設定・用語集
この作品に出てくる用語をまとめてみました。
少し長いですが、お付き合いください。
『ジュノサイド神聖帝国』
建国以来1000年以上の歴史を誇る、人口6億人の大陸最大の版図を誇る大帝国。首都コリンピオはちょうど大陸の中央に位置している為、『へその国』とも呼ばれる。大陸で最大の信者数を誇る唯一神ミコーハウディを信仰するミコーハウディ教の庇護者を称しており、首都コリンピオはミコーハウディ教の総本山も兼ねている。現在の皇帝は144代目グルスドラ・ジュノサイド5世。
『ベルティオン北域将軍家』
1000年の歴史を誇るジュノサイド神聖帝国初代皇帝の4人の弟のうち、首都より北に領地をもらったバスフィル・ジュノサイド初代北域将軍府長官の末裔。バスフィルは初めて神聖帝国北域領となった領地の当時の首都の名を取ってベルティオン姓を名乗った。
現在、将軍府が置かれているのはラス市。城壁と堀が5重に築かれた大陸でも指折りの難攻不落の城郭都市である。
現在の当主はシュナ・ベルティオン。
『軍事貴族』
意味は2つある。
・かつてジュノサイド神聖帝国及び、各方面軍に攻め滅ぼされた国の王族の末裔。各方面の将軍の配下に付属させられている。独立心が強い家が多く、各将軍家は人質を取るなどして彼らを従わせることに腐心している。
・地方に在住する貴族の総称。シュナのベルティオン家のように北域を平定する為に派遣された家や、政争に負けたり、罪を得たりして中央から流され、各将軍府の指揮下に入って従軍義務が発生した貴族を指す。『辺境貴族』とも。その反対を指すのが『中央貴族』である。
『中央貴族』
首都コリンピオに邸宅を持つか、首都近郊の100の市を治め、皇帝に仕える貴族の事を指す。その中でも首都コリンピオに邸宅を持つ10の家は『永代中央貴族』と呼ばれ、代々大臣などの高官に就任できたりするなどの特権が与えられている。
軍事貴族も功績を挙げたり、永代中央貴族から推挙を受けるなどすれば中央貴族になる事が出来る。しかし、中央貴族の席は100と決まっている為、新たな中央貴族が生まれる時は・・・
『騎士と衛士について』
『衛士』は主に街の治安を守る警察のような存在。一等兵以上の者には従軍義務がある。
階級としては二等兵・一等兵・上等兵・伍長がこれに該当する。『騎士』は軍の兵士。軍曹・曹長・少尉・中尉・大尉がこれに該当する。
さらに細かく分けると、少佐・中佐・大佐・少将・中将は『騎士将校』、軍属としては将軍府の長にしか任命されない大将位は『将軍』と称される。
『兵役について』
ジュノサイド神聖帝国では『臣民皆兵』を掲げており、国民全員に二等兵の階級が与えられている。
全臣民は6才から帝国領の全土にある国営の『衛士学校』に行き、9年間の義務教育を受ける。無料で入ることが出来る為、帝国臣民の識字率は100パーセントを誇る。卒業と同時に二等兵の階級を授けられる。さらに希望する者は『軍務学校』に入校する。こちらも国営であり金銭は一切かからない。農家などの貧しい家の口減らしに入れられる者も多い。武官科と文官科が存在する。2年間在学し、卒業後は一等兵に昇格し、軍人、もしくは文官候補生となる。
また諸々の事情で軍務学校に進学しなかった者も、15~20才の間に2年間の兵役が課せられる。しかし彼らはよほどの緊急時でない限りは戦争に従軍することはなく、隊長格の騎士のもと、街の治安維持に従事することになる。
『騎士大学校』
軍務学校を卒業し、試験を受けて合格をした者が入学できる。こちらは有料で、なおかつ高い学費が必要なため、それなりの収入がある家でないと入学する事は出来ない。
3年間在学し、軍の幹部としての教育を受ける。卒業後は騎士に任ぜられる。成績によって卒業後の階級が変わるが、主席の生徒は一等兵から少尉まで昇格することが出来る。普通の卒業生も騎士階級の最下位である軍曹へ昇格する。
『昇格について』
一等兵から軍属を始めたとしても、騎士になる事は出来る。戦争で武功を挙げる事はもちろん、手柄を立てるなどして街の治安維持に貢献したことが認められ、さらに昇格の為の筆記試験にも合格すれば、騎士への昇格も夢ではない。
流れとしては以下のようになる。
武功・手柄を立てる→上官が『昇格試験を受けるに相応しい』と判断→帝都(または東西南北、その衛士が所属する地域の将軍府)の軍務部に推薦→昇格試験を受けさせるか否か判定→受けさせる資格があると判断した場合、筆記試験の受験案内を送付→筆記試験に合格→昇格
中尉まではこの流れで昇格していく。なお、3年間の課程を修了し、騎士大学校を卒業した者は軍曹(首席卒業の場合は少尉)から始まり、最長5年間は主に衛士詰所で勤務し、衛士たちの指揮官として隊の運営を学ぶ。有事の際は彼らを率いて小隊長として中隊を率いる大尉に従う。この間に中尉までには繰り上げ方式で昇格できる。問題なのはここからで、中尉から大尉にまで昇格するには武功はもちろんだが、超難関と言われる指揮官としての器量を図る『戦術試験』を合格しなければならない。この試験は、現役の部隊指揮官である中佐・大佐相手に机上に用意された架空の戦場に駒を並べ、『この状況なら、自分はどう攻めるか、もしくは守るか』という説明を行うという物。これが超難関と言われる所以は、たとえ受験者の説明が上手くいき、試験官を論破できたとしても『机上の空論』と判断されれば不合格となり、試験官を論破できず、敗北を喫したとしても『実戦を想定した戦運びだった』と判断されれば合格となる。このため、昇格できない者は長々と中尉に留まるため、一等兵あがりの衛士たちが、無能な大学校あがりの騎士を馬鹿にした『万年中尉殿』という悪口があるくらいだ。
佐官以降は軍の指揮官として武功のみが昇格の基準となる。大学校あがりの優秀な騎士でも、その上の将官に上がれる者はかなり稀である。大将位は4人の将軍のみが任ぜられるため、一般の騎士の最高位は中将までである。神聖帝国軍全軍の最高指揮官である皇帝は元帥の称号を自らに与えている。
『文官の昇格について』
文官にも武官と同じように階級がある。例えばベルティオン北域将軍家に仕える文官衆筆頭のウィット・マグビスの階級は『文官少佐』である。
文官の場合は軍務学校を卒業した後、文官候補生と呼ばれる身分になる。その後は首都コリンピオにある『文官大学校』に入学するための試験を受ける。超難関の試験をクリアし、4年間の課程を修了した後に、文官として出身地に近い領地の領主、もしくは各将軍府、成績が特に優秀であった者は、そのまま帝室に仕えることになる。
文官の昇格は非常に遅く、帝室に仕えることになった優秀な文官、しかも老年になって職を退くまでに数々の功績を挙げたとしても『文官大佐』までしか進めない。
その理由としては、大臣を務める事が出来るのが永代中央貴族の限られた家である為。大臣に就任すると、『文官少将』に昇格する。
文官が少将止まりであるのは、帝国及び首都コリンピオに緊急事態が発生し、その時に指揮を執るべき皇帝が何らかの事情で指揮が執れなかった場合、首都の武官・文官の指揮権が皇帝の補佐たる宰相に移行するため。宰相は緊急時には文武官の大将を兼ねた『総大将』の階級に緊急昇格し、皇帝に代わって文武官の指揮を執る。(各方面の将軍府はこの指揮には従わない)宰相の指揮権の範囲には成人後は『名誉中将』として(形だけの)軍役に就く帝室の人間も含まれる。緊急時には大臣を含む文武官の指揮権を執る宰相、そして帝室の人間と肩を並ばせるわけにはいかないため、文官は少将で止まるのである。なお、宰相も平時での階級は文官少将である。これは平時においての宰相職が、各大臣のまとめ役に過ぎないため。いわば名誉職である。
『バッティーノ連合王国』
ジュノサイド神聖帝国の北で反帝国を掲げる騎馬民族の王たちが連合を組んで建国した国。北域将軍府最大の敵国で、精強な騎馬隊が主力。野戦に強く、寒い土地で鍛えられたひとりひとりの兵士も屈強。首都ゴルゴンズールは険峻な山を利用して築かれた難攻不落の山岳都市。極寒の地で、北の最果ての地にある事もあり、補給も困難を極める。
王はキルビー家、シュベルト家、モリトン家、アルバ家の4家の順番に選ばれる。現在の王はモリトン家のクルベルト・モリトン。次期国王はアルバ家の人物から選ばれる。
今までこの城まで攻め込んできた者は、シュナの高祖父で『反逆王』『淫蕩将軍』と綽名され、帝国内で忌み嫌われているガルーディア・ベルティオンのみである。