アンディス会長
朝起きたら、何故か!
♪ダダンダッダッダン!
♪ダダンダッダッダン!
………ア……アイル…ビー…バック?
頭の中で、流れてた。
体育館程の広さがあった。
両側の壁は鉄格子が続き、暗くて中は良く見えない。
唸り声みたいな物が、聞こえる。
部屋の奥の4/1位だろうか?
総ガラス張りで区切られた中に…………ベッド?
へっ?何でベッド?
ガラス張りの壁の前に、10人程の如何にも柄の悪い男達が武器を手に立っていた。
その中から、
スーツに身を包み、黒渕の眼鏡を掛けた50歳前後の男が出てきた。
セルヴィス叔父様が小声で教えてくれた。
「奴が、アンディス商会の会長だ。」
「えっ!」
きっと、贅沢しまくっててぶくぶくに太った男を想像していた。
出てきた男はスラリとした長身だった。
「クフフ、良くこの部屋まで来れましたね?」
「てめぇこそ、良く逃げずに残ったな。店も屋敷も押さえた。諦めて連行されな!」
「クフフ!逃げずに残った?逃げますよ?只ね、其処のお嬢さんも来るみたいだったのでね。クフフフフ、頂いてからゆっくり逃げさせて貰いますよ!」
会長の視線が、私に向かう。
目が合った瞬間、全身に鳥肌がたった。
思わず、自分の身体を抱き締めた。
「クフフ!良い反応です!久し振りに長く楽しめそうです!」
周りの男達もニヤニヤと笑う。
隣に立っていたゲルティさんの後ろに隠れ、服を掴む。
「…………気持ち悪い。」
「大丈夫だ。あんな雑魚には負けねぇ。直ぐに、けりぃ着けてやる。」
「チナツは誰にもあげませんよ!」
「お嬢様に集る虫を払うのも、メイドの仕事です。」
「「「騎士の名に賭けて」」」
皆が、私を励ましてくれる。
最後にウィルネストさんが側に来て頭を撫でる。
「…………嬢ちゃんは、俺が守る。安心しろ。」
真剣な目で見詰められたが、直ぐに顔を引きつらせて離れていった。
背後から殺気?を感じる……。
振り返るとセルヴィス叔父様が微笑み
「みんな、で、守るから、安心して、ね?」
「は、はい。」
私は、コクコクと頷いておいた。
「クフフ。仲が宜しいようで、拐った時の顔が見物ですね!」
「抜かせ!」
「クフフ!無駄!無駄!無駄ああああああ!」
会長は懐から1枚の紙を取り出すと、その紙に魔力を流した。
紙が燃えると同時に、私の足元に魔方陣が現れる。
「えっ!?」
気付いた時には、私はベッドの上に居た。
セルヴィス叔父様達が遠い。
「転移、魔方陣、だと!?」
「クフフフフ、クハハハハハ!皆さん、良い顔です!クフフ!では、後は任せましたよ。」
会長は側に居た男に話し掛けると悠然とガラスの部屋へ向かう。
「チナツ!!」
「お嬢様ぁ!」
セルヴィスとミシェルが駆け出す。
が、2人の前に男達が立ち塞がる。
セルヴィスが剣を抜き、ミシェルがスカートの中から鞭を取り出す。
「焦んなよ?あんたらの相手は俺達だけじゃあ無い。」
左腕を伸ばし、持っていたスイッチを見せ付けると…押した。
ガンガンガンガン
音を響かせながら、鉄格子が上がって行く。
唸り声を上げながら、魔物が次々に現れる。
庭に居たファイアウルフから定番のゴブリン、ホブゴブリン、オークにオーガ、リザードマンが数体ずつ。
最後に、窮屈そうに身体を折り曲げ出てきたのはトロル…巨人が2体現れた。
ゲルティの耳元で、ウィルネストが何かを呟く。
ニヤリと笑うと、ゲルティは背中に背負っていた大剣を鞘ごと外すと、両手で持ち野球のように構えた。
ウィルネストがゲルティの大剣の前に立つ。
「嬢ちゃんは頼んだぜ!!」
「分かってる!」
ウィルネストが飛び上がるとゲルティが大剣を振り抜く。
ウィルネストの足が大剣に乗ると、そのまま前方へ吹き飛んだ。




