王様集合~
(*゜▽゜)_□カクザトウ!
(*゜▽゜)_□キリモチ!
(*゜▽゜)_□-□メガネ!
私とミシェルの2人がかりの攻撃で、やっとヴァンにダメージを負わせる事が出来た。
ヴァンは、防ぐだけで攻撃はしてこなかった。
お陰で無傷だったけど、先にバテたのも私とミシェルだったし、ヴァンもダメージを負っても直ぐに治ってしまっていたから、怒りは呆れに、呆れは諦めに変わっていった。
勝てる気が全くしない。
どれだけ強いのよ……。
私はティオと共に、ヴァンに連れられて転移した。
転移した先は…………ヴァンの執務室?
アルの執務室と殆ど造りが変わらない。
やっぱりと言うか、黒で統一されている。
絨毯やカーテンは赤だし、花瓶の薔薇も赤。
魔王ぽさに拘り過ぎじゃない?
せめて、赤薔薇にカスミソウでも挿したいところだ。
と、思った瞬間 空中からカスミソウもどきが束で私の腕の中に落ちてきて、慌ててキャッチした。
「え~!ちょっと思っただけなのに~」
そんな私を見て、ヴァンが苦笑して言った。
「さっき、布を出す時に無理矢理門を開いたからだろう。開きやすくなってるんだ。気を付けないと、物で溢れ返るぞ?」
「うへ~」
其れは困る。
仕方無いので、出てきてしまったカスミソウもどき……1つ1つの花が一回り位大きい、を見た目を考えながら薔薇の間に挿していった。
「……風雪花だな。雪山とかで1年中咲いてる花だ。」
一旦言葉を切りニヤリと笑う。
「花言葉は「永遠の愛」」
「…………私の国だと「清らかな心!幸福!」です。」
「ちっ」
西洋とかなら、たぶん ヴァンの言った「永遠の愛」や「純潔」何だけど言わない。
日本人だもの!
因みに、気を失なったミシェルはキースメリアさんがお持ち帰り。
ヴァンは不満そうな顔で私を見た後、右手を軽く振った。
部屋中の影が集まり、7つの長方形を形作る。
次いで指を鳴らすと、長方形の中心がガラスの様に光るとほぼ、等身大の姿見になった。
「繋げ」
影から作られた姿見に、次々に人が映り出す。
「世界会議」に居た各国の王達だ。
アルヒレスタもアルが映っている。
私を見てアルが微笑んだので、私も軽く手を振った。
マルジェシタ王が、私の腕の中の花に気付く。
「あらん、風雪花じゃなぁい?魔王からの贈り物?」
私のこめかみがピクリと動く。
「……違います。後、私の世界での花言葉は「清らかな心」です。」
落ちてくる花瓶をキャッチし、水を出すと、持っていた花を全て生け 中央のテーブルに置いた。
アルが言う。
「チナツにぴったりの花だね。良く似合うよ。」
「はは、ありがとう アル。」
エーテリア王が口を開く。
「……で、今日の呼び出しは魔王からですよね?早速、何か有りましたか?」
「…………」
「…………チナツ。」
はぁ、私から言うのが礼儀か……。
私はヴァンの隣に立つと頭を下げた。
「申し訳ありません。あの場で、伝え忘れた事が有ります。」
「……最重要事項だ。」
ヴァンが口を挟む。
私はヴァンを睨み付けたが、ふっ、と鼻で笑われた。
ランドルク王が眼鏡を弄りながら、苦笑する。
「あの時を思えば、誰もチナツを責めませんよ。安心して話して下さい。」
「そうダナ。責めたりはしないんダナ。悪いのは寧ろ魔王なんダナ。」
オブゼスタ王が困った様にヴァンを見た。
また、ふっと鼻で笑うと
「今思えば、一目惚れと言う奴だろう?強いて言うなら、俺の心を奪ったチナツが悪い。」
「な!」
こんな所で何を言い出すのか!
「こう言う場で、言う事ではないし!からかうのも止めて下さい!話が逸れていきそうだから、戻しますよ!」
「……本気で、言ってるんだがな?」
私はヴァンから視線を外すと、再び頭を下げた。
「すいません。言い忘れたのは、半年から1年半の間に世界樹が枯れると言う事です。」
カルーナ、マルジェシタ、獣王、アルが驚く中、エーテリア王が静かに話す。
「……そんな気はしてました。余り、時間は無いだろうと」
ランドルク王が続ける。
「以前、魔神が現れてから勇者が召喚され、封印するまでの期間は約1年程です。其れを思えば、チナツが召喚されてから1年前後だろうとは考えられますよ。……半年は早いですが、」
オブゼスタ王もコクコクと頷いている。
獣王が叫んだ。
「何でぇ、気付いてたんなら教えてくれても良かったのによ!」
「……気付いたのは、国に帰ってからですよ?今日の呼び出しがなければ、私かエーテリア王が話してましたよ?」
エーテリア王も頷く。
「だから、チナツはそんなに気にする必要はない。お陰で、確信を持って動ける。何時になるのか分からないと動かん輩も居るからな。」
マルジェシタ王が加わる。
「小さな集落等の移動が、此れで完了させられそうで何よりだわ。後は、街の結界の強化に~ギルドにも、もう1度話通しとかなきゃね~。」
「がっはっは!訓練にも力が入るってもんだぜ!あ、似非乳ババア。結界の強化に魔法使い何人か寄越せや!」
「はああ~ん?其れが、人に物を頼む態度か?糞猫!!」
「獣人は正直が売りなんでな~!つい、思った事が口からでちまうぜ!本当の事だから、尚更な!」
やれやれ、と言った感じで全員が2人を眺めた。
獣王の態度にハラハラしていると、ヴァンが手をヒラヒラと振って見せた。
「気にするな。ああ見えて仲は良い。国は隣合ってるし、マルジェシタは魔法使いが多い後衛職な国、獣王の所は近接戦闘が多い前衛職な国って事で、良く組んで事に当たっている。……じゃれてるだけさ。」
「「じゃれてない!!」」
「は~、息ぴったりですね。安心しました。」
マルジェシタ王が罰が悪そうに顔を背けた。
「……近い内に送るわよ!」
獣王は頭をガリガリ掻いて
「……まぁ、頼むわ。」
と言って顔を背けた。
王同士で、幾つか話しそろそろ御開きと言う頃、ヴァンが口を開いた。
瞳を付せ、私の方を見ないまま
「……チナツは、役目を終えたら…………帰るのか?」
ドキッ!
「…………何で、帰れる事知ってるの?」
アルの視線が刺さる。
「帰、れるのか?チナツ……。」
「親父、先代魔王が言っていた。邪神を倒した後、迷わず帰ったと、な」
私は、アルとヴァンの顔を交互に見てから、顔を背けた。
「帰れるみたいよ?世界樹の精霊から直接言われたもの。「何時でもどうぞ~」って、結構 軽く言われて拍子抜け?みたいな、」
ティオを抱え上げ、「あはは」と笑って言った。
静まり返ってしまった空気が痛い。
アルが俯き何か考えているみたいだった。
「帰れると聞かされたら、帰りたくなるわよ?当然でしょ?」
……帰りたい。
でも、帰らない。
帰らない方が……良いのだろうと、思った。
精霊の頼みを聞いた後で…………。
其れを、ヴァン達に伝える気も……ないけど、
私は、これ以上アルやヴァンに突っ込んできて貰いたくなくて、
王様達に礼をすると、転移で……逃げた。




