水遊び
あ~カラオケ行きたい。(*´ω`*)
辛さ抑えめにしてもらったカルーナ料理は、辛かった。
軽く舌をだし、手で扇ぐ。
汗が首筋を伝い落ちた。
その汗をヴァンの指が掬う。
「…………そんなに辛かったか?」
「自分でも、此処まで駄目だった事に驚いてますよ?何で、そんなに平気なの?……まさか!胃を強化して!」
ヴァンが呆れた顔をした。
「其処までして食べる意味が分からんな。」
で~す~よ~ね~。
「……今のチナツも、美味しそうなんだがな?首筋、エロい。」
ひっ!
「美味しくない!美味しくないから!」
急いで汗を拭い、「リフレッシュ」を掛けた。
ついでに、シャツの首元のボタンも全部嵌めた。
「クックック!」
ヴァンが可笑しそうに笑う。
くそ~!からかわれた!むかつく、むかつく、むかつく~!
「良い所思い出した。涼しくなれるかも知れん。」
「?」
「宰相が治めている土地だ。転移で跳ぶぞ。」
「えっ!待って、ミシェルを」
「此処におります。チナツお嬢様。」
うお~!ビックリした!真後ろにミシェルが居た!
「あ、うん。居るなら良いの。良かった。」
それから、ヴァンの転移で宰相が治めていると言う場所へ跳んだ。
門は出してない。目立つからね。
ヴァンが跳んだ場所は、滝壺の側だった。
数10メートル上から落ちてくる滝は圧巻だ。
滝壺は、もう湖と呼べる大きさが有り、5メートルくらいの幅の川になり流れていく。
緑が濃い木々が生い茂り、畔には菖蒲に似た花が咲き誇っている。
「うわぁ~。綺麗な場所だね!」
「ああ、宰相は水龍だからな。自然と治める地の水は浄化されるし、少し潔癖な所が有るからか、外観にも拘る。少しでも汚せば容赦ない。」
言いながら、上着を脱ぎ始めた。
「な、何で脱いでるの!?」
「入るからに決まってるだろう?チナツもメイドも入れば良い。暑いだろ?」
「冗談でしょ?さっき、少しでも汚せば容赦無いって」
「浄化される。とも言った筈だ。何度か入ってるから問題ない。あ~、脱がしてほしいのか?」
「其れこそ冗談でしょう?水着もないのに、入らないわよ!足浸けられれば充分!」
「「……水着?」」
ヴァンとミシェルの声が重なる。
「水着とは何だ?」
「……水浴び用の衣服が御座いますの?お嬢様。」
し、失言!?
いや、この世界には無いんだから問題ない。
問題ない筈なのに、ヴァンとミシェルの目が怖い!
「有っても着ないし、ヴァンの前で着るとか無い無い。」
絶対からかわれるもの!
「ほ~、俺の前では着れない様な服か?」
ニヤリと笑う。
「興味深い。」
言うなり、両手で頭を鷲掴みにされ私の額とヴァンの額がぶつかった。
「痛っ!」
ヴァンは、気にした風もなく水着、水着と呟いた。
まさか、まさか、ま~さ~か~!?
額が離れ、ヴァンがニヤリと笑った。
ダラダラと冷や汗が流れる。
「殆ど、下着と変わらんな。」
「き、記憶、見た!?」
「水着に関する事だけだ。」
「プライバシーの侵害!!2度とやらないで!本気で怒るわよ!」
「分かった、分かったから、そう、叩くな。」
私は両拳で殴ってるんだけど、ヴァンにとっては叩かれてる程度らしい。
ほんっとにむかつく!!
「……こんな物か?」
ヴァンが手を上げると、上空に魔方陣が現れ色とりどりの布が落ちてきた。
「な、んで、出せる、のよ~!?しかも、全部ビキニタイプだし~!!他にも有ったでしょ~!!」
目を逸らしてヴァンが答えた。
「いや、他のタイプは見えなかったな~。」
「嘘でしょ~!ちゃっかり、自分用のトランクス出してるじゃない!」
ビキニに混じって、1枚だけ膝丈のトランクスが混じっていた。
ミシェルがビキニを物色している。
「あ~!どれもこれもお嬢様に着て見せて貰いたい~!!」
駄目だ、ミシェルは敵だ!
自分でやるしかない!
魔法はイメージ!!
イメージしろ私!
せ、め、て、パレオカモーン!!
パレオ!パレオ!パレオ!!
祈りが通じたのか、上空から1枚の布が落ちてきた。
パレオだ!
白い布地にハイビスカスの花が散っている。
なら、水着は花柄か白で決定。
私は、白い水着を手にしてミシェルに微笑んで言った。
「……ミシェルも当然、着替えてね!」
「いえ、私は、」
「ね!」
「…………はい。」
ミシェルが簡易的な更衣室もどきを組み立てた中で手早く着替えた。
着る事自体に抵抗は無い。
でも、水着が浸透していないこの世界で 下着の様に見られるのは嫌だと思う。
ヴァンも下着と変わらんて、言ってたからね。
「はぁ~」
猫に戻ってゴロゴロ転がっていたティオに着替えを仕舞って貰った。
「ミシェル~、ちゃんと着れた?」
カーテン越しに聞いてみる。
「……はい。何とか、恥ずかしいですね。本当にこの様な格好で水遊びされてるんですか?」
「そうよ!慣れって怖いわよね!……この世界でも露出凄い人も居るし、」
「まぁ、良いですわ。どうせ、魔王様が見られるのはお嬢様だけでしょうし?」
「…………出にくくなる事言わないでよ~。」
「おい、まだか?」
外からヴァンの声が聞こえた。
「う~、今出るよ!」
カーテンを開けて外に出た。
膝丈のトランクスに着替えたヴァンの前に出る。
目を見張ってから、やはり……ニヤリと笑う。
「水着とは、良いものだな。目の保養。…………だが、何で腰に布を巻く?必要ないだろう!」
「大有りです!」
「お嬢様だけズルいですよ!」
私は、開き直って言った。
「お嬢様だから、良いの!!」
ミシェルの水着は赤です!
ボン、キュッ、ボン、ですね!
私が、ミシェルを眺めていたい位ですよ!
ヴァンがぶつぶつと何か呟いているけど気にしない!
「……いや、布からたまに出る生足も…………。」
聞こえない!
「ミシェル!早く入ろう!」
「はい。お嬢様!」
「あ、待て待て、これを食ってけ」
ヴァンが私とミシェルに黄色い木の実を投げて寄越した。
「何?」
「クルンの実ですね。30分位なら水中でも息が出来ますわ。」
おお!流石異世界。何て便利!
早速、クルンの実を食べてミシェルと共に潜った。
「は~、冷たくて気持ちいい!」
本当に水中でも息が出来た。
何となく会話も成立した。
凄すぎる。
「ええ、水着って楽ですね。お嬢様。」
「だよね!……て、着替えといてヴァンは入らないの?」
すぐ近くの岩の上に座っているヴァンに話し掛けた。
「入ったぞ?只、俺の方が先に上がってただけで うん、後ろからじっくり眺めてただけだがな。」
何を、とは聞くまい!
「お嬢様、一旦私達も上がって休みましょう。そろそろクルンの実も切れますし」
「ああ、うん。分かった。」
2人で畔に上がりティオにタオルを出して貰っていると、1人の男性が転移してきた。
流れる様な長い長髪は水色。瞳は濃い青。凄く綺麗な20代半ば?な男の人だった。
「探しましたよ!ヴァン様。まさか、私の領地に居るとは思いもしませんでしたよ!」
ヴァンだけを見ていた視線が、私とミシェルの方へ向いた。
いや、ミシェルに注がれた。
ミシェルと男の人が目を見開き硬直している。
「知り合いなの?ミシェル?」
聞いてみるが返事が返ってこない。
珍しい。
困ってヴァンを見ると、頭を抱えていた。
「まさか、嘘だろ~~~!?」
えっ、えっ?何が起きてるの?




