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慰愛霧  作者: 明日葉甘楽
2/11

02/08

 霧が濃い


 せっかくの機会だったけれど 残念だ


 助手席に座るその子は 退屈そうに目の前の椿を眺めていた



 ずっと上の方で鯨が潮を吹いたようなので あの子は持っていた傘で車を覆った



 僕はと言うと いつの間にか霧の街に身を投げていて


 振り返ると あの子が僕に手を差し伸べていた



 そこで気が付いた


 街を覆う霧は 僕の涙だった



 そっと柔らかい物が僕の手に触れて 優しい声が喉を撫でた


 はっとした目で見た視線の先に 淡い桃色の椿が風に揺れていた


 僕は彼女の手を握って もう一度街を見下ろした


 霧はもう どこにもかかっていなかった




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