はじまりのはじまり
自分の無力さなんて知っている。
自分だけでは何ともならない事も。
言い訳を探している。
失敗したときのために。
後悔する。
何もしない時間に。
その全てが怖かった。
自分にできる事があったにも関わらず、しない事に対して。
小学一年生の時。兄の苦しみを見て、兄の嘆きを聴いて、兄の不甲斐なさを実感して少年は決心をしたのであった。
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人より力がある事は知っていた。
人より才能がある事は知っていた。
人より努力していた。
その結果、多くの期待を背負う事になった。
そして彼は英雄になった。
ただ、一度。
その一度だけ期待に応えられなかった。
その一度で、それまで与えられていた全てを奪われた。
待っていたのは絶望。後悔。怨恨。
世の中の表舞台から消えていったのであった。
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少女は憧れていた。
英雄に。
自分の人生を変えてくれたその立ち振る舞いに感謝をし、感動をし。
世間から何を言われようが、私にとってのヒーロー。
いつの日か、肩を並べて歩けるようになりたい。
それが彼女の夢であった。
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3番目。生まれた時に全て決まっていた。
所詮、兄がいなくなった時の代理。
才能がないって事が分かった時点で俺の未来は途絶えた。
4番目の弟がこれまた才能があるからタチが悪い。
どこにも求められていない。
少年は人生に価値を見いだせずにいた。
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人とは違うって人ではないんだな。
その扱いに最初は恐怖していたが今は当たり前のように思っていた。
見た目・力。わからないものに対して恐怖を抱く心理が分からないわけではないが。
それでも、生き続けていた。
生きる意味なんて知らないが。