向こうから接触してきた!?
何か、も~なんでもありな菓子皿から子供達に、食べ物の形をした小さなお菓子を数種類、大人にはヴァン達に好評だったボンボンを出すと大変喜ばれた。
セヴァル御祖父様が商品化出来ないか本気で考え始めたので、少し多め(箱入り)に渡しておいた。
午後からは予想通りに着せ替え人形にされ、ドレスアップしたまま夕食……晩餐?になり、セルヴィス叔父様も補佐のタイアスさんを連れて帰って来たので、賑やかだった。
ロッテの
「姉様と一緒に寝るの、なの!」
の言葉に、ルルとセインも反応して大騒ぎ!
泊まっていく事になってしまった。
ぎゅうぎゅうと子供達に抱き付かれると、ぬくぬくで良い匂いもして直ぐに眠ってしまった。
……お子様って、体温高めだし特有の良い匂いするし、髪も柔らかくてふっわふわだし……はぅ、天国~!
ランチタイム前に帰って、お店の手伝いをして今日は終わり~。
あ~、寝る前に世界地図広げてお勉強もしましたよ?
「じゃ、ギルド行ってくるね~。」
「あん、チナツ!これ持ってって!お昼にちゃんと食べるのよ?」
お母さんが慌ててバスケットを抱えてやって来た。
「わ~い、お父さんありがとー!」
厨房に居るだろうお父さんに聞こえる様に言う。
ティオに仕舞ってもらうと、ミシェルと供に店を出た。
この時間帯にギルドに行くの初めてかも知れない。
失敗したかな~。
でも、どんなクエストが請けられるか分かんないし、時間が掛かるクエストだと困るもんね~。
因みに、街門20時頃閉まります。
早い気もするけど、此れでもギリギリのラインなんだって。
夜の方が魔物が活発だからね。
まぁ、門番さんが居るからちゃんとした理由があれば入れてもらえるらしいけど……。
ギルドの中へ入る。
やっぱり冒険者でごった返しになってた。
ギルド職員も忙しそうに列になったクエスト受注者を次々に捌いていく。
どうしようかな~と思っていたら、列を捌いていたこの前のお姉さまが私に気付いて手招きした。
人の列を掻き分けて近付くと、お姉さまは並んでいる冒険者の人に軽く謝ってから1枚の紙を出してきた。
「チナツ様に指名依頼が来ております。確認して貰えますか?」
……指名?
個人の冒険者を指名してクエストを依頼してきたって事?
其れも私を?
なんか……見たくないかも。
でも、待ってくれてる冒険者の方に悪いので紙を受け取り さっと目を通した。
「うげっ!」
思わず変な声が出てしまったけど、私は悪くない。
ミシェルと猫バルトも覗いて読んだ。
すかさずミシェルが「断固却下です。」と言ってくれた。
「うん、無理無理。」
「ですよね。」
お姉さまも苦笑いだ。
だって、教会からの護衛依頼だったから。
然も日程が1週間程
「意味分かんないですね。教会には神聖騎士?だかが居るって聞きましたよ?護衛はその騎士で充分じゃないですか。」
「アルヒレスタに帰って来て直ぐにチナツ様指名の依頼とは、怪しさ満点ですわ。」
ですよね~。
「そうなんですよね。今まで教会からの依頼は殆ど有りませんでしたし、ギルドとしてもあからさまに怪し過ぎて……」
私達の会話を聞いてしまった冒険者の方々もざわざわと騒ぎ始めた。
直ぐ横に並んでいた冒険者さんも顔をしかめて断った方が良いと言ってくれた。
「何にしても、日程的に請けられません。断って貰って良いですか?」
「ええ、勿論ですよ。逆に断ってくれて安心しました。其れで此方のクエストなのですが」
お姉さまが別の紙を出してきたので見てみる。
「ワイバーンの討伐……ですか?」
「ええ、少し遠いんですがワイバーンの数が増えて近隣の村に降りてくる様になったらしくて」
「くふふ、このクエストで遠出している為教会の依頼は請けられない、ですわね。」
「ふふふ、その通りですね。」
ミシェルとお姉さまが悪い顔で笑い会う。
側に居た冒険者数人が引いてますよ~。
ギルドから外に出ると、空からパタパタと猫バルトが私の頭へ降りてきた。
請けたクエストの事や教会からの指名依頼が来てた事等、ちょっと長くなりそうな説明をお父さんにしてきてくれるよう、猫バルトに頼んだのだ。
「お父さん、何て?」
「『ん、』て言ってましたヨ。ニャ~。」
はは、お父さんっぽい!
此れから討伐しに行くワイバーンだけど、翼竜と混同されやすかったりするけど、全くの別物。
翼竜は龍の下位種とされていて、見た目も龍に近い。
ちゃんと四肢が有って背中から翼が生えている。
騎士によって調教された翼竜には2人迄騎乗可能。
ワイバーンは前肢が翼になってて、龍よりは蛇に近い顔をしている。
その蛇に似た口には小さな牙が沢山生えてて、大きさはまぁ、人1人がしがみつける位……らしい。
全部、魔物図鑑からの知識だけどね!
結局翼竜には乗れてないなぁ。
……竜の背中に乗るのって、如何にもファンタジー!て感じで憧れる。
「で、その依頼のあった村までどうやっていこうか?」
頭に猫バルト腕にティオを抱えて、ミシェルと並んで街門に向かいながら話す。
「そうですわね~。行きは普通に馬車で行くのはどうですか?馬車で2日位ですし。何処からか教会関係者に見られてると思って行動した方が良いでしょうから……で、帰りは転移で」
「む~、教会かぁ。関わりたくな~い!」
「ほっとくのが1番ですヨ。ニャ~。」
「そうですわ。此方から手を出すのは悪手です。相手に口実を与えてしまいますから。」
あ~も~!
面倒臭いのが出てきたなぁ。
ミシェルの言う通りに乗り合い馬車の所へ向かう。
手段は3つ。
乗り合い馬車……所謂、バスみたいな物。お金払って乗っけてもらう。
商人の馬車……同じ目的地の商人に交渉して乗せてもらう。
馬車を借りる……お金を払って馬車自体を借りる。更にお金を払えば馭者も雇える。
ぶっちゃけお金は有るので馬車を借りる事にしたんだけど、馬車はともかく 馬の良し悪しが分からないのでミシェルに丸投げです。
馭者もミシェルとバルトが交互にやる事になりました。
馬自体には乗れるから、馬車は借りずに馬だけ借りる。
もしくは、ミシェルが馬で私が大きくなったバルトかティオに乗ってく案も出したんだけど、やっぱり何処で見られてるか分からないからなるべく手の内は晒したくないって、却下された。
ここにきて何も出来ない自分が居る。
地味に落ち込むわぁ。
む~、教会め!
直接会った事すらないのに、既に嫌がらせされてる様な気分になってる。
私の中で、先入観で悪の組織に成ってしまっている。
ぼったくってるのは事実なんだけどさ。
決めつけて掛かるのは良くない。
気持ち切り替えてこう!
パチンッと両頬を軽く叩く。
うし!取り敢えず目の前のクエストだ!
あんまり考えて変なフラグ立っちゃっても嫌だしね!
ミシェルが用意した小型の馬車に乗り込むと、門番さんにギルドカードを提示して王都から出たのだった。




