まだ、続く世界会議
アフッ(;´д`)
「うきゃああああ!」
私は、またノストさんに吹き飛ばされていた。
もう何度目か分からない。
「何度吹き飛べば、気が済むんですか?ああ、チナツはドMですか?」
「はぁ?断じて違います!!」
すっくと、立ち上がる。
その瞬間、腕に鳥肌がたった。
反射的に前へ跳び、自分の居た場所を振り返る。
「……何が、」
いきなり、扉が現れていた。
訓練していた騎士達が瞬時に警戒体勢になった。が、
ノストさんが手を振り、解除させた。
「こんな現れ方をするのは、この世界で1人しか居ませんよ」
扉がゆっくりと開かれる。
全身黒1色で統一された男性が現れた。
うはぁ、アルに負けてないイケメンだ。
あ、眼だけ赤い!
眼が赤いのは魔族だけだと聞いた事がある。
「ふっ、気付かなければ、そのまま拐ったんだがなぁ~。」
勝手な事を言う。
「ヴァンツェリッヒ・ヒェードヴェネツェン・ハル・ハイルニア……魔王ですよ。チナツ様」
ユルシスさんが側に来て、小声で教えてくれた。
名前、長いですね。
て言うか!会うの早すぎじゃないですか?
私、なんかフラグ立てたっけ?
立ててないよね?
名前聞いただけでアウトなの?
「クク、自己紹介どうも。」
地獄耳か!
「じゃ、其処のお嬢さんを連れて行くから、ほらほら、こっちにおいで~」
魔王さん?は、私に向かって手をおいでおいでと動かしている。
判断に迷い、ノストさんを見た。
ノストさんは、頭をガシガシ掻くと溜め息を吐いて言った。
「今は、「世界会議」中ではないのですか?」
「そうそう、会議中だぜ。其処で、お嬢さんに聞きたい事が出来たんでな、会議真っ只中に来てもらう。」
「……アルステッド殿下は?」
「どうにも出来んさ、アルステッド以外が頷いた事だ。拒否権は無い。」
「…………チナツ、申し訳ないが行ってくれ。……全員で掛かっても、数分で全滅する自信が有ります。」
……どんだけ強いんですか!!
「はぁ、じゃあ行ってきます?」
「ああ、セルヴィスやゼナスには話しておくから」
頷くと、ティオがユルシスさんから飛び降りて 私の肩に登ってきた。
一緒に来てくれるようだ。
私は、ティオの頭を1度撫でると 魔王さんの方へ歩いて行った。
近付くと腰に手を回され、引き寄せられた。
近い!近い近い~!
指で顎を掴まれ、上向けさせられる。
「チナツ?だったか、俺の事はヴァンで良い。長いからな、」
以外に優しく微笑まれた。
止めて~!至近距離で微笑まないで~!
頬が熱くなるのが分かる。
「……よ、よろしくお願いします。……ヴァン?」
魔王…ヴァンはニヤリと笑う。
「別に取って食いやしないさ。」
そう言うと、膝裏に手を入れ持ち上げられた!
「な!だ、抱き上げる必要が何処に有るんですか!?」
「……俺のしたい様にするだけだ。諦めろ。」
世界の王の前に、抱き上げられて登場するの!?
何それ!恥ずかし過ぎる!
「いや~~、普通に登場したい~!」
「はは、だから諦めろ!行くぞ。」
無情にも、ヴァンは私を抱えたまま扉をくぐった。
会場に一瞬で辿り着いた。
…………どこでもド……いや、止めとこう。
便利だな、コレ。
…………あぁ~、恥ずかしい!
座っているのが王様達で、後ろに控えてるのが護衛の人達だろう。
全員が、目を見開いて見ている!
久し振りに羞恥心で死ねそう!
「か、会場に着いた様だから!降ろして下さい!もぅ、良いでしょう?」
恥ずかしくて涙目の私を見て、ヴァンはニヤリと笑う。
「そんな約束はしていない。」
嘘~~~!!
ヴァンは私を抱えたまま、椅子に座ると足を組み その上に私を降ろした。
何コレ!
私の腰にはヴァンの手がしっかりと回され固定されている。
ヴァンは私の頭に乗っているティオの首根っこを掴むと、私の前に落とした。
「邪魔。前で持っとけ。」
「んニャ~」
私は、ティオを抱き締めた。
「降ろして下さい。本当に、勘弁して下さい。」
「……見て分かるだろう?余分な椅子は無い。」
「いやいやいやいや、無ければ立ってますから!!」
また、ヴァンはニヤニヤ笑った。
「立ちたかったら、自力で外せば良い。」
「むっ!」
ティオを円卓の上に一旦置いて、ヴァンの手を外しに掛かる。
「ふっ、…………くぬっ…………ん~~~~!!」
最後の方は、指を折るくらいの気持ちでやってみたが 指1本ピクリともしなかった。
「はぁ~」
諦めてティオを抱えた。
「苛めるのは其れくらいにしてあげて下さい。見ていて、可哀想です。」
エルフの王様が言ってくれた。
「若いお嬢さんをからかうのは良くないんダナ。」
ドワーフの王様も言ってくれた。
期待を込めてヴァンを見上げた。
ヴァンはニコリと笑うと言った。
「言っただろ?あ、き、ら、め、ろ。」
ガクッと私は、項垂れた。
「ニャ~」
ティオの頭を撫で撫でした。
少しでも、私に癒しを下さい。
「あっ、」
「どうした?」
「帰り、私どうやって帰れば!私まだ、王都まで転移出来ないやん!」
「なんだそんな事か、帰りも私が」
「チナツ!翼竜!翼竜に乗りたがってたよな!帰りは一緒に帰ろう!翼竜に乗って!!」
お兄ちゃんが叫ぶように言った。
「えっ!良いの?」
「ああ、勿論良いに決まってる!良いですよね、殿下!」
「ああ、一緒に帰れば良い。」
「やったね、ティオ。翼竜に乗って良いって」
「ニャ~」
私は、嬉しくてティオにスリスリした。
「ちっ!」
頭の上で舌打ちが聞こえたが、気にしない。
「あの~、そろそろ本題に戻って良いですかね?」
褐色の肌の男性が、聞いてきた。
褐色…………ああ、多分カルーナの王様かな?
その後、眼鏡を掛けた男性が続けた。
「進めましょう。チナツさん?で合ってますよね。異世界から召喚されて来た?」
私は、背筋を伸ばし真っ直ぐ男性を見て答えた。
「はい。あっ、チナツ・クロイツです。宜しくお願いします。」
名乗って頭を下げた。
「うん、私は、ランドルクの王をしている。シリウス・ランドルク・エーゲスタだ。で、チナツには聞きたい事があって来て貰ったわけだが、」
「はい。何でしょうか?」
何を聞かれるのかドキドキする。
「先代の勇者が戦闘を生業にしていたらしいんだが、チナツ自身は一般家庭で育ったんだよね?」
「…………はい。」
「なら、チナツの家系、一族で続いている生業等は何かないのか?と、なった訳だ。どうかな?」
「…………生業」
そう聞かれて思い出すのは、母方の祖母だ。
「母の、本家が、神社でしたが……」
「「「じんじゃ?」」」
「あ~、神様を祀っている所です。女系の一族で、稀に不思議な力を持った女性が産まれてました。私の祖母が、予知能力者でしたし。この世界で言うなら…………聖女?になるのかな?まぁ、聖職者の家系です。」
全員が驚いている。
当然、アル達も、
話してなかったもんねぇ。ゴメンね!




