」
「はい。其れがベストですヨ。この調子なら問題無く。」
緑茶ではなく、今日は烏龍茶です。
脂っこいからね~お肉。
デザートには餡まん、勿論つぶ餡です!
もぐもぐ、ん~至福!
「このあんこ?ですか、美味しいですね。」
「バルトは甘いの大丈夫なんだね。あんこの良さを分かってくれて嬉しいよ!」
ヴァンが入ってくる。
「そんな甘いのを、良く食えるな?」
「好き嫌いは良くないですヨ?私は何でも頂けますヨ。」
「好きな物を一緒に食べれるのは嬉しい事だよ?分かち合ってる感じで。」
ヴァンがムッとすると、餡まんを持つ私の手を掴み、餡まんに噛じりついた。
眉間に皺を寄せて咀嚼する。
「…………無理だ。」
烏龍茶をイッキ飲みにする。
「あ~、口の中が甘い。」
仕方無いので、ヴァンが好みそうな缶のブラックコーヒーを出してみた。
お酒が出るんだからと思って試したら出ちゃったよ。
プルタブの開け方を教えて渡す。
「はい、甘くない飲み物。私の世界のコーヒー、砂糖無し!」
「……冷たいな?」
「そりゃアイスコーヒーだもの。」
恐る恐る缶コーヒーに口を付けた。
「……飲みやすい。」
もっとくれ、と言われたのでいくつか渡す。砂糖入りは却下されましたよ!
ヴァンがキースメリアさんの方へ行ったのを確認してから、持っていた餡まんをバルトに押し付けた。
「…………お腹一杯なんですヨ?」
「……お願いします。」
「此れは此れで、意識し過ぎの様な気がしますヨ?」
バルトから顔を背けて呟いた。
「……間接キスとか、気づいてからだと、もう、無理!食べれない!ヴァンじゃなくても無理!……無理、無理、無理」
「じゃ、食べますヨ。純情ですね~。我が主は。」
仕方無いと笑ってバルトが食べてくれた。
「……魔王が食べた所以外は、主が食べた所。と言う事は私と主も間接キスですヨ?」
「…………わざわざ、言うな!!」
食べて貰ったので、殴るのは勘弁しといてやるけど、ね!!
昼食も終わり、階段を上り始める。
何故かヴァンが側についてきた。
「…………どうしたの?」
「チナツのメイドとキースがいちゃつくんだよ。目の前でやられたら苛つくだろ?なら、俺も好きな女の側に居ようと思ってな。」
「…………ソウデスカ。」
「戦闘の邪魔はしないから安心しろよ。」
「ソコハ、キニシテナイデス。」
「……何だ?その変な喋り方は?」
「何だは、こっちのセリフ。何でそんなにグイグイ来るのかなぁって、積極的過ぎるでしょ?私には出来ない事だから、ちょっと引くって言うか……。」
「……引くって、おま!まぁ、良いさ。理由は此処に来る前に言った通りだ。半年で落とすって言っただろうが、後、1秒でも長く一緒に居る為ともな、」
一端言葉を斬り、ニヤッと笑ってから続けた。
「もっと力ずくでも、構わないんだ。満足させる自信も有る。意識させるには手っ取り早い。だが、世界樹がいつ枯れるか はっきりと分からんのだ。奪って直ぐに枯れられると困る。嫌われて、終わりたい訳じゃ無いからな。」
ヴァンは私の頭を撫でてから、ふっと笑った。
撫でていた手がそのまま頬へ移動する。
「愛してる。」
「!?」
ボンッ!!
と言う音が聞こえそうな程、一瞬で顔が真っ赤に染まった。
見られたくなくて、両手で思いきりヴァンを突き飛ばすと階段を駆け上がった。
「い~~~~や~~~~~!」
前を行っていたティオとバルトを追い抜く。
「ニャ!?」
「あ、主!?」
後方から、ヴァンの笑い声が聞こえた。




