02/12
甘くなければいけない夢の中と頭の悪い苦味が蔓延る街角に 僕は佇んでいた
他人の目を気にして ただ自分だけ辛い想いをしているって思い込んで
馬鹿みたいなことをしている自分に 嫌気がさしてきて
「そうだな、例えば僕が君を見ているとしよう」
そんな視線が 死線が 僕の心配を貫いていくんだ
鼻を劈く汚物の臭いが 段々味覚を腐らせていく
見たくもない現実が 段々鼻を詰まらせていく
聞きたくもない金切り声が 段々水晶をぶち壊していく
関わりたくも無い誰かが 段々僕の肌を削ぎ落としていく
「僕は君の味方だ」だって 「君はここにいてもいい」だって
オイルの切れたカンテラの様に 照らしも出来ない夜道に揺れてるだけなんだ
差し伸べた手にさえ百足が蠢き 優しく囁かれる声にさえも蠅がまとわり付く
それらの行為を「無責任だ」と非難する事こそ 僕の一番汚い場所だ
いつしか夢の国で いつしか遠いオーロラを渡る船の甲板で
夢でしか会えない君と現実しか覚えられない僕がまた 出会えますように
君の手のひらには 何も集ってはいなかったから
君が笑う素振りを見せるのは また少し卑怯
また会いたくなる また会いたくなる
君と出会った不安定な空間は
深海の入道雲の声に よく似ていた