アンリ・ディッツ
切りの良いところで!
と思うと、どうしても…………スンマセン!
今回以上に長くならないように
気を付けまふぅ~(;つД`)
「ちょっと見ただけで 分かるのもどうかと思うぞ?」
「すいません、本で見せられた事があって……。」
「はぁ、どうする?戻るか?」
「……いえ、行きます。ミシェルは戻って良いよ?」
ずっと、私の後ろについてきていたミシェルを振り返って言った。
「フフ、チナツお嬢様の行く所メイド有り、ですわ!」
「ん……、じゃあ一緒に行こう。」
ミシェルには何を言ってもついてくる気がしてた。
ゲルティさんと共に部屋へ入る。
部屋は、学校の教室2つ分位。
降りてきた階段から、延びる直線のスペース以外は器具に囲まれたベッドや椅子があり、鉄の鎖等の拘束道具から使われたら死ぬだろう道具まで有った。
世界が違っても、痛め付ける道具に差は無いらしい。
どの器具も赤黒い。
此処に居るだけで、血の臭いが身体に染み付きそうだ。
「くそっ!ドアが開かねぇ!」
ウィルネストさんが苛立ち、叫ぶ。
奥の部屋へ続くドアには、取手も何も付いてなかった。
「また、何か仕掛けが有るんだろう。探そう。」
セルヴィス叔父様の言葉に、全員が頷く。
私も、また怪しい箇所を探すが見つからない。
ウィルネストさんがドアを叩いたり、蹴ったりしているがびくともしない。
普通に探したんじゃ見つからない?
隠してある?
そう、この世界には魔法がある。
スイッチが魔法で隠されてる?もしくは、特定の魔法で開く?
やるだけやってみよう。
私は目に魔力を纏わせた。
「!?」
見えたのは部屋中を飛び回る無数のオーブ。
心臓が早鐘を打ち始める。
一体、どれだけの人が殺されたと言うのか!
拳を握り締めた時、1体のオーブがずっと私の側にいる事に気づいた。
気づいた事が嬉しいのか小刻みに揺れるそのオーブに、私は手を伸ばした。
「……チナツ?」
「何してんだ、嬢ちゃん?」
セルヴィス叔父様達が、不思議そうに私を見る。
私の手がオーブに触れると、周りを飛び回っていたオーブが集まり 触れたオーブに吸収されていく。
大きくなったオーブが姿を変え、1人の少女が現れた。
「!?…………あなた…は」
揺れる長いウェーブの髪はオレンジ色で、開かれた眼は左が水色で右が金色をしていた!
オッドアイ!
少女の……と言っても私より少し上くらいの歳だ。
視線を追えば、ウィルネストさんを見ている。
私の視線に気付き、ドアに当たるのを止める。
「どうした?」
「…………」
私は一旦、視線を落としてから少女へ戻した。
「…教えてくれる?」
少女は頷くと私に向かって両手を差し出してきた。私は全員の視線を感じながらも眼を閉じ少女に向かって両手を伸ばした。
私と少女の姿が重なる。
フードが捲れ、髪がほどける。
髪の色が黒からオレンジへ変わり、ウェーブがかかる。
私の服に少女の服が透けて重なる。
伸ばしていた手を戻す。
ゆっくり眼を開けると水色と金のオッドアイが輝く。
少女は、呆然と立ち尽くすウィルネストと向き合うと微笑んだ。
「会いたかったよ。お兄ちゃん!」
「…………アン、リなのか?」
「ええ!この方のお陰でまたお兄ちゃんと話す事が出来て嬉しいよ。でも、そんなに時間は無いから先にドアを開ける方法を教えるわ。」
少女、アンリは全員を見回すと1度頷く。
「こっちよ。」
ウィルネストが叩いていたドアから1M程離れた場所の壁の前に立つ。
壁には縦の線が無数に走っている。
模様にしか見えない。
「この線だけ、他の線より少し太いの。此処に魔力を流せばドアは開くわ。」
「……君は、ウィルネストの妹、なのか?本当に?」
「はい。アンリ・ディッツです。兄がお世話になってます。」
「チナツは、無事なのか?」
「私を全面に出してくださったので、この方の精神は眠られてるような感じです。直に起きられますので、安心して下さい。」
その言葉にセルヴィスはほっと息を吐いた。
「ア、アンリ!」
ウィルネストがアンリを抱き締めた。
「ホントにホントにアンリなんだな!」
「お兄ちゃん!」
「会いたかった!アンリ!」
「ちょっ、お兄ちゃん!!」
アンリはウィルネストの顔面を鷲掴みにして引き離した。
「な、んで…」
「何でじゃ無いでしょ!私に見えてても、この身体はこの方の!16歳の女の子の身体なの!無闇に抱きついたりしちゃ駄目でしょ!」
「あ、あああ!」
慌ててウィルネストはアンリから距離を取る。
「うん、もう!お兄ちゃんのせいで時間無くなっちゃった!」
「……悪い。」
「まぁ、お兄ちゃんらしくて安心したけど、」
言いながら、アンリは離れすぎたウィルネストに近付き ウィルネストの頬を両手で挟んだ。
「お兄ちゃんなら此処まで来てくれると思ってたよ。でも、1人で突っ込んで来そうだとも思ってた!フフ、安心した。お兄ちゃんの周りに沢山の人が居て。」
アンリはウィルネストの瞳を真っ直ぐ見つめる。
「愛してるよ、お兄ちゃん。来てくれて有り難う。私の…分…も生きて……幸せ…に………ね」
アンリの腕が頬から離れ、糸の切れた人形のように崩れ落ちそうになるのを、寸前で受け止める。
「アンリ!」
ウィルネストはアンリの顔を覗き込む。
「顔、近過ぎ!?」
再び、顔面を鷲掴みにされ離された!
既に、アンリの面影は無く黒髪 黒眼のチナツに戻っていた。
「アンリは、」
「……ん」
私は、目に魔力を纏わせ部屋を見回した。
オーブの数が激減している。
「……もう、居ないみたい。」
「そう、か……嬢ちゃん、ありが……でぇ!!」
セルヴィス叔父様が、チナツを取り上げ ウィルネストを蹴り飛ばした。
「いつまでチナツを抱いてる気だ!」
「おう!さっさと先に進むぞ!」
言いながら、ゲルティは魔力を流しドアを開けた。
今居る部屋より広い場所に続いているようだ。
「フフ、多分次の部屋で最後です。行きましょう、ウィルネストさん!」
ウィルネストはチナツを見上げた。
「……ああ、行こう!」




