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The World  作者: 岳 哲
13/13

朝 洗面所で顔を洗い 何気なく鏡を見た

特に意味はなかった ただ無意識に 何気なく鏡を見た


そこにはいつもの自分がいて 全く知らない自分がいた


いつからこんなに 白髪が目立つ様になったのだろう

いつからこんな所に ホクロができたのだろう

いつからこんなに 猫背になったのだろう

いつからこんなに 知らない自分になったのだろう


なぜだかわからなかった 思い出す事ができなかった

受け止める事ができなかった 動く事ができなかった


鏡に映る自分は 疑い様がなく自分であるのに

鏡に映る自分は 疑いたくなるほど自分ではなかった

鏡に映る自分は いつからこんなに知らない自分になったのだろう

鏡に映る自分の瞳は いつからこんなに白くなったのだろう


特に前触れはなかった ただ意識を取り戻し 絶え間ない日々へ

そこにはいつもの自分がいて 全く変わらない日常があった


両親は立派な人間だ 生きる意味と秩序を教えてくれた

上司は立派な人間だ 生きる意義と順序を教えてくれた

友達は立派な人間だ 生きる定義と自序を教えてくれた

自分は立派な人間か


独り立ちは立派だろうか 背もたれに寄りかかりながら考える

どこからかハエが入ってきた そして出て行く

どこからかピアノの音が聴こえてくる それはベートーヴェンだった

いつの間にか忘れていた 生きるとは導く事だと


ある日の言葉を思い出す この世界では数値が結果だ

ある日の記憶を想い出す この世界では数字が成果だ


自分の中の箱 相手の中の箱 目の前の箱

どの箱にも何か入っている それが空気でも

どの様な人間も何か思っている それが空虚でも

嘘を虚しく思う今日この頃 何もない事に意味があるのは二人が知っている


久しぶりに本を読んだ なぜか懐かしい気持ちになった

久しぶりに家族に会った なぜかもどかしい気持ちになった


マグロの切り身を買った しかし刺身にできなかった

理由はわかっていた しかし刺身にできなかった

今なら空を飛べる気がする 今なら時を越えられる気がする

今なら神を呼べる気がする 今なら神を超えられる気がする


夜 浴室で顔を洗い 何気なく鏡を見た

特に意味はなかった ただ無意識に 何気なく鏡を見た


そこにはいつもの自分がいて 全てを悟った自分がいた


そして自分は


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