しゃべりました
お肉大好き 和威です。
脂身も好きです。ハムステーキの端にある脂身とか、甘くて良いですな。
魔法……見たかった。
眼を爛々と輝かせて、魔法使い達を見たら 5人共両手を上げて降参ポーズをしており、上から降りてきた騎士達に縄で縛られていった。
「あ、諦めるの早!」
呆気にとられている私の方へ 苦笑しながら赤髪イケメンが近づいてきた。
「此れでも王都では有名なんだよ。俺。青鷹騎士団副団長としてね。挨拶が遅くなってしまったけど、はじめまして ルーク・レステリア・ヴァルディーです。ルークって、気軽に呼んで欲しいな。」
見た感じだと、赤髪イケメンことルークさんは20歳前後。
それで、副団長の地位に就いているって事は 相当強い。
さっきも自信満々だったし、それに、貴族だと思う。
王子とも親しいみたいだし かなりの高位貴族の可能性有り。
まぁ、イケメン具合でも有名かもね。遊んでそう……。
「……千夏です。あ、えと、チナツ・タカツキです。状況がよく解らないんですけど、助けて頂いたと思って良いのでしょうか?
それとも……」
「あ〜少なくとも、俺達は助けに来たつもり。詳しくは後でね。取り敢えず、チナツちゃんには俺達と一緒に騎士団本部に来て欲しい。」
ん〜どうしよう。流されまくってるよね、コレ。
強制イベント的な。
取り敢えず、1人になりたいなぁ。確認したいこともあるし……逃げても、きっと捜索されるよね。
女が1人になる場所。
アレしかない。う〜恥ずかしい。
私は、少し俯き モジモジしながらルークさんに一言告げた。
1人になれました。
此処は、トイレです。
イケメンに「トイレ何処ですか❗」って滅茶苦茶恥ずかしかった。
普通に案内されたけど…ルークさんはトイレの前で待ってるみたい。
「ふぅ、取り敢えず確認したいのはステータス。召喚にはつきものだよね。
「荷物の確認もして欲しいニャ」
バッと後ろを振り返るが、トイレの壁しかない。
「あまり強く揺らさニャいでほしいニャ。酔うニャ。」
背負っていたリュックを目の前に掲げてみた。ジ〜
「そんニャに見つめられると、恥ずかしいニャ」
びっくりだ。リュックが喋った。語尾がニャになるのは猫型リュックだからか?
「驚いてるニャ?うちも驚いたニャ。でも、もっと驚くニャ。話せるだけニャニャいニャ。あの、有名ニャロボットのポケットみたいにニャッてるのニャ。幾らでも入るニャ。」
…有名なロボットのポケット……アレか、青い猫型でネズミに耳かじられたやつ。
前から思ってたけど、ロボットかじっちゃうネズミって危険じゃない?だって鉄?ガジガジゴックンしてるんだよ。
どんだけ強い歯と顎と胃をお持ちでって……脱線してる。
えと、幾らでも入るって事はファンタジー的にアイテムボックス化したって事か。
それは、かなり嬉しい情報だね。
「もうひとつあるニャけど、時間大丈夫ニャ?」
ハッ‼トイレで長時間籠るのは、かなり恥ずかしい。
もう出ないと、おっきい方だと思われちゃう‼
結局、確認したかった事は出来なかったけど……。
「もう行かなきゃ。この世界の事、まだよく解ってないから喋るのは2人?きりの時だけで宜しく。」
「解ったニャ。因みに、マントもうちの中に入ってるニャ。出したい時は、それを想像しながら うちに触ればいいニャ。」
私は、頷くとリュックを背負い直して 急いでトイレから出た。
イケメンの顔は、恥ずかしくて暫く見れませんでした。