死ぬる……
本日2話目の投稿。
1日1話、何処行った?
渋いおじ様が、部屋へ案内してくれた。
案内と言っても、さっき居た部屋の隣なんだけど……。
おじ様の名前が判明しました。
セト・クロイツさん。アルステッド殿下の侍従長らしい。
今日1日は、隣の部屋に居るので困った事があれば呼んで欲しいと言って、戻っていった。
私が通された部屋は、広さはさっきの部屋と同じ位なんだけど、天蓋付きのダブルベッド……ふかふかの絨毯、細かい飾り細工が施されたテーブルセット、対のチェスト、大きな衣装ダンス。等々。
極めつけが、隣の部屋へと続くだろうドア。
これ、開けたら殿下やルークさん、セトさんが居そうなんですけど‼
もしかしなくても、此処って殿下の寝室じゃないの!?いあ、王城にちゃんとした部屋が在るんだろうけど、マジですか❗マジなんだろうな〜。
ハァ〜とため息をついて、絨毯の上に座り込んだ。
青いマントを脱いで畳み、リュックを下ろした。
「んニャ、もう、しゃべっていいのニャ?」
のんびりとした猫の喋り方に癒される。
「ん、しゃべっていいよ。でも、取り敢えず荷物の確認したいから全部出してもらえるかな?」
「解ったニャ」
言った瞬間に、目の前にリュックに入れてきた荷物が出現した。
「おおおお、凄い 凄い!」
魔法っぽいものを目にしてテンションが上がる。
ハンカチ、ポケットティッシュ、タオル、下着3着分、カロリンメイト(チョコ味、プレーン味、チーズ味)、水筒(麦茶入り)、スマホにサバイバルナイフ、美穂姉作の猫耳マント
「ちゃんと全部あるみたいだね。よしよし。」
スマホを手に取り、電源を入れてみる。
点いた。
電波は……届いてたらビックリだよね。予想通りだけど残念で仕方ない。
「ご主人〜、前に言ってたもう1つの能力ニャんだけどニャ」
おおう、ご主人呼び〜。
「普通の猫になれるみたいニャんだニャ。」
「マジですか?」
「マジですニャ。」
「……是非、お願いします。」
「解ったニャ……変身……ニャ‼」
器用に後ろ足と尻尾で立つと、最後のニャ‼の所で前足を揃えて右へビシッ……淡い光がリュックを包み込むと、輪郭がぼやけ始めた。
光が消えると其処には、茶色の虎猫がお座りしていた。
「ニャ、ニャンコ〜」
私は、その虎猫に抱き付いた。
首の下を撫で撫で、背中を撫で撫で、お腹を撫で撫で、ついでに肉球も
「くすぐったいニャ〜、止めるニャ〜」
「ああ〜 ニャンコ可愛い。凄く可愛い。」
「しょ、しょうがないニャ。もう少しだけ、許すニャ。……優しくしてニャ〜 ゴロゴロ」
モフモフモフモフモフモフ……
「……コホン」
入ってきたドアの方から、あからさまな咳が聞こえた。
慌てて見ると、アルステッド殿下が苦笑していて、その後ろでルークさんが口と腹を押さえて前屈み気味になってて、さらに セトさんが微笑んでらっしゃった!
一気に顔が熱くなる。
こ、これは恥ずかしくて死ねる❗
「えっと、何時から……」
「……凄く可愛い?辺りから…その、ノックはしたんだが返事が無かったので入らせて貰った。」
「プッ…一応、話し合いの決着がついたから、報告なんかのついでに一緒に夕飯でもと思って来たんだけどね。お邪魔だったようだね。ククッ…プッ」
ルークさん、笑いすぎです。
恥ずかしくて、視線を虎猫の方へ向けると 荷物をいつの間にか全部仕舞って、前足をペロペロしていた。
なんて、出来た子。
「もっと、早く声掛けてくれたら良かったのに」
恨めしく睨んでみる。
「いやいや、可愛い女の子が猫と戯れてる図は目の保養だよ。もっと、観ていたいくらいだよ。なっアル?」
「へっ…あ、ああそうだな。うん、可愛かったぞ。」
また、顔に熱が溜まっていく。わ、話題変えよう。
「と、取り敢えず!お話し聞きたいですし!お腹も空きましたから!ど、どうぞ入ってください!」
殿下の部屋ですけどネ!