賄賂?
モウ!ムシアツイノカンベン!
(;´д`)ハア、ハア
♪ふんふんふ~ん
家の台所でまた、適当な鼻歌を歌いながらお母さんから借りたバスケットに 焼きたてのクッキーを詰めていた。
凄く簡単な作り方。
薄力粉とバターと砂糖を混ぜて、冷やして、切って、焼く。
香り付けに、お父さんから果実酒を少し拝借したけど。
このクッキーを持って、今日はセルヴィス叔父様の所に行く予定。
本当は冒険者ギルドの方に、行きたかったけど 一昨日の事を思うと、ね。
クッキーの上にナフキンを被せて準備OK。
込み合うお昼の食堂を手伝ったら出発ですよ。
はい。城門の前に来ましたよ!
「近くで見ると、大きいね~。城壁」
「ニャ~!」
一昨日と同じ格好です。
違うのはマントが、猫耳付きのマントでティオが猫のままってところ。
少し緊張しながら、門の前に立つ騎士の人に話掛けた。
「あの、」
「ん、どうしました?お嬢さん。」
30歳くらいの騎士さんだ。
白いマントなので、この人も王国騎士と言う事だろう。
まぁ、1番数が多いから当たり前か?
「王国騎士団第4部隊隊長セルヴィス・クロイツの姪で、チナツ・クロイツと言います。叔父に会いたいのですが?」
「隊長の姪!?」
あ、第4部隊の方でしたか。
「失礼しました。少しお待ち下さいますか?確認してきますので、」
騎士さんは小走りで直ぐ側の建物の中に入っていった。
「セルヴィス隊長の姪って子が来てる!」
「あ~、隊長から聞いてるよ。何でも、「猫を連れた美少女が来たら通せ!直ぐ通せ!会議中でも通せ!」ってさ。」
「なんだ、その命令」
「いや、猫を連れた美少女だった。案内してくるから誰か「門」変われ!」
「其れなら俺が案内する!」
「いやいや、俺が!隊長の姪っ子見たい!」
「此処は……じゃん拳で!!」
「「「じゃ~ん~け~ん~」」」
会話筒抜けです。
恥ずかしい!!
セルヴィス叔父様、なんて事伝えてるんですか!
因みに、案内してくれたのは違う騎士さんでした。
通されたセルヴィス叔父様の執務室?には、タイアスさん…が居るのは補佐だから分かるとして、何故か、ゲルティさんとノストさんも居た。
「会議中のセルヴィスの態度が、余りにもそわそわしてたんでな!」
「フフ、私とゲルティの2人掛かりで吐かせました。全く、チナツさんの手作りクッキー独り占めとか、許しがたい。」
「チナツ様、モーヴィス産の紅茶です。好きなだけお代わりして下さいね。あ、そっちの紅茶は市販されてる物ですが、飲み終わったら帰って下さいね。仕事して下さい。」
「ハハッ!可愛くねぇ!じゃあ、飲まねぇ!(もぐもぐ)ん、酒入ってるか?嬢ちゃん」
「香り付けに少し」
「うん、上手いぜ!俺は好きだぜ、この味。」
「フフ、ありがとうございます。お口に合って良かったです。簡単な物なんですけどね。」
「(もぐもぐ)うんうん、美味しいですよチナツ!で、(もぐもぐ)今日は差し入れに来ただけかい?それとも、一昨日の事を聞きに来たのかい?それとも……遊びに来たのかな?」
うっ、
言うのに勇気が!
言って了承されたら、されたで怖い物がある事実!
女は度胸!
誰の言葉だ!恨んでやる!
「……遊びに来ました。」
「フフ、一昨日の事はゲルティから聞きましたよ?(もぐもぐ)それが、理由ですか?」
「……はい。一方的にやられましたから……強くなりたいと、あの時に自分は弱いと思い知らされました。お願いします!叔父様!」
私はセルヴィス叔父様を真っ直ぐ 見詰めた。
「はぁ~、頑固そうだね。」
「大丈夫ですよ。午前でも午後でも好きなだけ隊長を使って下さい。その後、私が責任を持って仕事をさせますので。」
「…………鬼だね。君!」
「どのみち、皆さん チナツ様の賄賂食べたじゃないですか?賄賂だけ受け取るんですか?」
「「「…………賄賂?」」」
3人の目がクッキーの入ったバスケットに向いた。
「……チナツ?」
軽く握った拳を口元に当て、笑って首を少し傾げてみせた。
「てへっ」
私はちょっと、ぶりっ子してみた!




