うちは、ティオ!
うちの家のまわりには、野良猫がいっぱい。
餌やってる人が、いるみたいで〜
駐車場にxxxされて 正直迷惑〜(´д`|||)
部屋の中心のテーブルに、私、殿下、ルークさんが席に着くと、セトさんが順に料理を並べていった。
白パンにお野菜がゴロゴロ入ったスープ、チキンステーキにサラダ、テーブルの中央に御代わり用と思われるパンの入った籠が置かれた。
「騎士団のメニューだから、こんな感じなんだけど」
何処か申し訳ないようにルークさんが言った。
「えっ、十分ですよ。凄く美味しそうです。」
実際、野菜がいっぱいで女子的には嬉しい内容だ。
「お飲み物は、ジュースで宜しかったでしょうか?それとも、同じワインになさいますか?」
「ジュ、ジュースでお願いします。」
セトさんが、ワイングラスに (たぶん)オレンジジュースを注いでくれた。
因みに、虎猫は空いてる席のテーブルの上で丸くなっている。
飲食不要なんだとか、まぁ、元がリュックだからね。
「では、私達とチナツの出会いに……乾杯」
殿下とルークさんがワイングラスを軽く掲げる。
私もそれに倣って掲げると、食事が始まった。
ちょっと緊張してしまった。
私が半分程、食べ進めた頃 殿下が口を開いた。
「チナツは、冒険者として街で暮らしたい。私達は、元凶にチナツの存在がバレない。バレても護りやすい環境に居てもらいたい。此処までは良いかな?」
「はい。大丈夫です。」
「それで、このセトなんだが」
呼ばれて セトさんが殿下の隣に立った。
「近々、セトの身内で王都に店を出す家族がいるそうなんだ。チナツさえ良ければ、その家族の養女になってはどうかと言う話しになった。」
「実際、養女に成るかどうかはチナツちゃんしだいだけどね。この話の1番のポイントは、奥さんが南国カルーナの出身で褐色の肌で黒髪なんだ。チナツちゃんの容姿でも違和感がない。俺も、会ったことがあるから保証出来る。流れとしては、こっそり王都の外で合流してもらって、家族として王都入り。これで、家族と言う先入観ができるだろ?しかも、そこの一人息子はうちの団員だ。店に騎士が出入りしてても問題ない。」
はぁ〜、良く出来た話し……此れが異世界ご都合主義というやつ何だろうか?
「あの、セトさんの方はそれで良いんですか?今日、会ったばかりの人間が身内になるなんて?」
「ふふ、願ったりですよ。残念な事に、私は子供に恵まれませんでした。寂しい妻は、私の実家に頻繁に通っている始末。男の子ばかりなので、年頃の孫娘が出来たと知ったらお店に入り浸るかも知れない程ですよ。私も、妻の喜ぶ顔が見れて幸せになれると言うものです。 」
「私なんかで、喜んでもらえるなら会ってみたいです。」
「是非、私の甥の息子夫婦ですが人の良いもの達です。きっとチナツさんにも、気に入ってもらえるでしょう。よろしくお願いいたしますね。」
「此方こそ、よろしくお願いいたします。」
立ち上がり、セトさんと握手を交わす。
「この話しで進めてよさそうだな。」
「ああ、上手くやれそうで何よりなんだけど、チナツちゃん……俺としては この猫が気になって仕方ないんだけど?」
ルークさんが、テーブルの上の虎猫を指差して言った。
「うん、私も気になってはいた。しゃべっていたように思うんだが?」
デスヨネ〜。
しゃべってたのもバッチリ聞かれてたんじゃ誤魔化しようがないよね。
仕方無いよねっと、私は虎猫を抱き上るとリュックに戻るよう頼んだ。
淡い光に包まれ猫からリュックへ、驚く3人の顔を見てから再びリュックから猫へと戻ってもらった。
「召喚された影響なんでしょうけど、私自身、驚いてたんですよ。なんでこうなったかは不明です。」
「此れは……凄いな。召喚魔法にこんな作用があるとは……」
「本物の猫にしか見えませんな。」
「便利だな〜。忘れても自力で戻ってこれるじゃん。」
「ニャ〜。そうニャのニャ。うちは、便利な可愛い猫ニャのニャ!」
元がリュックだからか、「便利」は褒め言葉のようだ。
「だが、人前では喋らない方が良い。普通の猫は喋らないからな。世の中には、珍しいってだけで拐う奴も居るから…」
「ご主人〜。うち、ニャ前就けて欲しいんニャ。」
ルークさんの言葉を遮って虎猫がゴロニャンと甘えてきた。
殿下がルークさんの肩を叩いて慰めてたけど、見なかった事にして名前を決めることにした。
「名前、名前かぁ 可愛いのが良いよね?」
「可愛いは正義なのニャ。強いのニャ!」
「正義……ジャスティス?ジャス……ティス…ティ…ティ…ティオ?うん!ティオって名前はどう?」
「ティオニャ!ティオ、ティオ、良いニャ 気に入ったニャ。うちは今からティオニャ!」