02/18
ドアを降りたそこは 見知らぬ土地だった
目の前には大きな山が居座り 背後では海猫が鳴いている
風も無い ただ灰色の砂利が敷き詰められた場所に 僕は立っていた
少し歩いてみようと思い地図を開くと 思っていた場所とは遠くかけ離れていて
訳も分からず歩いていけば 陽気に僕が喋らない言葉で会話する子供の声
ここはどこだろうと思う 海猫がいつの間にか烏に変わっていた
人を喰らう様な列車を追いかけ 降りた筈の駅に戻る
また彼に会い それでやっと分かった
僕の冒険はここで終わる
同じ形のトンネルを二三回潜った後 見上げたそこに いつも使っている駅があった
けれどこの列車はそこに止まらず 少しも音を立てずに走り続けた
真白の砂が積もる冬の海岸 大きな蛇が波を立てていた
波の音もしない ただ白い鱗が波と共に輝いているだけだった
僕は季節に吹き飛ばされそうな麦藁帽子を右手で抑えながら 太陽が作る光をぼうと眺めていた
赤から橙 そして白 段々と目を焼いていく太陽は 蛇の様に笑う
少し目を瞑って 一歩前に踏み出してみた
波が足を掬い 僕は海原へと投げ出されたんだ
太陽は海に沈み 真冬の月が ここぞとばかりに輝き 眩しかった