異世界に行った話
有名なコピペ「異世界に行く方法」というものがある。
以下の様な内容だ。
『
準備する方法:10階以上あるエレベーター
1.まずエレベーターに乗ります。
(乗るときは絶対ひとりだけ)
2.次にエレベーターに乗ったまま、4階、2階、6階、2階、10階と移動する。
(この際、誰かが乗ってきたら成功できません)
3.10階についたら、降りずに5階を押す。
4.5階に着いたら若い女の人が乗ってくる。
(その人には話しかけないように)
5.乗ってきたら、1階を押す。
6.押したらエレベーターは1階に降りず、10階に上がっていきます。
(上がっている途中に、違う階をおすと失敗します。ただしやめるなら最後のチャンスです)
7.9階を通り過ぎたら、ほぼ成功したといってもいいそうです。
成功を確かめる方法は、1つだけあるそうです。
その世界には、貴方しか人はいないそうです。
そこからどうなるかは、わかりません。
でも一つ言えることは、5階で乗ってきた人は、人ではないということだけ……。
』
ある男がこれを見て実践してみた。
物語はそこから始まる。
あの有名な「異世界に行く方法」やってみましたよ。
手順の通りに……最初は4、2、6……と、ここで住民(だと思う)オッサンに遭遇。にこやかに挨拶し、一緒に一階へ。
乗ったままだと変なので俺も降りて、階段で二階へ移動しエレベーター呼んで再スタート。
……4、1、2、6……いつの間にか体操している自分に気付き、また一度エレベーターを降りて再々スタート。
いい加減バカバカしくなってきたからと「次に失敗したら終了」と決め……ると、こういう時に限ってうまく行くんだよね。
5階で女の人が乗ってきた。若くて……横顔は美人。まだちょっと早いんじゃって感じのロングコートに、風邪マスク。目を合わせようとしないその横顔……マスクから口がはみ出してる!
話しかけないようにって言われてたけどさ、思わず声が出ちゃったんだよ。
「わ、ひょっとして口さ」
け、まで言わずに女性はビクッと反応した。
「……は、はい」
あれ、なんか素直。瞳は黒く潤んでいて、冬の奥入瀬のせせらぎを思い出す。美しくて冷たいけれど、懐かしい輝きを湛えている。本当に綺麗な目だったし、もう話しかけちゃってたし、でもう俺は開き直ったね。
「綺麗な目、ですよね」
すると女性は一瞬かたまり、次に俺を見つめ、慌ててマスクを外す。
「こ、これでも?」
その慌てっぷりがあまりにも可笑しくて笑ってしまう。
「目をほめたのに、マスクは外しても変わらないでしょ」
「……あ」
口裂け女は顔を真っ赤にしてうつむいた。天然だよ。
そんでまた声がまたすごく可愛いの。透き通っているんだけど力強さがあって。坂本美雨の声に似てて。
その声でこう言ったんだ。
「あ、あなたがいけないんだからね!そ、そっちから話しかけたりするから……」
耳まで裂けてるってより耳まで真っ赤な彼女に、正直萌えた。
その時、ドアが開いてエレベーターに乗り込んできたのは中学生くらいのこれまた可愛い女の子。絶頂期の広末みたいな。
そして俺の顔を見るなりこう言った。
「わたしメリー。いまわたしの部屋の階……あっ」
「へぇ、ここなんだ」
俺は完全に笑いのツボをやられてて、なんとか押し殺そうとはするものの、クックッとどうしても笑いが漏れる。
「あ、あなたが悪いんだからねっ!じゅ、順番があるんだからっ!」
そう言うとエレベーターの扉が閉まっているのにメリーさんは消えちゃった。すーっと縦に細くなって、そのまま厚さがゼロになる感じで。
というより反応一緒って、ツンデレ姉妹かよ。
突然、口裂け女が俺をにらんだ。
「わ、私達……ちゃんと自分ルールがあるんだからねっ!あなたたちは守ってくれないと……」
そこでまた顔が赤くなり、声が小さくなる。
「その……困るじゃない……」
もじもじしてるよ!怖くないどころか別の意味でドキドキです。
結局お詫びに新しいコートをプレゼントすることで許してもらった。今週末、「忙しいけど万が一予定が入ってなかったら」一緒に新宿でデートしてくれるっぽい。
あと、メリーさんとはメル友になった。
道に迷ったときにナビをしてあげないと呪っちゃうんだからね、だって。あ、ちなみにメリーさん、新しい携帯買ってくれる人を募集中だってよ。
異世界ってよりは彼女たちの住家につながるこの方法。俺が「mixiで見た」って言ったら、大家さんにセキュリティがどーのとか言ってたから、近々変わっちゃうかもしんない。
俺は途中で失敗しちゃったから踏み込むことは出来なかったけど、メリーさんに携帯プレゼントしたいツワモノは是非挑むべし。そうそう、メリーさんiPhoneが気になるって言ってたよ!って言えって。 今、俺の隣に居るの。
(終わり)




