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02/16
無機質な扉が開く
蒸気の音がした 見覚えのある車掌が手を差し伸べた
僕はその手に惹かれ いつか大切な誰かと見た景色を旅する
水色 緑色 黄土色 張り巡らされた電線や大地に生えた巨大なビル
空色の中の白だったり 誰かの物だった赤色だったり
様々な色 色が意識できないまま通り過ぎ去っていく
この列車は止まることはない 僕は少し息をしてみた
この窓から見える夜は恐ろしくない
星々に飾られた黒色のインクが 暗がりを襲っていたけれど
この列車は夜を恐れない
月世界の住民や地底人は楽しそうでいいけれど
この景色が見られないなら 僕は地上人で良い
ハンドルを強く握り締めた僕は 続いていないレールを鼻で笑った