まだまだ、世界会議!
ポルノグラフィティ、聴いてます。
(*´ω`*)♪
「聖職者、ですか」
「はい。教会も別に存在してましたから、同じとは言えないかもですけど、後、聖女と言いましたけど、巫女と言います。」
ヴァンが聞いてきた。
「巫女とは何をする者なんだ?」
「巫女は……イメージだと、神の声を聞いて伝える存在って感じですけど、実際に聞いた人は居ないでしょうし……うちでは、祈りを捧げたり、舞を奉納したり、ですかね?」
「舞を、踊れるのか?チナツは、」
「舞えますよ?去年まで、祭事の時には呼ばれてましたから」
「………………」
「嫌ですよ。」
「ちっ!」
考え込んでいたアルが、顔を上げて聞いてきた。
「さっき、祖母が予知能力者だと言っていたね?もしかして、」
うっ、気付いた!
「…………私が、産まれた時に預言されてました。……その、ご免なさい!黙ってて!」
「いや、それは構わないんだが……そうか、産まれた時には決まっていたのか。」
ルークさんが気付いて叫ぶ。
「じゃあ、勇者召喚が成功するのは決定事項だった?阻止しようとしてた俺の潜入捜査は?」
「……まぁ、失敗するのが前提だった事になるな。でも、チナツを保護する事は出来たし、」
「保護だけなら、潜入要らないですよ~。あ~、俺の数週間」
ガクッと項垂れた。
「あぅ、ご免なさい…」
「あ、いや、チナツちゃんは悪くないから!悪いのは命じたアルだから!」
「…………おい」
「取り敢えず、戦闘職ではないのダナ。魔神の復活の可能性は低いんダナ?」
ドワーフの王様が誰ともなしに聞く。
眼鏡を弄りながら、ランドルクの王様が其れに答えた。
「そうなりますかね~。ですが、祈りを捧げる巫女ときましたか。何処かで祈れば、魔物が減るんですかね?」
「何でぇ、魔神は復活しねぇのか?闘ってみてぇぇぇぇ!」
獣人の王様が吠えた。
「はっ!糞猫なんか、一瞬であの世行きだろう?」
「ああんだってえ!糞ばばあ!死ぬのは手前ぇだ!まぁ、びびって隅っこで魔法撃ってるのが、関の山だろうがな!」
「黙れ!どさくさ紛れに一撃で殺してくれるわ!」
「正面から来れねぇのかよ!びびり似非乳ばばあ!」
マルジェシタの王様と獣人の王様が言い合い始めた。
誰も止めようとしないので、何時もの事何だろうね。
仲が悪いのか、ケンカする程仲が良いのか……?
「…………」
誰かが、囁いた気がした。
「……ティオ?」
「んニャ?」
違うようだ。気のせい?
今度は、エルフの王様が話しだした。
「魔神が原因で無いのなら、何が原因で魔物が強くなっていると思いますか?以前、魔物が強くなったのは魔神が現れた時でしょう?魔神の復活をもくろむ組織、とか聞いた事もありませんしね。」
「……魔物が強くなってるんですか?」
私は、ヴァンに尋ねた。
「ああ、来たばかりのチナツでは戦っても違いは分からんだろうが、少しずつ強くなっている。」
「…………まだ、ゴブリンとしか戦ってないです。」
なんか、言ってて恥ずかしい。
「チナツが魔物と戦った報告はもらってないよ?何処で戦ったんだい?」
アルが真面目な顔で聞いてきた。
ちょっと、睨んでる?
「うっ、……リヴェの村で、魔法の確認がしたくて、」
俯いて、ぼそぼそと答えた。
「ああああ!俺が付いてった時か?何も問題無かったって、言ってた筈……。」
「……うん、問題なく倒せたから……。」
お兄ちゃんが唖然となった。
「トヴィア、チナツから目を離したのか?森の中で?」
「……ゴブリンが10数匹現れまして、チナツに近付けられないと思い……。申し訳ありません!」
お兄ちゃんの言葉に、エルフの王様が眉を寄せる。
「男を引き離す役と拐う役に別れた様にも取れますね?そんな知能は無い筈ですが、其れとも、たまたま はぐれた1匹がいたか?」
「…………て、」
また、囁きが聞こえた。
私は、周りをキョロキョロ見回した。
「どうした?」
「……いえ、気のせい?……何でも無いです。」
「強さと共に知能まで上がると?勘弁して欲しいですね。」
「まぁ、要確認でしょう。今まで以上に警戒する必要が出てきましたね。ギルドにも協力を、場合に因っては依頼のランクも引き上げなければ駄目でしょうし」
「こ……へ…て」
また……聞こえた。
やっぱり気のせいじゃない!
私は、またキョロキョロと見回した。
とてつもなく大きな木に、視線が釘付けになる。
木のてっぺんは雲の上で見えない程の巨木。
見た瞬間、心臓が早鐘を打ち始める。
「ああ、世界樹が珍しいか?」
「…………世界樹……」
私の呟きに答えるかの様に、世界樹が葉を揺らした。
距離が有るにも関わらず、ざわざわと音が聞こえた。
「やっ………いて、…れ…?………ちか…に」
近くに?
側に来いって事?
「……かなきゃ、行かなきゃ!よく、分からないけど、行かなきゃ、私!」
「どうした?何を慌てる?」
「離して、ヴァン!私、行かなきゃ!」
行きなり慌て出した私に全員の視線が集まる。
マルジェシタの王様と獣人の王様も言い合いを止めて私を見た。
言い様の無い焦燥感が、世界樹を見てから私を急き立てていた。
とにかく、行かなきゃ!
「シャー!!」
離さないヴァンに、ティオが思いきり噛み付いた。
「痛!?」
ヴァンの手が離れた瞬間、私はティオを抱えたままヴァンから降り、走った。
1度振り返る。
「ご免なさい!でも、行かなきゃなの!」
再び走り出す。世界樹に向かって。
「チナツ!!駄目だ!結界に弾かれる!!」
アルの叫びが聞こえた。
だが、私は止まる事なく走った。
世界樹を中心に広がる森ごと覆う淡い緑色の膜に向かって、私は右手を突き出した。
私の手が結界に触れる。
ゴオオオオオ!!
強い突風が私を包み込む。
目を閉じ、ティオを抱き締め耐える。
どれ程吹いていたのか、突風が止む。
「…………」
ゆっくりと目を開くと、服装が変わっている事に驚いた。
白い小袖に緋袴、白足袋に草履……。
ーーー懐かしい。
中学に上がってから、夏と冬にお手伝いと言う名のお小遣い稼ぎをさせて貰ってたっけ。
その時に着ていた巫女装束。
若干、リボンの紐が長いけど。
日本の衣装と思い出に、涙が出そうになるが 目をぎゅっと瞑り堪える。
王様達の方へ向き直り、私は一礼した。
そして、私は 世界樹に向けて再び走り出した。




