初ダンジョン!
ダンジョンの扉は、ドアがついていなかった。
アーチ状で、白い靄が掛かっていた。
「……入ったら、いきなり落とし穴、とかは無いよね?」
不安になって聞いてみる。
「このダンジョンでは、聞いた事無いですわ。奥に行く程に罠が増えていきますから、此処で罠は無いでしょう。」
…………確かに!
ティオをミシェルに預け、扉をくぐった。
「魔の回廊」と言うだけあって、空気が重いかな?
鈍よりとした、今にも雨が降りそうな曇り空な空気?
地味に湿ってる様な、そんな感じ。
体育館程の広さの円形のフロアに、扉が1、2、3……入ってきた入り口入れて8個。
「……全部のフロアに8個あるの?扉が?」
キースメリアさんが答えてくれた。
「有りますね。何フロアあったかは覚えておりませんが、正解は1個です。其れ以外は、行き止まりだったり 罠が有ったりですね。1階に戻される事も、なのでクリア出来ずに諦める冒険者の方も多く居ます。」
…………面倒臭い!
「で、その棒切れで何をするつもりだ?」
ヴァンが聞いてきた。
私は、意味無く持っている棒を振りながら、フロアの中心に向かった。
「此処らへんかなぁ?」
中心だと思われる場所に、ちょこんと座ると……。
棒を垂直に立て、そっと離した。
パタン!
なんと言う事でしょう!
棒は入ってきた入り口の方に倒れましたよ!
入り口の方を振り返る。
ぐはっ!
3人が可哀想な物でも見る目で見てきた!
…………チナツは30のダメージを負った!
「…………」
私は棒を拾うと、入り口に向かって歩いた。
……大丈夫!ゲームでは、稀にある!
入ってきた入り口が出口!(リアル出口だけどもさ!)
「……お嬢様、流石にそちらは違うのでは?」
ミシェルが申し訳なさそうに言う。
ぐはっ!
私だって、此れは無いと思ってる!思ってるけど!
「……信じる者は救われる!決めたの!この棒を信じて進むの!(……駄目でも、外に出るだけだし)」
ティオがミシェルから飛び降りてやって来る。
「うちは、ご主人についてくニャ~。何処までも一緒ニャ!」
抱き上げてスリスリする。
「憂い奴、憂い奴!……3人は其処にずっといれば良いのよ。」
「駄目だ。行くなら全員揃って行く。」
「そうです。此処の扉はランダムですから、別々だと行き先が変わってしまいます。……行きましょう、ミシェル。」
「はい。お嬢様が行く所なら何処までもついて行きますわ!」
結局、全員で入ってきた入り口をくぐった。
「「「…………」」」
「やったね!この棒、最高!素敵!」
出た先は塔の外では無かった。
左手に上に上る階段が有った。
4人が余裕で通れる幅がある位に広い。
「いえ、まだ上って見ない事には分かりませんよ?上った先が行き止まりや罠の可能性も有りますから。」
「入った時点で、入り口もダンジョンの一部と言う事か……報告には無かった筈だな。一応、追加しとこう。」
「……お嬢様、此処からは魔物が出てきます。昇級試験ですので私達は戦えません。お嬢様御1人で戦って頂く事になります。……お嬢様のお力なら、楽勝でしょうがお気を付けて」
「うん、頑張るよ!」
「魔の回廊」と言う位だから闇属性の魔物が多いのかな?
取り敢えず、鉄扇を出しておく。
「ティオは下がっててね。」
「了解ニャ~。」
「よ~し、サクサクッ!と上ろう!」
私は小走りで階段を上り始めた。
上から、魔物の呻き声っぽいのが聞こえてくる。
私は魔物を見て、Uターンを決めた。
ミシェルに抱き付く。
「お、お嬢様、どうしましたの?」
「うげっ、気持ち悪い!臭い!汚い!」
ヴァンが階段の方を見て、呟いた。
「あ~、ゾンビか……。」
そう、
階段をゆっくりと下りてきた魔物は、ゾンビだった。
映画やゲームで見てた時は全然平気だったけど、実物は駄目だ!
兎に角、臭い!
余りの臭さに涙が滲む。
「……でも、お嬢様?確実に近付いて来てますが?」
「嫌ああああ!臭い!臭い!臭い!」
ゾンビには…………火、は なんか燃えながら歩いてるの有った。それは、やだ!
光魔法、回復魔法……回復魔法でいけるかな?
取り敢えず、先頭を歩くゾンビに「ヒール」を掛けてみた。
「あ、あぁぁぁぁ……」
膝から崩れ落ちて、消えてしまった。
「うぅぅぅ、良かった、「ヒール」が効いた。」
見たくない。見たくないけど、
「……マジックシールド」
魔法の壁で10数体のゾンビを囲む。
其処に「ヒール」を掛けた。
纏めてゾンビが消える。
其れを3回程、繰り返した。
どんだけ居るんだよ!
「……終わった?もぅ、居ない?」
ミシェルから離れ、階段の上の方を見て何も居ない事を確認すると、大きく息を吐き出した。
ティオがゾンビの魔石を回収する。
「鼻が曲がるかと思ったニャ!臭いのは勘弁ニャ!」
「だよね!見える範囲には、もぅ、居ないみたい。」
「……ゾンビに「ヒール」か、新しいな。首を飛ばすか燃やすかのどちらかだったからな、一応、此れも報告するか。」
「死体の魔物全般に効くのでしょうか?スケルトンやレイス等もおりますが、」
「ふん、要確認だな。ちっ!仕事が増えたな。どうせなら、此処で粗方出てくれれば良いんだが……」
いやいや、出なくて良いですよ!
変なフラグ立てないで!
「……お嬢様、見事な魔法でしたよ。と言うか、お嬢様だから「ヒール」1回で倒せたのでは?以前、死にそうだった人を「ヒール」で治されましたよね?」
「あ~、ウィルの事?うん、「ヒール」で治したよ。何回か掛けたけど。」
「…………其処らの奴では無理だな。報告も無駄かもな。」
「そうですね。」
「……報告は好きにして!進むよ?」
「置いてくニャ~」
私は、戻ってしまった階段を再び上り始めた。
暫く何も出てこなかった。
纏めて倒したからね!
なんて思っていたらガチャガチャと音が聞こえてきた。
はい!スケルトンです。
「じゃあ、さっきの様に倒して見た方が良い?」
ヴァンに聞いてみる。
「そうだな、頼む。」
「マジックシールド!」「ヒール!」
囲んで、回復する。
ガチャガチャと音を立てて、崩れて消えていった。
「効くみたいですわね。」
「ああ、」
他のスケルトンも倒してしまう。
「よし、進もう!」
「ニャニャニャ~!」
また、階段を上り始める。
魔物がでる。
倒す。
階段を上る。
魔物がでる。
倒す。
階段を上る。
「…………何時まで、上るのよ此れ!!フロアが全然無いんだけど!?」
「確かにおかしいですね。」
「永遠に続く新手の罠か?」
ヴァンが不吉な事を言う。
「…………フロアが無いまま、ボス部屋直行……とか?」
「まぁ、有るのか?」
「私に聞かれても困ります。聞いた事が無いですから、何とも言えませんよ。此のまま進み続けるのか、戻るのかは巫女様が決めなければなりません。」
ぐぬぬ!
どうしよう?
フロアに出ないと、出口に繋がる魔方陣に乗れない。
階段の途中でも、転移は出来るけど同じ場所に転移で戻れるのかは、賭けになりそう。
…………本当に、困った。




