チナツの初訓練
ヤキニクヤヘ
トントロ、タン、ガスキ
タンハレモンジル!(ノ´∀`*)
訓練所に軽快な音が鳴り響く。
パシッ!パンッ!バシッ!
「はぁ!!」
「ほらほら!どおした?スピードが落ちてきてるぞ!やめるか?」
「ぐっ!まだまだ!!」
もう、2時間ぐらいだろうか?
ウィル、ダニーさん、ムーさんの順で、30分交代で相手をしてもらっていた。
休憩は5分
今は、2周目のウィルが相手だ。
訓練所に会議を終えたセルヴィス達とアル達が入って来た。
集中しているチナツは気付かない。
「どうだい?チナツは。」
休憩しているダニーとムーにセルヴィスが聞いた。
「最初は何度も吹っ飛ばされてましたよ?」
「うん、最初は。もう、へばっても良い頃合いなんですけど、ついてこれるようになっちゃいましたよ。」
「この、短時間で、末恐ろしいって言えば良いんですかね?」
「ウィルネストは、まだやれそうですけど 俺達は次やったら何度か食らうんじゃないですかね?」
「ほほ~。」
セルヴィスが感心した時、ウィルが作った隙に乗ってしまったチナツの蹴りが、ウィルに掴まれそのまま投げ飛ばされた。
地面にぶつかり、ゴロゴロと転がる。
「あいつも、容赦ねぇな。」
ゲルティが呟く。
駆け出そうとしたアルをルークが止める。
「まだ、訓練は終わって無い。」
心配気にセルヴィスとトヴィアも頷く。
「うっ、く!」
腕の力で上体を起こす。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
肩で息をする。次から次へと汗が流れ落ちる。
「す~は~、す~は~」
深呼吸を繰り返し、息を整える。
両手を地面に着けた状態で、クラウチングの様な格好で立つ。
魔力を、もっと、スムーズに、循環、させる。
今日、1番のスピードでウィルへ突っ込む。
「ちっ!」
此処に来て、更にスピードが上がった事に驚く。
再び、拳の打ち合いが始まる。
スピードが上がった事でウィルから余裕が消える。
「はああああ!」
チナツの左拳を、顔を反らすだけで交わす。
が、チナツは左足が地に着くと同時に右足を振り上げた。
ウィルの頬に赤い筋が走った。
「ちいっ!」
振り下ろす遠心力を利用し、体勢を低くするとそのまま足を狙う。
後方に跳んで交わされる。
ウィルの着地と同時に、距離を詰めると拳の応酬が始まる。が、
チナツの拳が受け流され、がら空きになった腹にウィルの蹴りが入る。
「がっ、は!?」
数メートル飛ばされ、再び地面に転がされた。
「けほっ!けほっ!」
起き上がれずに居る私に、ウィルの声が掛かる。
「時間だから、今日は此れで終わりだ。」
「…………はい。はぁ、あり、がとう、ござ、いました。」
礼を言うと私は仰向けになった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」
何とか上体を起こすと「ウォーターボール」を出し、頭を突っ込んだ。
冷たくて気持ち良い。
その後、「ヒール」と「リフレッシュ」を掛けた。
「……腹、大丈夫か?」
側に来たウィルが座って聞いてきた。
「はぁ、はぁ、大丈夫。今、治したし!」
「最後のは、まぁ、すまん。」
「良いですよ。ウィル、ずっと蹴り使って来なかったから、やったね!て、感じ?」
「……気付いてたか、使わなくてもいけると思ったんだがな……今日は、帰ったらゆっくり寝ろよ。」
そう言うと、ウィルは私の頭をワシャワシャしてから離れていった。
ゆっくり立ち上がると、お兄ちゃんに抱き締められた。
ぎゅうぎゅうと抱き締められ、苦しくなってきた所で、ルークさんが引き離してくれた。
「チナツちゃんさえ良ければ、俺も相手したげるよ。何時でも言ってね?」
と、言ってお兄ちゃんを引き摺って行った。
アルは、私に紙に包まれたお菓子をくれた。
「疲れた時は、甘いものだろう?特に、女の子ならね。」
「嬉しいです!ありがとうございます!」
お菓子でニコニコになった私を見て苦笑した後 、そっと 私の頬にアルの手が添えられた。
「あまり、無茶はしてくれるな。」
真摯な瞳で見詰められ、ドキッとした。
「……大丈夫ですよ?本当に無茶な事はしない、と言うか、やらせて貰えない気がします。」
フッ、とアルが笑う。
「そうだな。隊長達も、チナツには甘いからな、あ~、もしルークに挑むなら、隊長達と渡り合える様になってからにした方が良い。じゃあ」
アルも、私の頭をワシャワシャしてから帰って行った。
アルが離れてから、セルヴィス叔父様達が来た。
「チナツ~!見てて、ハラハラしたよ!」
「最後の方だけ見させて貰ったぞ。」
「ダニエルとムービックが褒めてましたよ。」
3人に囲まれ、髪をくしゃくしゃにされる。
「も~」と文句を言いながら、手櫛で整える。
「明日ですが、私達の部隊の訓練に参加する形でどうでしょう?勿論、対人戦の訓練では私達が相手をしますよ。」
と、ノストさんが言った。
其れもそうだ。
部隊のトップが暇な筈がない。
私の我が儘に付き合ってくれるのだから、恵まれている。
「有り難うございます。充分です。宜しくお願いします。」




