ポッキーゲーム
「ねぇ、今日は何の日か知ってる?」
いきなりそう問われて、俺は読んでいた本を閉じた。
「今日?普通の平日だろう?」
俺が座っているのは、どこにでもありそうなソファー。
俺に問いを投げかけてきた彼女は、ソファーの背もたれの部分に身を乗り出している状態だから、顔は見えない。
「ブッブー。はずれー」
「あん?じゃあ何の日だっていうんだ……」
彼女の顔を見ようと振り返った俺は、口に何かを押し込まれて目を見開いた。
「んぐっ!?」
よくよく見てみると、差し込まれたのは見慣れた棒状のお菓子。
何すんだ、という反抗の念を込めて彼女を見ると、そんなことは気にした風もなく彼女はポッキーの端を加えた。
固まった俺を見ながら、ポッキーを少しずつかじっていく。
彼女の顔がどんどん近づいてきて……気づいた時には、キスしていた。
「何すんだ!」
「今日はポッキーの日なのよ?」
いたずらっ子のように笑う彼女を見て、しまったと思う。
こういうことは普通、男がやるはずなのに……。
せめてもの抵抗として、彼女の顎を掴んで頬を舐める。
「チョコ、ついてたぞ?」
今度は、彼女が赤くなる番だった。